第二十八話「邪眼王、神代の魔法に大爆笑する~改過自新の勇者の転身~」
一部にR15的描写があります※
いつも、拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!
新作が書きあがりましたので、投稿いたします。
今回で第三章は終わりとなります。
幕話を挟んでから、第四章に入りたいと思っております!
「くはははははははははは!!良い、これは実に良い。まさか、神代級の魔法が見られる時が、来るとはな!!実に愉快じゃ!!」
玉座の上で、ヴェロニカ女王は心底愉快といったように、何百年かぶりに声を張り上げて、大笑いしていた。その様子を、渾沌を覗いた四凶の【窮奇】、【饕餮】、【橈骨】は呆然唖然とした様子で見ていた。
「・・・ハイドラの書を封印されたことも、この度の失敗も、これで帳消しにしてくれよう。渾沌の魂が本体に戻ってきたら、しっかりと休み、次の戦いに備えておくように、準備を整えてやるか」
「・・・つーことは、今回、渾沌ちゃんはお咎めなしってことっスか?」
「おうよ。まさか、神代級の魔法を目の当たりにする、歴史的な場面を提供してくれたのだ。カジ・トーマ、ますます、欲しくなってきたぞ。それに、顔も可愛いし、妾の好みじゃからなぁ♥くふふふふ・・・♥」
水晶玉に映し出された、斗真の顔を見て、ヴェロニカは頬を赤く染めて、うっとりとしたような笑みを浮かべる。その視線の先には、アイリスたちに詰問されて、涙目になって震えあがっている斗真の弱々しい姿があった。
「・・・妾のペットとして、心行くまで可愛がってやろうかのう♥妾の庇護欲というか、嗜虐癖を、とことんくすぐってくるからなぁ。ああ、トーマ、お主をこの手でどんな風に、虐めてあげようかのう?」
(ヤッベー、女王陛下のドSモードのスイッチが入っちまったぞ)
(・・・捕まったら・・・オモチャにされて・・・心が壊れるまで・・・弄られまくる・・・)
(・・・気の毒でならん)
斗真を妄想の中で、自分の欲望のままに弄りまくり、恍惚とした笑みを浮かべているヴェロニカに対して、窮奇たちは、斗真がとんでもない性癖を持つ主君に目をつけられたことを、心から哀れんでいた。
「媚薬漬けにして、理性を奪い、発情期のサキュバスたちの巣に放り込んで、一晩中、相手になってもらおうか、妾が作ったダンジョンに閉じ込めて、何十、何百人もの、発情期を迎えた魔物娘たちのオモチャになってもらおうか・・・どれがいいかのぉ♥楽しみじゃ、楽しみじゃ!早く、トーマで遊びたいのじゃ!」
(((ヤバい、この人、本気でトーマをぶっ壊す気マンマンだわ)))
そして、窮奇たちは、残り3冊の禁書を行方を追うべく、ヴェロニカから解放された後に、3人そろって、ヴェロニカに気づかれないように細心の注意を払ってから、深く、深く、ため息をつくのであった。
「・・・女王陛下にも、困ったものだな・・・」
「・・・トーマ・・・どうか・・・強く生きてくれ・・・」
「・・・つーか、アタイたちにとっては敵だっていうのに、何でこう、心配しているんだろうな」
「・・・正直言うと、何というか、放っておくと、危なっかしくて見ていられないという気分だな」
饕餮と橈骨は、敵であるにも関わらず、ヴェロニカに、オモチャとして心底気に入られてしまったことに、同情を禁じえなかった。窮奇も、うんうんとうなづいている。
「しかし、仮初めの身体とはいえ、渾沌ちゃんを倒しちまうとは、なかなかやるじゃねえか。アタイも、カジ・トーマと戦う時が、楽しみになってきやがったぜ」
「・・・油断は・・・大敵・・・」
「そうだな。だが、武人としての血が騒ぐというのも確かだ。久しぶりに、心から楽しめる、命を懸けた死闘が楽しめそうだ。出来る事なら、今すぐにでもトーマの元に乗り込んで、一戦申し込みたいところだが、アイツは、鍛えればもっと強くなるだろう。さらに強く成長した彼と、本気で戦うためにも、今は、私自身の腕を磨くことに専念しようか」
「・・・禁書も・・・探さねば・・・ならない・・・」
「まあ、そうだな。せいぜい、返り討ちに遭わねえように、準備は整えておくとするか。あと、お仕事も忘れずにな」
少し談笑した後、3人は、自分が受け持つ現場に戻っていった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「まあ、今回、犯罪奴隷に仕立て上げる形で、うちに引き入れたわけだけど、異論はないかしら?」
「オレはいいぞ!」
全身に包帯を巻き、絆創膏をつけている、痛々しい姿になった大アネキが満面の笑みで了承した。
「・・・アンタ、一体、何があったんだ?」
「まあ、色々とあってな」
アイリスお姉ちゃんたちに、一晩中、詰問されていましたなどと、正直に言えるはずもない。
桜もそれを察したのか、ひきつった笑みを浮かべていたが、納得してくれた。
「まさか、異世界からやってきた、天使のように愛くるしい男の娘ちゃんが、二人も、ボクたちの元にやってきてくれるなんて・・・!!くぅっ、生きていて、本当に良かった・・・!!」
「・・・・・・私は、トーマだけでいい。でも、これからも私のパシリとして、よろしく頼む」
「アンタは、少しは自分のことぐらい、自分でやろうとしなさいよ」
「というわけで、わたくしたちは、貴方を歓迎しますわ~♥よろしくお願いいたしますわ♥」
「・・・これから、お世話になります。皆さんの足を引っ張らないように、一生懸命、働きます」
桜が深く頭を下げると、大アネキが、桜の背中をバンバンと叩きながら、満面の笑みを浮かべた。
「よっしゃあぁぁぁっ!!今から、サクラの歓迎式ってことで、飲みまくるぞーーーっ!!」
「「「賛成ーーーーーー!!」」」
ヴィルヘルミーナさん、ビビ姉、アレクシアさんが賛同する。
「・・・アンタたちは、ただ、理由をつけて、飲み食いしたいだけでしょうが」
「まあ、そう、言ってやるな。ひと段落着いたんだから、今日ぐらい、羽目を外しても構わんさ」
アイリスお姉ちゃんの許可も下りたため、僕たちは一旦、転移魔法で屋敷に戻ることになった。
そして、戻った直後に、僕とユキちゃん、アレクシアさんで、宴会の準備に取り掛かることになった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「ワッハハハハハハ~♥戦いの後の酒は、たまらねぇなぁっ!!」
「その通りだねえ♥今日は朝まで飲むぞ~!!アッハッハッハッハ!!」
「・・・・・・イエーイ」
その日の夜は、飲めや踊れやの大騒ぎになった。
屋敷の地下にあるバーで、僕とアレクシアさんが、お酒のつまみや料理を作り、テーブルの上には次から次へと、大盛りの美味しそうな料理が並べられていく。
大アネキとヴィルヘルミーナさん、ビビ姉は、宴会が大好きなせいか、最初からアルコール度数の高い酒を飲んで、顔を真っ赤にして、楽しそうに笑いながら、盛り上がっていた。
「久しぶりに、アレクシアの手作り料理を食べる事が出来て、嬉しいわ。うん、この、魚のグリル、懐かしい味付け・・・」
「ウフフフフ、グリゼルダちゃんに褒めてもらえると、嬉しいですわね♥お代わりはたくさんありますから、お腹いっぱい、召し上がれ」
そんな中で、一人、桜だけがポカーンとした表情を浮かべていた。
まあ、そりゃそうだよね。
つい最近までは敵として戦っていたのに、皆、フレンドリーに接してくれているわけだしさ。
「・・・大丈夫?」
「・・・あ、いや、その、まさか、ここまで歓迎してもらえるとは、思ってなかった」
「まあ、そういう人たちってことで、納得してもらえればいいと思うよ」
「・・・お前も、すっかり慣れてきちまっているって感じか」
「そうでも思わなかったら、事あるごとに、騒ぎが起きるたびに、心臓がいくつあっても足りないもん」
そして、僕は桜の前に【ブラオベーレ風白身魚のトマト煮込み】を差し出した。
「・・・これ、斗真が作ったの?」
「うん。こっちの世界の名物料理なんだって」
白身魚に小麦粉をまぶして焼いて、香ばしくカリッとした焼き目をつけて、軽くソテーしたものに、トマトとバジルと塩で味付けした料理だ。
桜は、ナイフとフォークで器用に切り分けて、口に運んだ。
「・・・美味しい。何て言うか、素朴なんだけど、滋味があるっていうか、魚のうまみとトマトの酸味がこんなにも合うなんて、驚いたよ」
「美味しい?それはよかった。・・・それなら、桜もここでやっていけるよ」
「え?」
目が軽く見開き、桜が、きょとんとした表情になる。
「・・・水が合うってヤツだよ。これから、桜がここで生きていくためには、まず、自分に合う環境ってものを見つけなくちゃいけないと思ってさ。それで、ここでやっていけるかどうか、この料理を作って、もし美味しいと思ってもらえるなら、ここでも、生きていけると思ってさ」
そこまで言ってから、僕は、自分の思いを伝える。
「僕はもう、元の世界には戻らない。例え、戻れる方法があったとしても、僕は、ここにいたい」
「・・・斗真」
「・・・ここにきて、生まれて初めて、家族っていうものが出来たんだ。前の世界では、両親は離婚しちゃってるし、息子を捨てて、不倫相手と海外に出て行っちゃうぐらいだしさ。家でも、学校でも、ずっと一人ぼっちだもん。僕は、もう、あんなに寂しくて、何をやっても楽しくない世界には、帰りたくない」
「・・・そうだったんだ」
「やっと出会えたんだ。心から落ち着くことが出来る、僕の居場所ってものが。しょっちゅうトラブルに巻き込まれたり、大アネキたちも、毎日のように大騒ぎしてばかりで、振り回されることも多いけどさ。・・・ここに来てから、何て言うか、すごく生きているっていう実感が感じられるっていうかさ、前よりも、ずっと、笑ったり泣いたり怒ったりすることが、自然に出来ているような気がするんだ」
「お前、クラスではずっと無口だったし、誰ともつるんだりしなかったもんな。いつも一人で、誰も寄せ付けないって感じだったし、お前が笑ったり、怒ったりしたところなんて、見たことがない」
感情を閉ざしてしまえば、煩わしいものに捕らわれなくて、楽だもんね。
怒りの感情を封じ込めてしまえば、中学時代の時みたいに、毎日喧嘩に明け暮れなくっていい。
寂しいって言う感情を抑えつけてしまえば、一人ぼっちでも大丈夫。
そうやって、ずっと、自分自身の気持ちを押し殺して、生きていこうと思っていた。
だって、いくら「寂しい」「苦しい」「助けてくれ」と叫んでも、誰も、助けてくれないと分かっていたから。
だけど、この世界に来て、大アネキたちと出会ってから・・・。
自分の気持ちを正直に伝えてもいいんだってことが分かった。
大人ぶって、自分は一人でも生きていけるって、無理にカッコつけなくてもいいんだって思えるようになった。
ー「もし、お前が良ければウチに来いよ!オレはお前のことがもうマジで気に入っちまったんだ!!なぁなぁ、いいだろっ!?つーか来い!!団長のオレが決めたんだからこれで決まり!!いいな!?」ー
大アネキが、強引に僕を仲間に入れてくれた。
だけど、それが、今ではすごく嬉しい。
僕に、ずっと憧れていた家族や、居場所を与えてくれたんだ。
「・・・この料理はさ、大アネキたちも大好きで、この地方ならではの料理なんだって。それが美味しいと思えるなら、桜も、ここでやっていけると思ってさ」
「・・・斗真、それって・・・!」
そして、僕は、桜に向き直って、改めて真剣な気持ちで思いを伝えた。
「桜は、どうしたい?元の世界に帰りたいとか、思っている?」
「・・・いや、それはねえな。俺も、家に帰ったって、居場所なんてものはないさ。ただ、組のために、金を稼いでいればそれでいいとしか思われてないし、もう親父とは、とことんウマが合わないってことが分かったからな」
「・・・それなら、ここで、一緒にやっていかない?」
もう、許してもいいと思った。
だから、全ての思いをこの言葉にかける。
「ようこそ【彩虹の戦乙女】に。僕は、桜を歓迎するよ」
「・・・!!」
桜の目が大きく見開いたかと思うと、涙が、ポロポロとこぼれ落ちていく。
「そういうこと!オレたちは、来る者は拒まず、去る者は追い回す主義だからな!ニャハハハ♥」
「それに、どうせ便宜上とはいえ、散々私たちに迷惑をかけまくったんだから、その分は、しっかりと働いてもらうわよ」
「これからも、よろしく頼むぞ。サクラ」
「・・・・・・右に同じ」
ー我も、お前を歓迎するぞ。-
「・・・お前たち・・・本当に・・・どこまで・・・バカ・・・なんだよ・・・!」
桜が涙を流しながら、魚の煮込みを口に入れて、ゆっくりと噛みしめて食べていく。
「・・・お゛い゛し゛い゛・・・!!本当に、美味しい・・・!!おれ・・・こんなに・・・美味しい料理・・・食べたことがない・・・!!あ゛り゛か゛と゛う゛・・・こ゛さ゛い゛ま゛す゛・・・!!」
こうして、桜は、僕たちの仲間となった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「うえっへっへっへ・・・♥もう、飲めないぞー♥」
「はいはい、大アネキ、ベッドから落ちないでね」
一升瓶を抱きしめたまま、完全に酔いつぶれた大アネキを寝かしつけると、僕とアレクシアさんは部屋を出た。これで、全員、無事部屋まで送り届けた。
「皆さん、ご機嫌でしたわね~♥まあ、今日ぐらいは、大目に見て差し上げますか」
「明日は、王宮で、改めて一連の事件の報告書を提出して、ブリアック女王と謁見して・・・やることが多いから、寝坊しないように、気をつけないといけませんね」
「まあ、謁見は午後からでしたし、ビビちゃんは置いていくから、そこらへんは大丈夫ですわ」
ビビ姉、最初から「コイツ、絶対に寝坊するし、謁見中に居眠りするから無理」と判断された。
そして、アレクシアさんもほろ酔い気分なのか、足元がおぼつかない。
仕方ない、後片付けは僕だけでやろう。
まずは、アレクシアさんには休んでもらわないと。
「とりあえず、アレクシアさんも、休んでおきましょう。部屋はここでしたよね?」
「ええ~、それでは、お先に、お休みさせていただきますわ~♥」
アレクシアさんを支えながら、僕は、アレクシアさんを寝かしつけようとした。
その時だった。
「え?」
あれ?いきなり、視界がクルクルって、回転して・・・?
ぼすっ←(僕がベットの上に、寝かしつけられた音)
あれ、何だろう。
つい最近、同じようなことがあったような気がするんだけど。何このデジャブ。
そして、僕の上に、アレクシアさんが跨って、獰猛な笑みを浮かべていた。
「・・・あ、あの、アレクシア、さん?」
「お前が悪いんだぜ?わたくしが司る罪は”暴食”だっていうのに、こんなにも可愛くて、無防備で、美味しそうな男の娘が目の前に出されたら、もう、我慢なんて出来るわけねえだろうが。へへへ・・・♥」
あ、アレクシアさんがブラックモードに切り替わっていらっしゃる!?
「そんなに脅えるなって♥すっごく気持ちよくって、楽しいことをして、遊ぼうぜ・・・?団長よりも、もっと、楽しませてやるからよ♥トーマちゃん、わたくしも、愛人として、お前のハーレムに入れてもらうけどいいよなぁ?答えは聞いてねえけどよ!!」
え、あの、その、ちょっと、落ち着いてください!?
ちょ、メイド服、破れちゃうからダメですってばっ!!
ヤバい、この人、完全に理性がなくなってる!!
「愛しているぜ、トーマちゃん♥これからも、よろしくな♥それじゃ、いっただっきまぁぁぁす!」
「いぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」
洋館に、僕の悲鳴が虚しく響き渡ったのだった・・・。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
-・・・トーマ、遅いな。皿洗いを一緒にやろうと、言っておいて、どこにいった?-
「・・・もしかして、また何かに巻き込まれているんじゃないか?」
そのころ、桜とユキは、斗真の帰りを待ちながら、宴会の後片付けを黙々とやっていた。
しかし、その日、斗真はとうとう帰ってこなかった・・・。
桜、改めて、犯罪奴隷として【彩虹の戦乙女】に入隊しました。
斗真も桜のことを許して、受け入れることにしました。
しかし、斗真の未来は果てしなく前途多難です。
ドSな幼女魔王に、オモチャとして狙われてしまうわ、四凶たちには同情されるわ、アレクシアが愛人に無理矢理なってしまうわ・・・。
追放されてからも、トラブルだらけな展開になるのは、もはや斗真の運命かもしれません。
次回からの番外編も、ギャグ多めで、書いていこうと思っております!!
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!!




