第二十七話「神代級の魔法~桜、運命の時を迎える~」
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「・・・神羅万象・虹魔法・萬鬼封印。伝説でしか聞いたことのない、神代級の魔法を、まさか、お目にかかれる日が来るなんて、思わなかったわ」
椅子に座り、疲れ切った表情で、ため息をつきながら、ベリス姉さまは説明してくれた。
神代級、とは、魔法使いが使う魔法のレベルにおいて、幻とまで言われているほどの、最上位魔法のことらしい。
魔法のレベルは【初級】→【中級】→【上級】→【究極】→【神代】の順に高くなっていくらしく、神代というのは、伝説級の大魔導師や、賢者といった選び抜かれた人たちにしか使えない、世界の理にも影響を与えかねない、危険な代物だという。
「トーマちゃんはまだ完全に、その能力に目覚めていないけど、神代の魔法をむやみに使わない方がいいわ。もし、その力を、邪眼一族やクロスに知られたら、面倒なことになりそうだからね」
「トーマを引き入れようってか?ケッ、上等だぜ。もし、そんなことになったら、どこの誰だろうと、徹底的に叩き潰してやるだけさ。トーマは、オレたちの大切な家族なんだからな!」
「よく言った。私たちの封印を解いてくれただけではなく、いつも、私たちの身の回りの世話を甲斐甲斐しくやってくれる、こんないい子を、誰が他所にくれてやるものか!」
大アネキたちが力強く言うと、グリゼルダさん、ヴィルヘルミーナさん、ビビ姉、そして、アレクシアさんが頷いてくれた。
僕は、胸の奥が熱くなって、思わず目が潤んでしまった。
ああ、もう、こういう時にすぐに泣いちゃうから、僕って、男らしくないんだ。
「・・・ありがとう、ございます!本当に、ありがとう!!」
「礼なんて水くせぇじゃねーか!オレとトーマの仲だろ?何せ、オレとトーマは、男女の仲になったんだからな!!オレの大切な”夫”を、そんな連中なんかに、誰が渡すもんか!」
ピシッ!!!(部屋の中の空気が凍り付いた音)
この時、確かに、時が止まった。
お、お、大アネキィィィィィィ!?
アンタ、それ、僕と大アネキの秘密だって、言ったじゃないかぁぁぁぁぁぁっ!!
「・・・・・・おい、今の話は、どういうことだ?」
「・・・・・・返答次第によっては、団長、ただじゃ置かない」
「・・・・・・レベッカ、それは一体、どういうことかしらぁ?」
「あらあらまあまあ~、お盛んですねぇ~♥」
「え?オレ、何か、変なこと言った?」
ああ、もう、この人は、どこまで脳筋の純白思考なお人なのかしら!?
感情だけで動いて、思ったことをすぐに口にしちゃう、そういう子供みたいなところが可愛いんだけどさ!!そういうことは、もっと、段取りをつけて、空気を読んでカミングアウトするものじゃないかな!?
グリゼルダさんと、ヴィルヘルミーナさんは「あちゃー」と言った感じで、頭を抱えているし!!
え、これ、もしかして、バレていました?
「・・・あ、あの、ヴィルヘルミーナさん。もしかして、僕たちのこと、バレていました?」
「おめでとう♥本音を言うと、君の初めてはボクがいただいてあげようと、狙っていたんだけどね。まあ、団長に一足早く春がやってきたということで、ここは、心からお祝い申し上げようじゃないか♥」
「・・・妬ましい恨めしい憎らしい殺したい妬ましい恨めしい憎らしい殺したい」
グリゼルダさんが、ハンカチを噛んで、暗黒のオーラを放ちながら、こっちを睨みつけているんですけど!?
そして、背後に、怒りの形相を浮かべた阿修羅像を浮かべている、アイリスお姉ちゃんとビビ姉、ベリス姉さまが、じりじりと、僕と大アネキに近づいてくる。ここで、さすがの大アネキも、まずいことになったということを悟ったのか、顔から血の気が引いて、真っ青になっていく。
「・・・二人とも、ちょっと、オハナシ、しようか」
「・・・・・・今夜は寝かせない」
「まあ、返答次第によっては、永久に眠ってもらうかもしれないけどねえ?レベッカだけ」
「「ひっ!!?」」
もはや、誰も助けてくれない。
ヴァネッサ女王陛下たちも、ベリス姉さまたちの、恐ろしいオーラに圧倒されて、真っ青な顔になって震えていた。ブリアック女王に至っては、あまりの恐ろしさに、顔を背けていた。
「・・・ふふふ・・・楽しい夜を過ごそうか・・・レベッカ・・・トーマ・・・♥」
「いやちょっと待ってください、お話なのに、どうしてアイリスお姉ちゃんとビビ姉、それぞれ、武器を持っているの!?ベリスお姉ちゃんもロケットランチャーを取り出さないで!!ていうか、一度でいいから、話をちゃんと聞いて!!お願い助けて殺さないで、いやぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっ!!!!!」
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斗真とレベッカが、アイリスたちに引きずられていった後、部屋の中に重い沈黙が漂っていた。
「・・・ベアトリクス様、その、大丈夫なのでしょうか?」
「・・・大丈夫だと思います。その、命までは取らないと思います」
「・・・本当に、面白くなりましたね~、七人の獣騎士は。わたくしも、ちょっと、トーマちゃんに興味が出てきましたわ~♥もし機会があったら、わたくし、トーマちゃんの愛人になっちゃおうかしら~♥ウフフフ、楽しくなってきましたわね~♥」
大国の女王たちがそろいもそろって、顔を青くして震えているというのに、アレクシアだけが、不敵な笑みを浮かべて、舌なめずりをした。
「・・・あんな風に素直で可愛い男の子を見ると、食べたくなっちゃいますねぇ・・・♥」
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あの後のことは、もう、思い出したくもない。
一言で言えば、まさにあれは【この世の地獄】だろう。
閻魔様だって、あそこまで怖くはないと思う。会ったことなんてないけどさ。
その後、命を取られるまではいかないだろうけど、五体満足では帰れないところまでは覚悟を決めた僕たちに対して、アイリスお姉ちゃんたちは、声を揃えて言った。
『私たちも狙っていたのに、お前が一番乗りで斗真を抱くなんて、ずるい!!』
『今度からは、順番をみんなで決めて、平等に、斗真とイチャイチャすること!!』
『私たちだって、斗真が大好きだから、イチャイチャしたいんじゃ、ボケーーーーーーッ!!』
という、何が何だかさっぱり分からない【斗真はみんなの弟なのだから、団員同士で仲良く、節度のあるイチャイチャラブラブしましょう!】というルールが決まり、今回だけは特別に見逃してくれることになった。いや、どういうことなのかと思わず聞いたんだけど、ベリス姉さまたちのあまりにも恐ろしい笑顔に圧倒された結果、僕と大アネキの仲を認める代わりに、みんなとその、何というか、そういう関係を築き上げましょうと、押し切られました。
男として、尊厳とか常識とか、そういうものを無視していいものなのだろうか?
そう言いたかったけど、言ったら最後、僕の命が刈り取られるような気がした。
ヘタレと言うなかれ。こっちだって、命の危機ってモンを感じたんだい。
そんなことを考えているうちに、オリガと、渾沌将軍に対する裁判が終わった。
まあ、結果は言うまでもなく、オリガと渾沌は、3日後に、市中引き回しの上、処刑場で、ギロチンによって処刑されることが決まった。
「嘘よ・・・、ああ、そうよ。これはきっと、夢なんだわ。早く、はやく、覚めてよ。こんなの、夢に決まっているんだから・・・早く覚めてよ・・・」
オリガは放心状態で、兵士に引きずられて退室していったが、渾沌は終始落ち着いていたというか、どうして、笑みを浮かべていたんだろう?
そして、彼女が僕の前を通り過ぎる時、僕にこっそりと、話しかけてきた。
「またお会いしましょう。今度は、真の姿でお会いできるのを楽しみにしていますわ」
「・・・え?」
渾沌は、不穏な言葉を残して、退室した。
何だろう、今の言葉は・・・。
すごく・・・嫌な予感がする。
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そして、ついに、桜に対する裁きが下される時が来た。
桜は、両手に枷をつけられた姿で、神妙な面持ちを浮かべて、証言台に立った。
「それでは、クロスの元勇者、サクラ・マクノウチに、裁きを申し渡す」
ブリアック女王は、そう言ってから、書状を読み上げていく。
「被告人、サクラ・マクノウチよ。そなたには、ハニーベル王国の王宮に武装して乗り込んだ不敬罪、ならびに、この度における【風の黄騎士】の隊員が、そなたの監督不行き届きによって連れ出されて、ヒュドラに改造されて、8人もの冒険者や商人の尊い生命が犠牲になった。その罪は、極めて重いものとする」
「・・・はい」
「よって、クロス王国に預けている、そなたの全財産を没収し、勇者の称号をはく奪する。そして、そなたには【隷属の紋章】を刻みつけて、犯罪奴隷として、傭兵団【彩虹の戦乙女】に島流し、永久労働の刑を言い渡す!!」
え・・・?
そ、それって、桜が、奴隷として、僕たちの所で働くことになるってこと?
「そして、そなたには、今度の事件に加担した、クロス王国の【水の蒼騎士】のリーダー、水の勇者【チヅル・マツモト】の抹殺を命じる。これからは、犯罪奴隷として、傭兵団【彩虹の戦乙女】に忠誠を誓い、身を粉にして働くのだ」
「・・・かしこまりました」
こうして、桜に対する裁きが下り、裁判が終わった。
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「・・・こんな感じで、よろしかったのでしょうか?ベアトリクス陛下」
「おうおう、王としての風格が出ていたじゃない。それでよし」
「お疲れさまでした・・・」
「大変だったわね・・・」
裁判が終わった後、へなへなと気力が抜けてしまい、控室の椅子に座り込んだブリアック女王を、ベリス姉さまが背中を叩いて、ヴァネッサ女王様たちが何とも言えない表情を浮かべて、労をねぎらっていた。
そして、桜の胸元に、ベリス姉さまが人差し指を挿し込んで、柔らかそうな胸に突き刺すと、紅い光が迸る。
「・・・っ!!」
「少しチクっとするけど、我慢してね?これでよし、と」
ベリス姉さまが指を抜くと、胸元には、赤色の魔法陣のような紋章が浮かび上がっていた。
「これには、自殺防止用の魔法がかかっているわ。一応、便宜上では、犯罪奴隷として扱うわけだから、こういうのはちゃんとやっておかないといけないわけよ」
そういって、ベリス姉さまが、どういうことなのか、僕たちに説明を始めた。
「まあ、こうでもしないと、世間様は納得しないわけよ。勇者の称号をはく奪されたばかりか、敵対していた組織の犯罪奴隷として飼われることになるなんて、かなりの屈辱でしょう?」
「・・・私たちの傭兵団は、鉱山か、絶海の孤島かなんかですか。島流しに利用するなんて」
「鉱山奴隷の方がまだマシでしょうよ。こんな、一般常識や貞操観念がほとんどない、非常識な連中の所で、強制的に働かされることになるんだから」
その非常識な連中の最高責任者が、他ならないベリス姉さまなんですけど。
「まあ、これで、クロス王国から、唯一まともな勇者だったサクラを奪い取ることに成功したというわけよん♥さらに、二人目の魔法裁縫師ときたもんだし、クロスにとっては、致命的なダメージを与えたことでしょうね」
「・・・そのうえ、クロスが頼りにしている、示談金や国の運営にかかわるお金を稼いでくれていた存在を、チヅルとかいうアホな勇者が、勝手に手放してくれたおかげで、金銭面においても大打撃でしょうね。今度の一件における、賠償金なんて、支払い切れるのかしらねえ?」
「国の貯金がスッカラカンになろうとも、全額、もらうものはもらうつもりよ。それで、国が滅亡しようと、王族が自害しようとも、知ったこっちゃないわ」
むしろ、これで潰れるなら、さっさと滅亡して欲しいとまで言い出す始末だ。
まあ、さすがにこれだけの大事件を起こしたら、クロスはもう滅亡待ったなしの状態にまで追い込まれている。
しかし、現在、松本の行方が分からない。
里長と、渾沌に全ての責任を押し付けて、いつの間にか、姿を消していたからだ。
まあ、こっちには、証拠の動画や写真があるから、言い逃れが出来ないんだけどね。
「近いうちに、チヅル・マツモトの勇者の称号をはく奪するように、クロス王国に抗議をするわ。そして、筆頭王宮魔導師であるセルマが、禁忌に手を出していた、決定的な証拠を突き出して、セルマにもきちんと罰を与えてもらうわ。もう、彼女たちも、クロス王国も、おしまいよ」
本来なら、桜も、勇者でありながら、他国の王宮に武装して乗り込むと言った行為などを追及されたら、処刑もあり得る案件だった。しかし、桜が他の勇者たちと比べると、犯罪奴隷とはいえ、命拾いをしたことについては、ベリス姉さまたちが額を突き合わせて、じっくりと話し合って、全員が納得するという形で、今回の桜に下された刑罰が決まったのだという。
そして、こうなった経緯について、ベリス姉さまが話し出した。
斗真とレベッカの関係が、レベッカの自爆によって、全員にバレました!!
そして、斗真に対する罰として、強制的にハーレムを築き上げられる展開になりました。
アレクシアにも目をつけられて、斗真を自分のものにしようと狙う獣たちから、斗真は逃げられるのでしょうか?今後も、女難に振り回されまくる斗真がどうなるのか、お楽しみに!!
桜、犯罪奴隷として、【彩虹の戦乙女】で強制労働・・・という名目で、保護することになりました。
追放した側のメンバーが、主人公の仲間になると言う展開はどう書けばいいか、悩んだ末に、この展開にしてみました。
次回、第三章の最終話となります!!
次回もよろしくお願いいたします!!




