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第六話「想定外の再会~ビビアナ・ブルックス~」

いつも拙作を読んでいただき、本当にありがとうございます!!

本日、第4のメンバー【ビビアナ・ブルックス】が登場します!!

不思議ちゃん系のキャラクターは初めて書きますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 くねくねとした遊歩道を駆けあがり、僕たちは映像で見た展望台のどこかにいるビビアナさんを探していた。空にはいつの間にか分厚い灰色の雲が覆い尽くし、空気も肌に突き刺すような冷たいものに変わっていく。


 「展望台のどこかにいるのは間違いないんだけど、どこにいるのかしら?」


 「ああ、この展望台かなり広いぞ。探し出すのは骨が折れそうだな」


 雪をかぶった美しい雪山やふもとに広がる緑が映える森林、その反対側には色とりどりの街並みや海が広がっている雄大で美しい風景が楽しめる展望台は思ったよりも広い。どこにいるんだろう?


 




 「・・・何やってんの?梶っち」






 僕の耳に聞き覚えのある声が飛んできた。


 とっさに声が聞こえてきた方向を見ると、そこにいた人物を見て僕は表情が凍り付いた。


 「・・・幕ノ内・・・!!どうしてここにいるんだよ!?」


 それは僕を追放し、殺そうとした5人のクラスメートの一人・・・幕ノ内桜だったからだ。

 幕ノ内は湯気がふんわりと上がる暖かい飲み物を飲みながら、話しかけてきた。


 「あたしは勇者のお仕事で来たんだよ。梶っちはどうしたのさ。まさか、これからこの街にものすごい吹雪がやってくるっていうのに、こんなところでのんびりと観光でも楽しんでいるの?早く宿に戻らないと、街の中で遭難しちゃうかもよ?」


 「どういうつもりだよ。まさか、僕にとどめを刺しに来たのか!?」


 「へへへ、ちょうどいいぜ。トーマをよくもひどい目に遭わせやがったな。きっちりと落とし前をつけてやるぜ、クロスの勇者様よぉ!!」


 レベッカさんが獰猛な笑みを浮かべて、拳をバキボキと鳴らしていた。アイリスさんやグリゼルダさんも目つきが険しくなり、桜を睨みつけながらいつでも飛び出せるように身構える。


 しかし、桜は僕たちが身構えて睨みつけているにもかかわらず、肩をすくめてやれやれと言ったように笑みを浮かべた。


 「生憎ここでやり合うつもりはないよ。ただでさえ警備がすごく厳しいことになっているっていうのに、街の中でドンパチなんてやらかしたらすぐ警備の人が駆けつけてきて面倒なことになるでしょう?本来なら梶っちを連れ戻したいところだけど、今は違う仕事を最優先でやらなくちゃいけないんだ。だから、今日はこの辺りでお暇させてもらうよ」


 そういって立ち去ろうとした時。


 「・・・あ!」


 何かを思い出したように桜が再び僕たちに振り向いて話しかけてくる。


 「・・・現在封鎖されている、展望台のハイキングコース3番ポイントの休憩所の近く」


 「あん?」


 「そこに大きな青い宝石の中に閉じ込められている人がいるよ」


 「何ですって!?」


 「封鎖されていて、人も立ち寄らないから誰も気が付かなかったんだろうね。早く行ってあげれば?じゃないと、もうそろそろ雪が降ってきてこの辺りも危なくなってくるだろうからさ」


 もしかして、ビビアナさんの居場所を教えてくれているのか?

 いや、もしこれが罠だったらどうする?僕がとっさにグリセルダさんに目配せをすると、彼女も頷いて、彼女の足元の影が土竜の姿になって地面をものすごい速さで潜っていく。


 「こっちも大変なんだよね。何せクロスの第3王女とカグラの神官が駆け落ちして行方不明になっちゃったもんだからさ。港町を封鎖して二人が国外に逃亡しないように厳戒態勢で捜査網が敷かれているみたいだけど、どうもその二人はまだ国外に出た様子はないらしいよね」


 桜がまるで独り言のように、なぜか大きな声で僕たちに聞こえるようにしゃべり出した。

 ていうか、クロスの第3王女とカグラという国の神官さんが駆け落ちしたって、どういうこと!?


 「なるほどな、だからこんなにも検問が敷かれていたり、警備が厳重だったのか。しかし、それは本当なのか?もしそれが本当なら、クロスにとっては大打撃になるだろうな」


 「コイツの言うことを真に受けて、本当に大丈夫なの?」


 「あー、あたしは独り言を言うクセがあるからお気になさらずにー。そういえば、二人が駆け落ちして行方不明になったのが2週間前で、ロニセラとかいう古代図書館を中心に誰かが魔法で発生させていると思われる吹雪や凶暴化した魔物が人を襲う事件が起こるようになったのもちょうど二人が行方不明になった時期と同じだったなー。千鶴に報告しないとなー!」


 そういって、まるで茶化しているかのような感じで僕たちの前を余裕たっぷりといった様子で桜が通り過ぎていこうとする。しかし、桜は僕の前で止まると顔だけを僕に向けてきた。その表情は神妙で、決してふざけていない、真剣な表情をしていた。


 「雁野がすぐ近くにいる。斗真、気を付けた方がいいよ」


 「え・・・?」


 「アイツは”人間”じゃない。話し合いなんて選択肢は考えない方がいいよ。アイツに会ったら”倒す”か”逃げるか”のその二つだけにしておきな。死にたくなければね」


 ちょっと待ってよ。

 どうして自分の仲間であるはずの雁野のことを人間じゃないって冷たく突き放すように言って、僕に気をつけるように言うんだよ。まさかこれも僕のことを油断させるための演技・・・?


 そう思ったけど、どうしてもこのまっすぐな目は・・・嘘を言っているような目ではなかった。


 「じゃ、またね~♪」


 そういって、手をひらひらさせながら桜は歩き去っていった。


 「・・・いた!!アイツが言っていた通り、3番ポイントの近くの森の中にいる!!」


 何ですって!?桜は本当のことを言っていたってことなの!?

 

 「罠か?」


 「・・・いいえ、トラップとかそういったものは仕掛けられていない。つまり、アイツは私たちの仲間がいる場所を教えてくれただけということになるわね」

 

 「・・・どういうことだ?」


 グリゼルダさんが困惑した様子で言うと、アイリスさんたちも腕を組んで考え込む。

 そりゃそうだ。どうして僕たちの敵でもある桜が、僕たちの仲間の居場所を突き止めてそれをあっさりと僕たちに教えてくれるんだ?しかもこれは罠とかではなく、ただ居場所を教えてくれただけ・・・。


 「とにかくよ、まずはビビアナを助け出すのが先決だな!何だか、すごく寒くなってきたし、風の流れがキーンっていう感じがしてきた。これ、ヤバい感じだ!!」


 「ああ、どうやら吹雪いてくると言うのは間違いなさそうだ。急ごう!!」


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 「・・・・・・いたぜ!!」


 ハイキングコースの第3ポイントの休憩所の近くにある、少しだけ開けた森の中に青い宝石の中に閉じ込められている巨大な甲冑に身を包んだ【ビビアナ・ブルックス】の姿があった。


 3メートルはある巨大な体躯、甲冑がはじけ飛びそうになるほどの鍛え抜かれた筋肉を持つこの人がビビアナさんなのだろうか。


 「トーマ、頼むぜ!!」


 「・・・はい!やってみます!!」


 僕は魔石に両手を触れて、精神を集中させる。


 そして、意識がどこかに吸い込まれていくような感じがしたかと思うと、僕の頭の中には無数の青色の帯が張り巡らされている、右も左も天井も青色に染まり、まるで雪景色でも見ているかのような真っ白な

床が地平線の果てまで続いている。


 その中を歩いていくと、巨大な扉が見えてきた。


 そこには青色の鎖が雁字搦めに縛り付けられていた。


 「この扉の向こうに、ビビアナさんがいる・・・」


 僕が扉に近づくと、扉の奥から声が聞こえてきた。






 『・・・・・・・・・誰?』






 あれ?

 あの見た目からは想像もしなかった、感情を感じさせないというか、抑揚のない声が聞こえてきた。

 でも、この声はどう聞いても・・・女性の声だよね?


 「あの、僕は【彩虹の戦乙女】の魔法裁縫師・梶斗真と言います。【七人の獣騎士】のレベッカさん、アイリスさん、グリゼルダさんと一緒に【彩虹の戦乙女】というパーティーで活動をしています。ビビアナ・ブルックスさんですか?迎えに来ました」


 『・・・・・・・・・団長、アイリス、グリゼルダ・・・・・・・・・もしかして、私のことを探しにきてくれた?』


 「はい!!」


 『・・・・・・もうちょっとグータラ寝ていたかったけど・・・・・・私がいないとみんなダメみたいだし・・・・・・・・・仕方ないか・・・・・・・・・お外、出るから、出してくれる?』


 う、うん、何というかマイペースというかのんびりとした感じの人だよね?

 僕は錠前を外すと、鎖が吹き飛び、扉が静かに開かれた・・・。


 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 「・・・はっ!!」


 目を覚ますと、僕の目の前の青い宝石に無数のひびが音を立てて一人でに刻みこまれていた。


 そして、宝石が音を立てて砕け散ると、宝石の中から巨大な甲冑で武装した騎士が飛び出してきた。


 「-甲冑アーマー解除オフ


 そんな声が聞こえてきたかと思った瞬間、甲冑が頭部、胸部、腕や脚のパーツごとに吹き飛んだ。

 そして、その中から姿を見せたのは・・・小柄で可愛らしい、幼さとあどけなさを感じさせる美少女だった。


 寝ぐせだらけでボサボサの水色のショートカットヘアー、澄んだ水色の瞳を眠たそうにしており、陶磁器のように真っ白な肌にはシミ一つついていない。身体のスタイルやわずかに膨らんでいる胸やお尻に吸い付くように着込んでいるボディースーツのみの姿を着込んでいる姿はまるでSFとかでよく見るロボットのパイロットかアンドロイドのような感じがする。そして最も印象的だったのは・・・感情の起伏がほとんど感じられない無表情を浮かべているところだった。


 彼女の背中の左側には水色の光を放つ【熊】の紋章が刻み込まれていた。


 「ビビアナーーーっ!!」


 「久しぶりだな、ビビ!!」


 「・・・・・・ん・・・・・・【七人の獣騎士】の【騎乗兵】・・・・・・【氷結のブルックス】改め・・・・・・【ビビアナ・ブルックス】・・・・・・参上・・・・・・みんな・・・”くしざしぶり”・・・・・・」


 「・・・それを言うなら”お久しぶり”でしょうが」


 「・・・・・・そうとも言う」


 「そうとしか言わないっての・・・相変わらずなんだから・・・」


 グリゼルダさんがため息をついて、頭を抱えている。その様子を見て、首をかしげていた。


 こうして、僕たちは4人目の仲間【ビビアナ・ブルックス】さんと無事合流を果たすことが出来た。


4人目は巨大な甲冑や魔導兵器に乗り込んで戦う騎乗兵、ビビアナ・ブルックスです。

小柄でロリ体形の美少女で、言い間違いネタや突拍子のないギャグ(本人はいたってそんなつもりはない)をやらかしては仲間たちを混乱させて、振り回しまくるビビアナのはじけっぷりをご期待ください。


そして、ビビアナの居場所を教えて、吹雪が来る前に宿に戻るように忠告し、雁野には気をつけろとアドバイスまでしていった桜の目的は、近々明らかになります。斗真たちのことを気遣ったのは、あくまでもクロス国王から斗真を生け捕りにして連れてくるように命じられたこともありますが、桜には斗真を利用するために必要な手駒として考えているところがあります。


次回もよろしくお願いいたします。

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