最終話「ニュースのお姉さん」
--
続いてのニュースです。
昨夜、市内の住宅に侵入したとして、自称・無職の犯人容疑者が住居侵入と窃盗の疑いで現行犯逮捕されました。
逮捕のきっかけは、偶然による『鉢合わせ』でした。
警察によりますと、現場となった住宅に、部屋を間違えて入室した女性二人組が、物色中の犯人容疑者と遭遇。
女性らは動揺を見せずに通報し、警察が到着するまでの間、言葉巧みに男を足止めしたということです。
調べに対し、犯人容疑者は容疑を認める一方で、『(間違えて入ってきた)あいつらもおかしい』と供述しており、警察が当時の状況を詳しく調べています。
--
「このニュース...実は私なんだよ...捕まえたのは....。」
夕暮れ時、大人たちが仕事から帰ってくる時間。
子供達は放課後に外で元気に遊ぶ時間...。
そんな時間に一人の成人女性が子供達にニュースの映ったスマホの画面を見せながらしみじみと話す。
「え~!!すげ~!お姉さん犯人捕まえたの~!?」
「どうやって捕まえたの~?」
「すげ~!!」
子供達からの評判はうなぎ登りだった。
「ふふふ....簡単だよ...話術....さ。話術があれば犯人でさえ聞き入ってしまうという事だな...。そう...話術があれば誰でも掌握することが出来てだな...。」
佐圓が話しているその間から出来が割り込むように声を掛けた。
「先輩...先輩!後ろ、後ろ!」
出来の言葉に疑問を抱き、素直に後ろを向く。
「佐圓さん...まだこんなことしてたんですか...。」
そこに居たのは塚間だった。
「うぇ!?あ!こ、これは何というか...出来心で...。」
塚間は「はぁ...」と少し大きなため息をつく。
「まぁ、今回は犯人を捕まえた英雄として目を瞑りますが、あまり子供に変なこと吹き込まないでくださいね?」
佐圓は「はい...」としぼんでいた。
「で、今日来たのは、警察側が感謝状を贈呈したいと言う事で式への招待状を持って来たんですよ。本来は電話とかなんですけど、昨日の事で色々聞きたいこと山積みですしついでにと。」
感謝状...その言葉を聞いて子供達が盛り上がる。
「すげ~!感謝状貰うの!?」
「マジで英雄じゃん!!」
「かっけぇ~!俺も欲しい!!」
佐圓はまんざらでは無かった。
苦節27年。
独身。
彼氏がいた経験――――なし。
仲の良い友人――――1人だけ。
仕事での評価もそこそこ...。
そんな成人女性が、唯一誇れるほどの....感謝をされるほどの貢献をした。
その証――。
翌週にはその贈呈式が行われた。
--
感謝状、佐圓乃子様
あなたは、昨夜〇〇市内で発生した空き巣事件において、的確な判断と勇気ある行動をもって犯人の検挙に多大な貢献をされました。
その功績は誠に顕著であり、ここに深く感謝の意を表します。
--
パシャパシャ.....。
地元や各局のテレビ局や新聞社がシャッターを切る。
佐圓と出来はその眩しさを目に焼き付けていた。
そうして、式がひと通り終わり、いつもの公園へと足を運ぶ。
少し時間が早かったのか、子供達はまだ来ていないようだった。
「先輩...なんか噓みたいでまだ現実味がないです...。」
出来は放心していた。
「私もだよ、けど、なんか感謝されるって気分がいい...。」
出来はその言葉に冷や汗をかいた。
「先輩!だからといっていろんなことに首ツッコんだりしないでくださいね!?頼みますよ!」
それを聞いて佐圓はふふっと笑う。
「私をなんだと思ってるの?」
出来は『色んな意味で行動力がえげつない変人ですよ』と心の中に留めた。
そうこう話していると子供達がわらわらと公園へと集まってきた。
「あ!ニュースのおねーさんだ~!」
「あれ、感謝状じゃね!?」
「うおぉ!みせてみせて~!!」
公園から住宅街へと響く子供達の声。
その声は活気づいていて、そして、誰よりもピュアで、どんなことにも興味を持ってしまう。
その声の中に1人しっとりと響く成人女性の声....。
「やぁ...。少年達...今日は"防犯について"詳しく話してあげよう....。」
今日も今日とて佐圓乃子の自己満足のためのドヤりは続くのであった――――。
魔物。でございます。
いやぁ~長いような短いような三か月間でしたね...。
と言っても投稿するときは全部下書きしてるんですが...。
改めて、ここまで読んでいただきありがとうございます!
個人的には書いてて楽しかったし、改めて色んな雑学があるなぁ~と感心しながら書いてました。
皆さんのお気に入りの雑学や、こういう雑学なら子供にウケけそう!とかあればぜひ教えてください!
佐圓乃子が待ってます!
では、またどこかでお会いしましょう。




