表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/75

神子様、出発する

『フェルディナンド様、ひとつ食べてもいいですか?』


エンは、ほこほこと湯気を上げるクッキーをジィっと見つめて、前足でクッキーを今すぐにもつまみそうな姿勢で、俺に許可を求めてきた。


「一つだけなら、いいよ。ジエイドも、スピネルも」


俺だって、一枚食べるしね。やっぱりこのちょい堅めのポリポリした感じが、癖になるクッキーだな。もう一枚食べたいけど、不公平だからやめたおこう。


『ものすっごくおいしいですの』


ジエイドは、目をキラキラさせながら絶賛してくれた。でも、頬にクッキーのカスがついてるよ。


『今まで食べたクッキーの中で、一番おいしいです』


普段は、あいまいな感情の読めないニコニコ笑顔を浮かべているスピネルも、にぱーって頬を緩めている。そこまでおいしい?このクッキー。


「喜んでくれてよかったよ。3人?ともそろそろ行こう」


歓迎会に、遅刻するって恥ずかしいしね。それに、できるだけあったかいうちに届けたい。


『そうでしたの!完全に、クッキーに意識がむいていましたの』


おい、何のためにクッキーを作ったんだ?


『そうでした!僕が報告したのに』


おい、報告者が何で忘れてるんだ。


『そうでした!歓迎会でした』


スピネルまで……。3人?とも忘れるとは予想外だった。


『世界樹の杖(転移)で、直行しますの』


あー、あのチートアイテム。俺も、アリス様の許可を取って、アリス様のところに直行できるアイテム作ろっかなぁ。


「お願い。だけど、場所が正確にわからないのに転移できるの?」


普通、転移アイテムって場所が正確にわかっていないと、使えないものだけど……。


『世界樹の杖だから、大丈夫ですの。細かい原理は忘れましたけれど、あいまいな場所でも確実に転移するみたいですの』


へぇー、さすがチートアイテム。それあったら、遅刻知らずで羨ましい。


「それじゃあよろしく」


精霊たちの歓迎会、楽しみ。


『わかりましたの。


 世界樹の杖よ その力の一端をふるい 我が望む場所へと 時空をつなげ』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ