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第十六話「アレクシアの怒り~里長憎けりゃ里までが憎い~」

本日二回目の投稿となります!

ブックマーク登録件数310件もいただき、本当に、ありがとうございます!!

これからも頑張りますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

 「・・・今度の騒ぎは、オラドールの集落のエルフたちが主犯という、確たる証拠が、見つかったわ。”すまほ”で撮影された動画に、オラドールの里長を中心に、人間を魔物に改造する、人体実験が行われている様子が撮影されていた。もうこれだけでも、抗議をするには、十分な証拠となるわ」


 和田さんたちは、自分たちが改造されるまで、ずっと、クロス王国やエルフたちの悪事の証拠を手に入れていた。桜を助けるために、命を懸けて、集めた証拠は・・・ベリス姉さまや、ブリアック女王に、託された。


 「さて、邪眼一族と手を組んで、これだけの騒ぎを起こしてくれた以上、里長や幹部の身柄は、何が何でも拘束してもらわないといけないわけだけど、レベッカ、やってくれるかしら?」


 「おうよ!こっちも、散々、ちょっかい出されて、いい加減、頭に来ていたんだ!派手にやってやるぜ!!」


 「・・・アレクシア、聞くまでもないが、覚悟は出来ているか?」


 「あらあらまあまあ~、ようやく、この時がやってきたかと思うと、嬉しくて、嬉しくて、仕方がありませんわ~♥もはや、300年たっても、結局、バカは治らなかったわけですし、もう、いっそのこと、この世から早く消し去ってやりたいですわ♥」


 アレクシアさん、目がもう、笑っていません。


 これ、もう、完全に怒っていらっしゃいますよね?


 大アネキたちに、お仕置きをした時も、か~な~り~、怖かったですけど、今のこれは、もはや比べ物にならない!ありったけの殺意と怒りを、強烈な威圧に変えて、全身から容赦なく、部屋中に放っております。


 「あ、あの、ベリス姉さま。・・・アレクシアさんと、そのエルフたちって、何があったんですか?」


 「・・・オラドールの里ってね、アレクシアの、生まれ故郷なのよ」


 「アレクシアさんの、ふるさと、なんですか?」


 「ああ、しかし、そこのエルフたちというのが、とにかくどうしようもない連中ばかりでな。生まれつき、魔力が強いということを鼻にかけて、同じエルフたちのことも見下していたし、他種族に対する偏見と差別的な感情がひときわ強くて、自分たちこそが、この世で最も優れた種族だと、本気で思い込んでいる連中だった」


 ああ、つまり、井の中の蛙っていうヤツだったんですね。


 「・・・わたくしは、ハイオークの父親と、エルフの母親との間に生まれた、ハーフエルフなのです。ですから、耳がオークの特質を受け継いで、このような獣の耳となっているのです」


 そういうことだったんだ。


 そして、母親はオラドールの娘だったらしいが、あまりにも傲慢で、高圧的で、他人を受け入れない頑な姿勢の父親や、エルフたちに幻滅し、反対を押し切って、里を飛び出した。


 里を飛び出した先で知り合った、ハイオークの父親と恋に落ちて、結ばれたという。


 アレクシアさんの話によると、ハイオークの血を引いているためか、普通のエルフには習得できない【体力強化】や【腕力強化】といった、強化の魔法を覚える事が出来たそうだ。そして、彼女を産んだ、母親も、村では一・二位を争うほどの、強い魔力の持ち主で、その魔力を受け継いだ彼女は、まだ、子供の時に、大魔導師に匹敵するほどの強力な魔法を習得してしまう、天才少女だったらしい。


 「その当時、お母さまが、絵本に出てくるような、魔法使いのような人だと思っておりましたの。それで、わたくしも、いつかは、お母さまのような、すごい魔法使いになりたいと思って、勉強をしていましたの。不思議なことに、魔法に関することなら、飲み込みが早かったみたいですわ」


 ところが、彼女が5歳の時に、両親が、野盗に殺されてしまった。


 彼女は、たまたま薬草を取りに行っていて、家を離れていたため、無事だった。しかし、帰ってきた彼女が目にしたのは、炎に包まれている自分の家だった。


 そして、両親は、家の中から、無残な姿となって発見された・・・。


 唯一の家族を失い、途方に暮れたアレクシアを引き取ったのが・・・現在、オラドールの里の里長を先祖代々受け継いでいる【オラドール家】の里長だったのだ。アレクシアさんにとっては、祖父にあたる人物だった。


 「・・・里長は、ハーフエルフの癖に、エルフ族を差し置いて、強力な魔法を使える、わたくしのことが疎ましくて仕方がなかったようですわ。それで、わたくしは、地下牢に閉じ込められて、囚人のような扱いを受けて、育てられてきたのですわ。里の連中は、里長の所業を知っていながら、誰一人として、わたくしのことを助けようとはしなかった。それどころか、里の連中は、寄ってたかって、わたくしのことを・・・生まれも育ちも卑しい、汚らわしい獣の子だと、罵るようになりましたわ」


 あまりにもひどい、エルフたちの悪事に、僕は気持ち悪いと心底思えた。


 彼女は、ただ、母親のような魔法使いになりたくて、魔法の勉強をしていただけじゃないか。


 自分たちよりも、強力な魔法を使えるからという理由だけで、まだ5歳だったアレクシアさんを、地下牢に閉じ込めて、ずっと、囚人のような生活を強いるなんて・・・!!


 しかも、里長にとっては、実の孫じゃないか!!


 どうして、孫にそんなひどい仕打ちが出来るんだ!?


 「おそらく、オラドール家や、里のエルフたちは、自分たちよりも魔力が強い、ハーフエルフのわたくしを、徹底的に苦しめることで、自分たちの方が優秀だと、思い込みたかったのでしょうね。自分よりも、優秀な種族の存在を、決して認めようとはしない人たちでしたから」


 「・・・本当だよな。オレたちが初めて里を訪れた時にも、汚らわしい魔物風情とか言いがかりをつけてきてさ、全然、話を聞こうともしなかったもんな」


 「あれとは、まともに話し合うことなど、もはや不可能だろう」


 アイリスさんや大アネキも、当時のことを思い出したのか、表情が険しくなる。


 そして、彼女が16歳を迎えた時、彼女は、オラドールの息子の一人娘・・・アレクシアさんの従姉に当たる女性に連れ出されて、彼女がリーダーを務める、冒険者パーティーの回復術士として、働くことになった。


 「・・・あの時は、彼女のことを、心から信頼していましたわ。わたくしが、牢屋に閉じ込められている間も、唯一、わたくしの味方になってくれた方でしたから。泣いてばかりいる、わたくしのことを励ましてくれたり、魔法の本を持ってきてくれたりして、甲斐甲斐しく、世話を焼いてくれていましたから」


 アレクシアさんは、やっと、どん底だった人生をやり直せると、思ったらしい。


 自分のことを頼ってくれた、従姉のために、全身全霊で仕えて、支えて行こうと心に誓った。


 その矢先だった。


 アレクシアさんが、最初に受けた依頼・・・モルボルの討伐のクエストを実行している最中に、彼女は、突然、仲間だと思っていたエルフたちから、麻痺の魔法をかけられてしまったのだ。


 そして、彼女が見たのは、自分が倒れているのに、悪魔のような、醜く歪んだ笑みを浮かべている、従姉とその仲間たちだった。


 『アンタなんか、最初から、囮にするつもりだったのよ!それなのに、お姉さまなんて、素直についてきちゃってさぁ、バッカじゃねーの!?マジでウケるんですけど!!』


 『汚らわしいオークの血が流れているアンタなんか、死ぬことでしか、私たちの役に立たないのよ!私たちは選ばれた種族!!オークなんかの血が混じったアンタが、私たちよりも、優れているなんて、絶対に許されないことなのよ!』


 『これについては、里長や、村の人たちも、みんな、了承してくれたわ。長い間、ずっと、ストレスのはけ口として利用してきたけど、もう、用済みだから、さっさと死んじゃえってねー!!』


 『キャハハハハハハハハハハハハ!!』


 「・・・モルボルに迫られて、死を覚悟した時、わたくしを助けてくれたのが・・・団長たちでした。団長たちは、ハーフエルフであるわたくしのことを、暖かく、仲間として、家族として、受け入れてくれたのです」


 最初は、家族や身内、里のエルフたちすべてに裏切られて、大アネキたちにも心を開かなかったが、モルボルを前にしても逃げることなく、命を懸けて挑み、見事討ち果たした彼女たちの姿が・・・とてもまぶしく見えたという。


 そして、モルボルに襲われたいきさつを話したところ、団長たちは、本気で怒った。


 「・・・それで、オラドールの里の里長のところに、怒鳴り込んだんですね?」


 「ああ、その結果が、門前払いだ」


 「他国とのつながりも最低限しかなかったから、醜聞を広めても、連中にとっては痛くもかゆくもない。長い間、鎖国のような状態が続いていたから、自分たちの集落のことしか、世界を知らない。肥大化した連中の自尊心は、もはや、説得するという方法では不可能だ」


 「まあ、そういうわけだから、それだったら、お礼参りが手っ取り早いってことになってな」


 「・・・お礼参りって、何をやったんですか。こっちから、何かを仕掛けたら、大アネキたちの立場が悪くなるんじゃないんですか?」


 「だから、立場が悪くならない、つまり、あの連中の方が悪いって状況に持ち込めばいいだけだろうが」


 そういって、大アネキが、にかっと笑った。


 「そのクソムカつく従姉の前に、ちょっと顔を出しただけだ。たまたま、偶然だ。そしたら、案の定、向こうから、やれ森を出ていけだの、やれ汚らわしい家畜だの、罵詈雑言のオンパレードでよ。アイリスに、アレクシアのために、我慢をしろと言われていて、黙っていたんだよ。そしたら、向こうが、勝手に剣を抜いて、大騒ぎし出したんだ」


 ああ、つまり、相手の自爆を狙ったということですか。


 「剣を抜いたってことは、オレを殺すつもりってことだよなぁ?オレを殺すっていうなら、オレに殺されても、文句は言えねえよなぁ?獲物を抜いた以上は、命のやり取りしか、もう選択肢が残っちゃいねえからなぁ・・・て感じで、連中には、きっちりと落とし前をつけさせたってわけ!」


 「命を狙われた以上は、私たちも本気で戦うしかあるまい?そして、その落とし前は、ちゃんと親御さんにとってもらわないといけないだろう?」


 「あの時は、もう、本当に愉快でしたわ~♥不細工な顔が、さらに潰れた饅頭のような顔に変形するまで殴りましたから♥その後、手足を折られて、涙を流して、無様にもお漏らししていましたし♥」


 「まあ、連中は聖霊の加護を受けているから、ちょっとやそっとの怪我じゃ死なねえからよ。それに、アレクシアが味わった11年間分の恨みつらみが、どれほどのものだったか、しっかりと身体に叩き込んでおく必要があったんでな?とりあえず、里長と、里長の息子とその娘と娘の仲間、全員、けじめをつけてから、素っ裸にして、木に縛り付けてきたんだよ」


 「もちろん、魔物を引き寄せる、甘い花の蜜を、たっぷりと塗りたくってあげましたわ♥うふふふふ、あの森には、魔物のほかにも、毒を持った虫や、蛇といった生き物がたくさんいますからねえ。ちゃあんと、首にカードを下げてきましたわよ?『我々は、新しい性癖に目覚めた、変態です!現在、自虐プレイ中、邪魔をするな!』と書いてね♥」


 悪魔か、この人たちは。


 冒険者や、森に住む亜人族にそんな姿を見られて、笑われて、ドン引きされた日には・・・プライドなど、木っ端みじんだろうよ。


 里長たちに、精神を崩壊させるほどの、けじめをつけさせることによって、さらに弊害が生じる。

 これまで、他種族を受け入れなかったことで、村の掟だけを絶対として育ってきたため、里の実力者たちが使い物にならなくなったら、里の運営は、たちまち崩壊する。


 そこまで追い込めば、さすがに、エルフたちも自分の考えが間違っていたと、認めざるを得ないだろう。


 本当なら、それ以上、やりたかったらしいが、さすがにそこで、ベリス姉さまから待ったがかかった。エルフたちは抗議をしたらしいが、もとはと言えば、里長の孫娘が、大アネキたちに剣を抜いて襲い掛かったりしなければ、こんなことにはならなかったのだろうとベリス姉さまから言われてしまった。


 その結果、これまで、自分たちこそが優秀だと思い込んでいた、オラドールのエルフたちのプライドはボロボロになり、周囲のエルフたちからも、冷たい目で見られるようになったらしい。


 「・・・現在の里長は、オリガ・オラドール。アレクシア、お前を追放し、殺そうとした、従姉のエルフだそうだ。祖父や、父親は、あの一件以来、ずっと何かに怯えていて、家の中に引きこもっていたらしいが、どうやら、娘の方は、まだ懲りていなかったらしい。自分たちを笑ってきた、シャルトリューズの森のエルフたちや、亜人たちに復讐を果たすために、邪眼一族と手を組んだそうだ。もはや、完全に自制のタガが外れてしまっている。禁書まで、どこからか手に入れてきて、その力を利用して、シャルトリューズの森どころか、バーディネ大陸を支配するつもりだ」


 「・・・もう、ここまできたら、今度こそ、仕留めるしかないのでしょうねぇ」


 「いいのですか?里長は、貴方にとっては、従姉ではありませんか」


 「この際、もう、こんな血のつながりを完全に絶つ覚悟で、やらせてもらいますわ。自分たちの振る舞いを省みる事が出来ず、あくまでも、自分たちが正しいと言い張って、世界を憎み、他者を憎み、逆恨みで大勢の罪のない人たちの命まで奪う彼女たちは、もはや、存在そのものが害悪ですわ」


 アレクシアさんは、本気だった。


 「・・・それに、わたくしにとっての家族は、お父様とお母様、そして【彩虹の戦乙女(グラン・シャリオ)】の人たち、だけですから」


 彼女は、真剣な表情で、ブリアック女王に対して言い切った。


 その瞳には、迷いはなかった。


 「・・・それでは、改めて、お前たちに依頼を言い渡す。標的は【オリガ・オラドール】が率いる、オラドールの里のエルフ軍全員だ!これより、里に攻め込み、禁忌の実験や儀式を何度も行ってきた大罪人として、討伐を命じる!オリガ、並びに、彼女と手を組んでいる邪眼一族の【渾沌】、クロス王国の【チヅル・マツモト】を必ず倒して、その首を、ブリアック女王に差し出すのだ!!」


 「了解!!」


 こうして【彩虹の戦乙女(グラン・シャリオ)】と、エルフ軍と渾沌将軍、そして、松本との戦いの火ぶたが切って落とされたのだった。 

敵の黒幕は、300年前にけじめをつけたはずの、アレクシアの従姉。

父親や祖父は立ち直れなくなりましたが、娘は、どうやら300年経っても、愚かな性格と腐った性根は治るどころか、ますますひどくなっておりました。挙句の果てに、魔族と手を組んで世界征服に乗り出すわ、人間を捕らえて、魔物に作り変える禁忌の実験を繰り返すといった、救いようのない悪人になりました。


彼女たちに対する、報復を、一生懸命考えながら、書き上げていきたいと思っております!!


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!

次回もよろしくお願いいたします。


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