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幕話②傭兵の特訓は・・・王様ゲーム!?~トーマの意外な過去!?~(後編)

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!

新作が完成しましたので、投稿いたします!

どうぞ、よろしくお願いいたします!

 「それでは行きますよ!せーのっ!!」


 「「「「「王様だーれだっ!!」」」」」


 みんなが一斉に紙を引いて誰が王様か確認し合う。


 どうやら、今度も僕じゃなかった。もうこうなったらこれ以上の生き恥を晒さなければ何だっていい。


 


 「・・・・・・私がキングである!」←鼻息をふんすーと荒くして宣言するビビ姉。




 一番僕の人生を地獄のどん底に突き落としかねない人が当たってしまった。


 ああ、ユキちゃん。僕の人生はどうやらここまでのようだよ。どうか強く生きておくれ。


 ー落ち着け、トーマ。どうしてたかがゲームでそんな真っ白に燃え尽きているのだ?-


 「ユキちゃん、僕、ユキちゃんと仲良くなれてよかったよ。大好きだよ」


 -うむ、我もトーマのことは好きだぞ。-


 「・・・どうしていきなりそんな別れの挨拶みたいなことを言い出すのよ?」


 グリゼルダさん、この後、ビビ姉がどんな罰ゲームを引き当てるか気が気じゃない僕を冷たく突き放さなくてもいいじゃないか。ハッキリ言って、このメンバーの中で一番手加減というものをしないビビ姉が何を言い出すかと思うと、身体の震えが止まらないんです・・・!!


 「・・・・・・それでは王からの命令を言い渡そう。王様が6番のほっぺたにチューをする!!さあ、トーマ。恥ずかしがることはない。お姉ちゃんの愛を込めた特別なチューを受け止めるのだ!さあ、舌と舌を絡め合うディープなキスをするのだ!ふんすー!」


 「え?で、でも、僕・・・4番だよ?」


 「・・・・・・え?」


 部屋の中の空気が一瞬凍り付いたような気がした。


 「オレは2番。アイリスは1番か」


 「・・・私が3番で、ユキが5番。トーマが4番ってことは・・・」


 「・・・ビッビアッナちゃーーーーーーん!!ボクだよーーーっ!!やったぁぁぁっ!!ついにこの時がやってまいりましたぁぁぁっ!!ああ・・・ついにこの素晴らしき記念となる日がやってきたんだね!!僕にとって高嶺の花ともいえるパーフェクトクールな君と愛の営みを交わせるなんて、今日は人生最高の日さ!さあ、遠慮なくブチューと来たまえ!!」


 「・・・・・・・・・」


 ブチブチブチッ!!←ビビ姉の堪忍袋の緒がまとめて数本ブチ切れた音


 「・・・・・・そうか、分かった。それなら、遠慮なく殺らせてもらう」


 あの、すみません!?やるという言葉のフレーズが物騒なものに聞こえたのは僕ですか!?


 「さあさあ、遠慮なくボクのほっぺたにビビちゃんの熱い口づけをくれたまえ!!」


 「・・・・・・歯ァ食いしばれ」


 ゴンッ!!(ビビ姉が渾身のヘッドバット・・・もといキスをした音)


 「おぶぇっ!?」


 「・・・・・・まだまだ」


 ゴンッ!!ゴンッ!!ゴンッ!!ゴンッ!!ゴーーーーーーンッ!!


 「あじゃぱぁぁぁぁぁぁっ!!」


 「・・・あれってキスじゃなくて、頭突きじゃないですか!?」


 「いや、あれがビビアナにとってはキスなのだろうな」


 「それでいいんですか!?」


 「今のビビには何を言っても無理よ。ヴィルヘルミーナに絡まれてキレた時のビビはヤバい」


 -あれがキスというものか?鐘を突いたときの音が聞こえてくるような気がするのだが。ー


 ユキちゃん、あれはキスやない。完全に相手を殺しにかかっている頭突きや。


 ≪ヴィルヘルミーナさんにビビ姉から熱いキスの嵐を受けまくっています。しばらくお待ちください。≫


 「・・・・・・次でラストにする」


 「あの、ヴィルヘルミーナさん、その、生きてますか・・・?」


 「返事がない。ただのしかばねのようだ」

 

 「縁起でもないことを言わないでください!!」


 ビビ姉の石頭・・・もといキスを108発ももらったヴィルヘルミーナさんの顔面はボッコボコにされており、全身ズタボロになって横たわっていた。それでもゲームをやるつもりなのか、震える右腕を上げて親指を立てた。スケベもここまでくればある意味大したものだ。


 そしてこれが最後のゲームとなった。


 「せーのっ!!」


 「「「「「王様だーれだっ!!」」」」」


 「おっ、オレだ!えっと、それじゃ5番は一つ黒歴史を暴露しろ!!」


 「・・・5番って、僕ですよ」


 もう泣きたい。つーかもうこうしていい年してバニーガール姿になっているのだから、これがむしろ黒歴史ということでいいじゃん。


 「トーマの黒歴史って言っても、勇者に命を狙われている以上にヤバい黒歴史ってないような気がするわよ?」


 「・・・そういえば、あのミヅキとかいう頭のイカれた女が言っていたが、鬼姫とは何のことだ?」


 アイリスお姉ちゃん、そんなことを覚えていやがったか!?


 「・・・・・・そういえばそんなことも言っていた」


 「鬼姫って、お前が別に名乗ったわけじゃねえだろ?どうしてそんな風に呼ばれるようになったんだよ」


 はあ・・・。


 いくら罰ゲームだからってよりにもよって、あの時のことを話さなくちゃいけないのか。

 まあいいや。どうせいつか皆に聞かれたときには話そうと思っていたからね。


 「・・・僕の中学時代のあだ名だよ。3年間喧嘩に明け暮れていたからさ」


 「そんなに可愛いのに、絡んでくるような不届き者がいたっていうのかい?」


 「この見た目のせいだよ。男子の制服をちゃんと着ていたっていうのに、中学の時のクラスメートの男子にものすごいバカなヤツがいてさ。僕のことを男装趣味のある女子生徒だって思い込んで全然話を聞いてくれなかったんだ。毎日のようにしつこく絡まれて、こっちは何度も僕は男だって言っても信じてくれなくてさ。ある日、とうとう無理矢理服をはぎ取られそうになったの。それでもう頭にきちゃってさ、思い切り殴り飛ばしちゃったの」


 あの時は本気で怖かったから、相手がしばらく起き上がれないぐらいにボッコボコに叩きのめしてそのまま放置しちゃったんだけど、あれだけ痛い目に遭えばもう懲りるだろうって思っていたんだ。


 「・・・そしたら、そいつがさらに燃え上がっちゃってさ。運動部の知り合いから不良の仲間に片っ端から声をかけまくって、集団で一斉に襲い掛かってくるようになったんだ。僕を手籠めに出来るなら何でもよかったみたいだ」


 「・・・そいつ、マジで最悪ね」


 「それで、襲い掛かってくる連中も次第に数が増えてきてさ。隣町からやってくるヤツも出てきて、そういった連中を片っ端から殴り飛ばし続けていたら、いつの間にか周りからつけられたあだ名が【鬼姫】さ。もう、毎日毎日喧嘩ばっかりでさ。他のクラスメートたちは巻き込まれたくないから離れていくし、先生もまともに話を聞いてくれなかったし、親もいなかったからさ。だから、一人で全部解決するしかなかったの」


 「ご両親がいないのかい?」


 「生まれてすぐに田舎のじいちゃん家に赤ん坊だった僕を押し付けて、二人とも海外に飛び出して仕事と不倫に大忙しだったみたい。両親とまともに顔を合わせた記憶はほとんどないし、中学を何とか卒業した時には、海外にいる二人から、これからは一人前の大人として一人で頑張りなさいってお祝いのメッセージをもらったなあ。・・・親子の縁を切る手切れ金と海外で出来た不倫相手と再婚して新しい家族と一緒に笑顔で写っている家族写真を送りつけてきてさ」


 「・・・ありえないでしょ、それ」


 マジでクズだったな、僕の両親・・・。


 まあ、子供の時から誰かに頼ろうとしても、助けを呼んでも、親だから無条件で助けてくれるわけじゃないってことが分かったわけだ。それ以来、極力何でも自分で出来るように、家事全般も必死で覚えたし、ちょっとやそっとのことじゃ動じなくなったよね。


 「そうしているうちに、とうとう半グレにまで大金を積んで僕を襲うように頼み込んだりするようになってさ。おそらくその時、雁野は暴れている僕を見ていたんだろうね。僕だって好きで喧嘩とかしていたわけじゃないもん。ただ、大勢の男たちに無理やり車に連れ込まれそうになったら誰だって抵抗するだろう?まあ、その一件で半グレグループを潰したことが広まって、もうその街にいられなくなったからその街から離れた町に引っ越して、もう誰とも喧嘩をしない普通の人生を送ろうと思っていたんだ」


 「なるほどねえ、そんな心の傷をあのミヅキっていう勇者はほじくり返したってわけか」


 「・・・すまねえ!嫌なことを思い出させちまって」


 「・・・ううん、今こうして話せるようになったってことはあの時と比べれば、だいぶ心が楽になったんだと思うよ。それは大アネキやアイリスお姉ちゃん、グリゼルダさんにビビ姉、そしてヴィルヘルミーナさんやユキちゃん、ベリスお姉さまたちに出会えたからあの時はつらかったなって言えるぐらいに思えるようになったんだ。正直この世界に来る前には、僕、クラスにも友達なんて一人もいないぼっちだったもん。一人の方が楽だったしさ。他人に気を遣う余裕もなかったし、一人ぼっちは寂しいなんて考えているヒマもなかったからさ。そんなこと考えているよりも、今日の夕ご飯は何を食べようかって考えてばかりだったし」


 アルバイトで稼いではいたけど、一人暮らしで節約していたからろくなものを食べていなかったもんな。それに一人で食べるご飯なんてお腹は溜まるけど、美味しいって思ったことは一度もない。


 「だけど、ここにきて考えが色々と変わったかな。僕、ここがすごく好きなんだ。みんなでいつもバカばっかりやっているし、命がけの戦いや冒険をしたり、大変なことがいっぱいあるけど・・・ここにいるみんなと一緒ならどんなことでも乗り越えて行けるような気がするんだ」


 もう寂しくない。


 この人たちと一緒なら、命を懸けて戦うことが出来る。


 この人たちがくれた暖かい温もりにあふれたい場所を守るためなら、全力で守り抜いて見せる。


 ここでみんなで一緒にご飯を食べて、ちょっぴりお酒も飲んで、わいわい騒ぎながら過ごす時間がこんなにもかけがえのない大切なものだということを、僕はここに来てから起きた出来事を思い出しながらかみしめていた。


 「だから、僕はこれからも魔法裁縫師として、皆の仲間として役に立てるように一生懸命頑張りたい。みんなと一緒に楽しくワイワイ騒いでいきたい。・・・これが・・・家族っていうものなのかな?すごく暖かくて・・・嬉しくて・・・一人じゃないことって・・・すごく幸せなことだったんだって」


 ああもう、また泣いちゃってるよ。


 嫌になっちゃう、昔からずっと泣き虫のままだ。


 「・・・だから、ここにいさせてください。僕をここにいさせてください・・・!」


 「・・・安心しろよ。オレたちのモットーは来る者は拒まず、去る者は追いかけて連れ戻す、だからな!お前はもうオレたちの大切な家族で、大事な弟分だ。この先誰がお前を奪おうとしても、誰にもやらねえよ。お前は【彩虹の戦乙女(グラン・シャリオ)】の大事な仲間だ」


 「そういうことだ。お姉ちゃんたちが何があっても守り抜いて見せるさ」


 「アンタ、色々と溜め込み過ぎ。少しぐらい、愚痴ってくれてもいいのに。無理していい子にならなくてもいいんだからね?」


 「ふっ、可憐で美しく心優しい君のようなお姫様の涙は、いつでもボクがぬぐってあげよう。それが王子としてのボクの使命ってヤツさ」


 「・・・・・・いくらでも甘えてくるといい。あと、この色ボケが何かしてきたら言って。このビビ姉が確実にコイツを亡き者にしてみせよう」


 「ちょっ、ボクのことを一体何だと思っているのさ!?」


 「スケベ」←大アネキ。

 「万年発情期」←グリゼルダさん。

 「色情魔」←アイリスお姉ちゃん。

 「×ね」←ビビ姉。


 「・・・うわーい、ボクって本当にみんなから愛されているなァ」


 ヴィルヘルミーナさん、涙が滝のように流れていますよ?


 でも、みんながかけてくれた言葉はすごく暖かくて優しかった。

 この人たちに守られてばかりではなく、僕もみんなを守れるようにもっと強くならなくちゃいけない。

 自分を守るだけの強さではなくて、大好きな人たちを守れる強さを身に着けたい。


 今までとは違う、強さに対するあこがれ。


 それはこの世界で、皆と出会えたことで知った大切なこと。


 「・・・ありがとう、ございます!」


 僕も決着をつけなくてはいけない。


 僕や、僕の大切な人たちの命を狙い続けているアイツらとの戦いを終わらせて、因縁に終止符を打つんだ。


 中学時代、僕のことをずっと追いかけまわしていて、今では勇者となって僕のことを殺そうとした【雨野柳太郎】。


 【松本千鶴】。


 そして、【幕ノ内桜】。


 残りは3人。


 必ず決着をつけて見せる。

番外編の王様ゲームと、斗真の過去はいかがでしたか?

過去に色々と辛いこともありましたが、乗り越えて強くなろうとする斗真の成長シーンが上手く書けるようにこれからも頑張ります。


次回から第三章「シャルトリューズの守護竜」編に入ります!軽く予告いたします。


斗真の相手となるのは【幕ノ内桜】。


しかし、桜も絶体絶命の危機・・・!


そして、シャルトリューズの森で新たに加わる6人目の仲間は回復術士にして料理長を務めていたおっとり系聖女【アレクシア・アッシュクロフト】です!!普段はおっとりのんびりとしていますが、一度怒るとレベッカたち全員が震えあがるほどの恐ろしいお姉さん系のキャラクターとなっております。


次回もよろしくお願いいたします!



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― 新着の感想 ―
[一言] 環境によって人は変わるものなんですね 美月がああなったように… 次章に来るのは【暴食】のアレクシア・アッシュクロフトですか!! レベッカたちがセルマに見つからないようにしてくれた奴と会えるん…
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