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第四話「脱獄大作戦!①~這い寄る蛇の王 バジリスク・ナイト~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が完成しましたので、投稿いたします!

 さてと、とにかくまずは、この牢屋から出ないとね。

 

 何せ、やらなきゃいけないことが山ほどあるのだ。


 まずは、クエストをこなす前に、自分が何をやるべきか行動を確認しよう。アイリスお姉ちゃんが言っていたからね。


 【必須条件】


 ・とにかく、生きて、この監獄から脱獄すること。

 ・お土産として、アルビナ王妃様とアンジェリカ王女を連れてくること。

 ・どこかに保管されているオリヴィア・オズボーンさんを見つけ出し、回収してくること。

 ・アムレットに、強烈な先制パンチをかましてくること。

 ・方法は全て自分に任せる。必要な備品は現地調達で。


 果てしなく無茶ぶりもいいところだろう。


 しかし、僕だって毎日、グリゼルダ教官のサバイバル術のトレーニングをやっているし、ヴィルヘルミーナさんたちからのセクハラから必死で逃れるために、生活そのものがサバイバルみたいなもんだ。


 なぜか、不思議とこんな監獄を脱獄できるぐらい、どうってことないように思えてくる!


 『不憫過ぎるぞ、お前』

 『哀れだ・・・』


 ユキちゃん、桜、そういうツッコミは入れないで。

 というか僕の心がなぜ読めるのさ。


 次に、僕の持っている道具の確認をしよう。 

 

 【道具】


 ・火蜥蜴サラマンダーの鱗:火属性の素材。耐火機能を持っている。

 ・ハーピーの羽根:風属性の素材。風の力で物を浮かせたり、吹き飛ばすことが出来る。

 ・厚手の生地:丈夫な縫い目が施された生地。魔力を含む糸と縫い直すことで、アイテムになる。

 ・サンダーバードの羽根:雷属性の素材。耐電効果がある。

 ・ふわふわウール:巨角羊ホーンゴートの羽毛。手触りがよく、防護機能も高い。

 ・ぬいぐるみ:何の変哲もないクマちゃんのぬいぐるみ。

 ・道化師の絵筆:ビビ姉が作ったイタズラ用のマジックアイテム。


 とりあえずはこんなところか。


 あとは、この牢屋からどうやって出るかだけどさ。


 鉄格子をよく見ると、これ、鉄格子の形をした魔力が実体化したものだ。

 そうか、これなら魔力の塊みたいなものだから普通の鉄格子よりも頑丈だし、特別な鍵でも使わなければ開けられないってわけか。


 「その鉄格子はちっと厄介でな。ただの鉄格子やったら、ウチが力任せに引きちぎることは出来るんやけどな・・・!」


 王妃様、ものすごいことを言わないでください!

 鉄格子を引きちぎるって、どれだけ、ものすごい力があるんですか。


 まあ、王妃様というよりは、王国を守護する騎士隊長といった雰囲気の方が似合うけどさ。

 日焼けした肌、鍛え抜かれた鋼の筋肉で覆われている身体をビキニアーマーで覆っている姿は、ある意味男性の僕よりもたくましく思える。


 でも、これが魔力で作られているものだって言うのなら、僕にとっては好都合だ。


 鉄格子を握りしめて、力を込めると、鉄格子が糸になってほつれだし、シュルシュルと銀色の糸に変わって、糸車で紡がれていく。


 「はあっ!?」


 「ど、どういうこっちゃ!?鉄格子が、糸に変わっていきよる!?」


 【鋼の糸】:鋼属性の強靭さと頑丈さを持つ糸。他の素材と組み合わせることによって、いかなる攻撃もはじき返す【鉄壁】の効果をもたらす。


 ステータスを見て驚いた。

 そういえば、素材屋さんにはまだ鋼属性の素材はなかったっけな。

 とにかく、これで、脱出のめどは立った。


 「これで、牢屋から出られます」


 牢屋を出る前に、僕はクマのぬいぐるみを二体置いて、ペンでそれぞれ【アルビナ王妃様】【アンジェリカ王女様】と書いた。


 すると、ぬいぐるみが、抱き合って震えているアルビナ王妃様と、アンジェリカ王女様の姿に変わった。さらに床に『鉄格子』と書くと、目の前には鉄格子が現れた。


 「ぬいぐるみが、ウチらの姿に変わった!?」


 「見せかけの幻なんです。まあ、鉄格子越しで薄暗い監獄の中なら、ちょっとやそっとじゃ見分けがつかないと思います」


 そして、ポケットから、緊急時に備えて常備している、隊員用のジャケットとブーツを取り出して、王妃様と王女様に渡した。


 「これを着ると、姿が見えなくなるだけではなく、気配や匂いさえも消す【気配遮断】の効果があるんです。そして、このブーツは足音も消して、影さえも見えなくします」


 「おかん・・・!」


 「・・・どうやら、ベアトリクス陛下のお抱えの傭兵団の一人やっちゅうのは、ホンマやったみたいやな。まあ、半ばヤケクソになっとったけど、ここでいっちょ、気合を入れなおして脱出しよか」


 うん、あの時、見ず知らずの僕のことをよく信じて、自分の身分を明らかにしたと思ったよ。


 自分の夫であり、国王に冤罪を着せられて、婚約破棄を言い渡されたばかりか、罪人として投獄された日には猜疑心でいっぱいになって、僕の言葉なんて信じるとは思わなかったもんな。


 おそらくだけど、前々からあの国王から、ずっと嫌がらせというか、一方的に妬まれて、嫌がらせというか拗ねた子供のような態度を取られ続けてきたんじゃないか?それを必死で窘め続けてきたけど、やればやるほど国王は意固地になって聞く耳を持たなくなり、王妃様や王女様も「ああ、ダメだ、コイツ」とあきれていたんだろう。


 国の代表である国王が、そんな幼稚なお花畑思考じゃ、国の幸先が不安でしかないもんな。

 王妃様たちは、それでも国王を説得して、王族や貴族たちと協力して、国を盛り上げていけば、国王も目を覚ましてくれるだろうと思っていたのに、待っていたのはこの仕打ちだ。


 心が折れても、誰も責められないだろう。

 アイツ、国王としても、父親としても、男としても、ダメ過ぎる。


 「疑ってしまい、本当に申し訳ありませんでした・・・!」


 そう言って、王妃様と王女様は深く頭を下げた。


 「まあ、牢屋に転送されてくるようなアホの子が相手でもいいから、誰かに何かを言わずにはいられなかったんですよね?そりゃ愚痴りたくもなりますよ。アレが国王とか、悪い冗談でしかありませんし」


 「・・・あ、いや、その・・・」


 「うん」


 「否定しないんですかい、王女様」


 「ウチ、自分には正直に生きる性分やねん」


 王女様にしてはフランクな人だけど、僕個人としては、こういう人の方が取っつきづらくなくていい。


 不敬罪に問われないように、発言には気を付けておくことだけは、肝に銘じて置こう。


 「あとは、この牢獄の中がどうなっているのか、調べてみますか」


 僕は深緑色の宝箱を開くと、ボタンを押した。


 『闘衣召喚!バジリスク!』


 「変身!」


 


 バックルに装着すると、自分の足元の影から、無数の蛇が身体に巻き付いていき、そのまま甲冑へと変わっていく。手には笛と短剣が一体化した武器が握られて、深緑色の蛇をイメージした甲冑を身にまとった女忍者の姿に変身した。




 『這い寄る蛇の王・・・バジリスク・ナイト!ドレスアップ・・・!』




 グリゼルダさんの能力を持つ、この新しいフォームなら、監獄の中も調べる事が出来る!


 短剣に魔力を込めると、影がまるで蛇みたいな姿になって、複数の蛇になった影が地面を這って、奥に向かっていく。


この通路の奥に向かった蛇の視点に変えると、この先は使われていない牢屋が続いている。


結構、複雑に入り組んでいる構造だけど、道に迷うほどの作りじゃないな。脱出するとしたら、水路が流れているから、そこに飛び込めば外に出られるかもしれない。


 通信機が置かれている部屋、会議室らしき大きな部屋、処刑道具が置かれている、血生臭い匂いが染み着いている部屋。明らかにまともな施設ではないな。というか、監獄にしたって、あまりにもボロすぎる。不衛生な環境だ。


 「もしかして、ここって、長い間使われていないのですか?」


 「なぜ、そう思う?」


 「まず、僕ら以外に捕らえられている人がいないからです。次に、牢獄の環境にしては、あまりにも不衛生過ぎるし、長い間、使われた形跡がないんです。そう考えると、ここは、ずいぶん昔に使われなくなった廃墟の監獄かと思いまして」


 「そうなると、ハルク監獄の可能性が高いな。10年ほど前に使われなくなって、放置されとった監獄の廃墟があるんやけど、王都からだいぶ離れた場所にあったはずやで?」


 「そうや。何せ、その監獄は砂漠のど真ん中にあるんやけどな、監獄の周りは流砂がいくつもあるし、昼間は魔物でさえも近づけんほどの超高温の熱砂の海が広がっとるから、脱獄は不可能と言われている監獄や」


 夜になったら、凶暴な魔物が現れて危険だから、好き好んで近づこうとする人はいなかったということか。


 そうなると、あのバカ国王たちはどうやって、ここに来たんだ?


 そして、影が僕の元に戻ってきた。

 影が見た記憶が、僕の頭の中に流れ込んでくる。


 僕は、懐に持っていたメモ帳を開き、簡単な地図を書いた。


 「・・・そういうことか!それなら、どうやって国王がここに来ることが出来たのか、納得が出来る。そして、同じようなものがもう一つあるってことは、もしかすると・・・!」


 蛇が見た記憶を頼りに、僕たちは、姿を消して、牢獄の奥へ進んでいく。

 

 そして【営舎】と古い看板がかかっている部屋に続く扉を開くと、水が流れる音が聞こえる。


 どうやら、水はここを流れる水道からとっていたみたいだな。

 ここを辿って行けば、脱出できるかもしれない。


 営舎の扉には、鍵はかかっていなかった。

 土のにおいが充満している、薄暗い通路を、ランプの灯りだけを頼りにして歩いていく。


 そして、奥にある部屋を見つけた。


 「ここにも、魔力で作られた鍵がかかっとるみたいやな」


 「この部屋だけに鍵がかけられているってことは、よほど重要なものがあるってことですよ」


 さっき見た、蛇の映像が確かなら・・・!


 錠前を糸に変えて回収し、重い鉄の扉を開くと、埃が立ち込める部屋の中に、それはあった。


 


 部屋の奥に保管されている、藍色の巨大な宝石。


 その宝石の中には、藍色のショートカットに、狐の耳と尻尾を生やした女性が閉じ込められていた。


 盗賊をイメージしたような軽装に身を包み、左太ももには藍色の【狐】の紋章が刻まれている。


 


 「・・・あの、大アネキ。ちょっと、いいですか?確認してもらいたいんですけど」


 僕がその女性の画像をスマホで送る。


 『・・・おいおいおい!?オリヴィアじゃねーか!?どうして、アイツがそこにいるんだよ!?』


 『間違いない、私たちの紋章が共鳴している!』


 『あらあらまあまあ~♥まさか、監獄の備品倉庫に飛ばされていたなんてね♥・・・これでやっと、最後のバカに、お仕置きが出来るねぇ・・・♥一番とっておきのお仕置きを、準備しておいてあげねぇとなぁ・・・?』


 ようやく、最後の七人目の【七人の獣騎士】・・・。


 『大地のオズボーン』こと、オリヴィア・オズボーンさんが見つかった・・・!


 これで【七人の獣騎士】が。ついに全員揃った・・・!!

ついに、次回七人目【オリヴィア・オズボーン】が登場します!

「お金大好き、商売大好きな強欲系お姉さん」「義理人情に厚く涙もろい浪花節な性格」をモチーフにしております!ヴィルヘルミーナと同じく、ギャグシーンが多めのキャラクターとなります。ヴィルヘルミーナとレベッカ、そして彼女で「3バカトリオ」と呼ばれていましたので、今後の彼女たちの活躍にもご期待ください。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

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