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第十四話「ビビ姉の大発明~落ち込んでいるヒマさえありません~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます。

シリアスな場面は続きますが、今回はギャグシーンが多めとなっております。

というかミーティングで真面目に話し合うシーンなのに、脱線が多いのはご愛敬としてよろしくお願いいたします。

 その日の夜。


 僕たちはダンタリオン女王陛下が用意してくれた部屋で休み、翌朝からロニセラの調査に向かうことになった。そしてこれまでに起こった出来事をまとめて、翌日はどう動くか、アイリスさんの部屋でミーティングをすることになった。


 「今回の一件を動画付きでヴァネッサ女王に送ったら、クロス王国との友好を破棄することに決めたようだ。他国の王宮にいきなり乗り込んで騎士団に襲撃を仕掛けるようなヤツを勇者に選ぶようなアホな国とは金輪際お近づきになりたくないとのことだ」


 「そりゃそうでしょうね。ブラオベーレだけでなくて、今後そう言った国が出てくると思うわよ。そのぐらい今度の一件は酷すぎたからね。クロスは結局自分で自分の首を絞めることになったわけか」


 「賠償金どころでは済まんからな。ハニーベルもクロスとの友好は破棄するそうだ。クロスも北と南の大国から見放されて、その被害はかなり甚大なものになるだろう。そして、ブラオベーレとハニーベルはクロスの暴挙に対抗するために同盟を結ぶことになりそうだぞ。今後はハニーベルとブラオベーレの間で交易や国交も検討するそうだ」


 「ざまぁねーな、勇者たちを利用して自分の国のアピールをしようとしていたのに、勇者たちのせいでピンチに陥っていればさ」


 「・・・・・・続いて、明日のロニセラ攻略について、私から提案がある」


 ビビ姉がアイパッドのような魔道具を操作すると、僕たちの目の前にスクリーンのようなものが浮かび上がって、画面にはロニセラを含む【バルクーク山岳地帯】の全体図が映し出された。


 「私が入手した情報によると、ロニセラを中心に半径5キロメートル圏内において魔力で発生した吹雪が図書館を守るように吹き荒れているわ。この吹雪には幻覚作用を引き起こす魔法が込められていて、不用意に入ればだれでも道に迷い、そのまま吹雪の中から出られなくなって遭難する恐れがあるわ」


 「つまりさ、このロニセラを中心に吹雪が起きているんだとしたら、その術者は中心地であるこのロニセラの中にいる可能性があるってことか?」


 レベッカさんが尋ねると、ビビ姉がこくりとうなづいた。


 「・・・そして、影を使って調べてみたら、その術者の正体も突き止めることに成功したわ」


 「・・・・・・カグラの神官【バイロン・フォン・ビショップ】と、クロスの第三王女【イレーネ・フォン・イステル】。この二人が結託して図書館を乗っ取って近づけさせないようにしていた」


 はぁぁぁっ!?ちょ、ちょっと待って!?

 それって確か隣国の神官と駆け落ちして行方不明になっているクロスの王女様のことじゃないか!?

 その二人が図書館に引きこもって誰も近づけさせないようにしているってどういうことだ!?


 「おいおいおい、それマジかよ。シャレにならねえじゃん!!」


 「・・・イレーネって言う王女はそもそも王族というよりも、知的好奇心が強くて、歴史学や考古学、魔法学に傾倒しているいわば学者肌な人物でね・・・カグラの王子と婚約して、カグラに嫁いだ理由というのも考古学や歴史学の聖地とも言われているロニセラが置かれているのがカグラだからという理由ではるばる北の大地にやってくるほどの・・・研究バカなのよ」


 「クロス国王もカグラに娘が嫁ぐと言った時にはさすがに止めたそうだが、そしたら婚約は破棄して、北の大国とのつながりも白紙に戻すとまで言って、無理矢理押し切ったそうだ」


 そうか、ハニーベルとカグラは両方ともクロス王国とつながりがあるんだ。(雁野の一件でハニーベルは破棄する考えらしいけど)それで、カグラが一方的にハニーベルを邪魔者扱いしていて、それで国同士の仲が悪くなったってことらしい。カグラは『クロスと仲良しなのはうちだけでいいの!ハニーベルは邪魔!!』などという子供じみた理由でハニーベルにこれまでに色々とネチネチ嫌がらせのようなことをしていたらしい。


 「・・・カグラの国王は野心家でな。クロスとのつながりが出来たことで、カグラをドランブイ大陸を支配する王都としてハニーベルを乗っ取ろうと画策していたそうだ。しかもそんなことを酒を飲みながら堂々と王族や貴族に持ち掛けていたらしくてな。その誘いに乗ってクロスの王族や貴族にお近づきになろうとしているものも出ていたそうだ」


 「隠そうともしないってことですか・・・」


 「他国に喧嘩を売っている以外、何物でもないんだけどね」


 アホだ、カグラはマジでアホだ・・・!!

 国王を筆頭に、他国を乗っ取ろうとすることを堂々と公言するバカにくっついて甘い汁を啜ろうとしているバカしかいないって、クロスもひどいけどここも大概ひどいな!誰か止めようよ!!


 「ロニセラの所有権をハニーベルが所有しているのが気に入らないそうよ。歴史的建造物としても名が高いし、書庫に収められている伝説とも言われている魔導師が記した魔導書や様々なジャンルにおける造詣の深い書物が何億冊と収められている世界最大級の書庫をどうしても手に入れたいみたい」


 ああ、なるほど。つまりその神官はカグラ出身だけど、あくまで隣国の図書館の雇われ館長というわけだ。隣国の仲を取り持つためにやったんだろうけど、カグラ王はそれも不満だったというわけか。


 「・・・もしかすると、カグラ国王の命令でその神官が図書館を乗っ取って騒ぎを起こしているってことか?」


 「・・・・・・違うと思う。カグラも現在、神官と姫が駆け落ちして行方不明になっていることで大騒ぎになっている」


 「クロス王国からも責任を追及されまくっているしね。それなら最初から神官に任せるでしょう」


 「まあなんにせよ、どうやってロニセラに近づくかが問題だよな」

 

 「・・・・・・そこで、私に提案があります」


 そういって、ビビ姉は腰につけているケースから水色の宝箱のミニチュアを取り出した。


 「・・・・・・トーマとおそろい♥くっふっふ♥」


 「ずるいぞ、お前!!でなくて、それは一体なんだ?」


 「・・・アンタ自分の欲望を優先するんじゃないっての」


 「・・・・・・落ち着いて話を聞け、トーマとその他の愚民ども。テレッテッテッテ~、ビビアナの今週のドッキリビックリドッカーンな新発明~、どんどんぱふぱふー」


 効果音を自分の口で言うんだ。


 宝箱の鍵穴についているスイッチを押して、放り投げると宝箱が光り、巨大な腕と丸みのあるボディが特徴的なパワードスーツだった!!


 「うおおおおおおーーーっ!!すっげえーっ!!マジでカッコいい~っ!!」


 レベッカさんが目をキラキラさせて子供のようにはしゃぎだす。


 「・・・・・・トーマと出会ってから、私の脳細胞と知的好奇心、そして、やる気はトップギアだぜぃ。お姉ちゃんの新発明、その名も『ワルキューレ』。ボタンを押すだけで陸上、水中、空中、探索が困難な環境においてもこれに乗り込めば調査をすることが出来ます・・・どうだ、トーマ、お姉ちゃんすごい?」


 「・・・すごいです。こんなに大きくて強そうなメカを作れるなんて・・・ビビ姉・・・本当にすごい・・・!!」


 こんな大きなメカをたった一人で設計して、開発することが出来るなんて、ビビ姉は超一流の魔法技師で発明家と言われている理由が分かった気がする。


 「・・・・・・ふおおお、その言葉が聞きたかった。有象無象の賞賛よりも、トーマのその一言が聞けて、お姉ちゃんは感無量」


 ビビ姉が無表情のまま、目をキラキラさせて震えている。

 そして、目にも止まらぬ速さで僕の身体に飛びつくと、顔を近づけてきて・・・。


 「ちゅー♥ちゅー♥ほっぺたにちゅー♥」


 ぷちゅっ、ぷちゅっ、ぶちゅーっ♥


 僕のほっぺたに右と左、交互に唇を押し付けてきた!!

 いやいやいや、ちょっと待って!!さっきからアイリスお姉ちゃんとグリゼルダさんが鬼のような形相でこっちを睨んでいるから!!


 「・・・どうやらここで死にたいようだな。この作品はお前の発明家人生最後の作品として丁重に扱うことを約束しよう。それが分かったなら・・・心置きなく死ぬがいい」


 「妬ましい恨めしい憎らしい妬ましい恨めしい憎らしい妬ましい恨めしい憎らしい・・・!!」


 「・・・・・・やーい、やーい、巨乳ホルスタインと根暗ネコ女~、おしりペンペーン、あっかんべー」


 ブチンッ(アイリスお姉ちゃんとグリゼルダさんの何かが切れた音)


 あ、これアカン。


 「「死ねぇぇぇぇぇぇっ、このボケナスーーーーーーッ!!」」


 ちょ、待って、そんな僕に向かって雷の矢と無数のクナイを投げつけてこないで!?

 てか、ビビ姉もういねえっ!?ちょ、このままじゃ、これ全部僕に・・・!!


 ドカン!ドカン!!ドカーーーン!!!


 「ふぎゃああああああっ!!」


 「バカーッ!!トーマに全部ぶち込んでどうするんだよぉぉぉっ!?」


 あ、身体中がしびれて・・・僕・・・意識が遠のいてきそうだ・・・。


 桜・・・どうやら僕はここで死ぬかもしれない・・・。


 レベッカさんが珍しく慌てているのか、絶叫しているのが耳に入ってきた。


 「し、しまったぁぁぁっ!?ついカッとなって・・・!!」


 「ちょ、トーマぁぁぁっ!!しっかりして!!ごめんなさい!!」


 「・・・まだ未亡人にはなりたくない。死ぬなー、トーマ」


 「誰のせいでこうなったと思っているんだ!?」


 「アイリス、それ完全にブーメランだからな!?」


 「レベッカにツッコミを入れられた、だと・・・!?」


 「・・・も、もう、嫌・・・」


 ああ、そうだった。

 雁野や桜のことで頭がいっぱいになっていたけど、この人たちもかなりのバカだったんだよな・・・。


 敵も味方もバカばかりってか、アハハハ・・・。


 さっきまで桜がどうなったか、色々と考えていたけど・・・まずはこの後回復魔法をかけてもらって、傷の手当てをして、明日までに体力と魔力を全快させるために、木の聖霊石で布団を作ってぐっすりと眠らなくちゃな・・・なんて考えだしていた。


 ここにいると、悩んでいるヒマすらないんだね・・・。

敵も味方もバカばかり。

斗真の受難はさらに続きます。(この状況に慣れつつある斗真のメンタルも図太いものだが)

次の話では体力と魔力を全快させた状態で、調査に乗り込みます。


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >他国の王宮にいきなり乗り込んで騎士団に襲撃を仕掛けるようなヤツを 勇者に選ぶようなアホな国とは金輪際お近づきになりたくないとのことだ アポ取らず勝手に他国の王宮に武装して乗り込んだ…
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