第十話「共同の模索」
とある日の休日...。
とある都内のマンションの一室で成人女性が2人....。
そう、佐圓乃子と出来詩子の2人が次の雑学についての模索をしていたのだった。
「先輩~。いっつもこんなだら~っとした感じで模索してるんですか~?」
出来はソファーの上で寝ころびながらスマホをパチパチと触っていた。
「いや~、張り詰めて考えてたってしょうがないでしょ~?」
佐圓もベットの上でゴロゴロと寝転んでスマホで検索を進めていた。
ちりんりん...。
ベランダにある風鈴が夏の風に揺れる...。
ゆったりとした時間が流れる空間。
麦茶に入れた氷がカラン...と音を鳴らすと同時に、2人の瞼も段々と落ちてくる...。
「って!!こんなんじゃそりゃあ面白い雑学なんて見つからないですよ!!」
出来は途端に体を起こして佐圓を怒鳴りつけた。
その後の静寂をちりん...と鳴る風鈴が埋めた。
「ん~...だって休日って仕事無いし正直、寝てたいんだもん...。ネットで面白いの見つけたらそれでよくない~?」
服もパジャマのままで、髪もぼさぼさ、そんな佐圓が出来の言葉に反論する。
だが、そんな佐圓を出来は放っておけないのであった...。
「ん~もう!先輩ッ!外!外出ますよ!!一緒に子供達に教えられる面白いものを見つけに行きましょう!!」
佐圓はゆっくりと出来の顔を見ると、クシャっとあからさまに嫌な顔をしてからプイっと反対側を向く。
出来はそんな佐圓を見て癇に障った。
「あ~、わかりました~。いいですよ~。私もう帰りますね~、で、月曜日に佐圓が子供相手に変なこと吹き込むのが趣味だってことを職場でばら撒いてやりますから~。」
佐圓はその言葉を聞くや否や...。
「わかった!ごめん!手伝ってくれてるんだもんね!もうどこだって行こう?宇宙でもなんでもいいよ!ほら!そんなこと言わないで?ね!」
そういいながら、早着替えと早化粧を済ます。
出来は早すぎる行動に少々引きつつも、「それでいいんです」と言い佐圓を引き連れて外へと外出した。
道中も佐圓が切符を買い間違えたり、急に佐圓が道に迷ってはぐれたりと色々とあったが、出来が目指していた場所に到着したのだった。
佐圓は道中、「どこに行くの?」と尋ねたが出来は「着いてからのお楽しみです」と教えてはくれなかった。
そうしていきついた先は――。
「そう!!科学博物館です!!」
目の前にはレトロな外観をした博物館と大きなクジラの像が現れた。
「先輩には知識というものが足りてない気がします!それは私にも言えるんですけど、とにかく!こういう所で知識を得て子供達に話すってのはどうでしょうか!」
出来の言ったことはぐうの音も出ず、真っ当な正論だった。
それ故に何も言葉が出ない。
「とにかく!考える前に行動しましょ!というか私自身も博物館とか久しぶりで楽しみなんですよね~」
出来も佐圓もいい大人だ。
この年にもなるとなかなか博物館などに訪れる機会などないだろう...。
という事で、2人は素直に、子供の頃に戻ったかのように...博物館を楽しむことにした。
"恐竜の進化について"
"宇宙について"
"土壌について"
など、様々な知識をメモしてひと通り見て回る。
知識が身に着く、という点だけでなくても、見ていてワクワクするという気持ちも同時に湧き一日しっかりと成人女性2人で楽しんだのだった...。
「くぁ~!楽しかったですね~!先輩!」
出来は大変満足そうにしていた。
そんな出来を横目に佐圓は今日学んだことをメモ帳にまとめていた。
『先輩って本当仕事熱心というか...。変なところで努力家だよなぁ~』
出来は口にはしなかったが、尊敬しながらも少し引いていた。
そうして、本日は2人で宅飲みしてお泊りしながら話すことをまとめようという事になったのだった――。
だが....。
ガチャッ....。
「あれ、開いてる...閉めるの忘れてたっけ私...。」
佐圓が頭を搔きながら今朝の事を思い出そうとする。
「先輩~、流石おっちょこちょいですね~!まぁ、そんなこと置いておいて早く飲みましょ~!」
そう言いながら出来は他人の部屋だとは思えないほどにづかづかと足を踏み入れてリビングの電気を付ける。
電気が付いた途端...。
キャアァァァッ!!!
出来の悲鳴が上がった。
その声に驚いた佐圓は出来の元へと近寄る...。
出来のその視線の先には大きな黒い影が、佇んでいたのだった....。
くそ!2人のいい雰囲気だと思ったのに!
一体何なんだ!




