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幸せを知らない令嬢は、やたらと甘い神様に溺愛される  作者: ちゃっぷ


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第37話

 二人だけの結婚式をして、改めて夫婦になってから一週間が経った。


 私達は各所に、改めて結婚の挨拶をしようと決めた。


 けれど私のワガママではあるけれど、最初に報告するのは最後までお世話になったカーフィンが良いと言って……カーフィンが教会に来る一週間後まで待ってもらっていた。


 ――カーフィンが教会に手伝いに来る日、二人で教会に来ると彼は困ったような嬉しそうな笑顔を浮かべて出迎えてくれた。


「……上手くいったみたいだね」


 そう言われてこくんっと頷くとカーフィンは、破局したら今度こそアルサを妻に迎えようと思ったのに~なんて軽口を叩いていたけれど、彼の本心でないことはすぐに分かった。


「……本当に、ありがとう。カーフィン」


 私が改めて……今までの全てを含めて感謝を伝えると、カーフィンは照れくさそうに頭をかいてから、幸せになってよと笑ってくれた。


「ちゃんと幸せにしてくださいね」


 そしてイラホン様の方にも初めて笑顔を向けて、そう伝えていた。


 イラホン様はどんな反応をするのかと思ってみてみると、彼もまた穏やかな笑顔を浮かべていた。


「もちろんだ」


 最初は険悪な感じだった二人も、今ではこうして笑顔を交わす仲になったのかと思うと……純粋に嬉しかった。


 ――次に私たちは、カティ様とバハロン様にご挨拶に行こうと思ったのだけれど……彼らの方が先に屋敷にやってきて驚いた。


 二人で出迎えると、カティ様は私の方をキッと睨んでくる。


「……イラホンを不幸にしたら許さないから」


 開口一番にそう言われて、少しだけ面食らったが……私は真剣に、けれど笑顔で答えた。


「はい。必ず幸せにします」


 私達がそんなやりとりをしていると、突然イラホン様が頭を下げ始めた。


 何事かと向こうも私も驚いたけれど、イラホン様は気にせず語り始めた。


「カティ。俺はアルサ以外を妻にすることは考えられないから、お前と結婚することは出来ない。今までちゃんと返事をしていなくて、すまなかった」


 そう言って謝罪するイラホン様を、バハロン様は信じられないといった驚愕の表情で見ていた。


 けれど、カティ様は真剣にイラホン様の言葉を聞いて……スムーズな動作でスカートの裾を掴んで腰を落とし、流れるようなお辞儀をしていた。


「……はい、分かりました。お返事をどうもありがとう」


 穏やかに微笑むカティ様は、大人びた美しさを纏っていた。


 私もなんだか嬉しくなって……その光景を黙って見ていた。


「いや~丸くおさまったね~。カティはちゃんと振られたし、アルサちゃんっていう女友達もできて良かったじゃん~」


 バハロン様はあえてだろうか、いつもどおりの明るい調子でそう言っていた。


 カティ様は突然の事に顔を真っ赤にして怒り狂っていたけれど、私がぜひよろしくお願いいたしますと手を差し出すと、おずおずとではあるけどちゃんと握手を返してくれた。


「……アルサのくせに、生意気よ……」


 そう呟いていたのを、私は聞き逃さなかった。


 それを嬉しそうに眺めていたバハロン様とも、もちろんその後、握手をさせていただいた。


 ――最後はイラホン様のお父様。


 瞬間移動でやってくると、前回と同じように使用人に玉座の間まで案内されて……お父様はやっぱり無関心な表情をしてステンドグラスの前に立っていた。


 イラホン様が結婚の報告をすると、お父様はそうか……と呟くようにこぼしていた。


 前回はただ許しを得ようと頭を下げて頼み込むだけだったけれど、私は勇気を振り絞ってお父様に声をかけた。


「……イラホン様は、私が幸せにいたします」


 私がそう言うと、イラホン様はもちろんのことお父様もそっくりな顔で目を見開いていた。


 自分にできることなんて大したことはない。


 けれど、それでもイラホン様が幸せだと言ってくれるのなら……私は全力で彼を幸せにする。


 決意を込めてお父様を見つめていると、ゆっくりとお父様の表情がもとの無表情に戻っていく。


「……後悔はしないか?」


「「しません」」


 私とイラホン様は口を揃えて即答していた。


 お父様は空をつくったこと、人間をつくったことを後悔していると仰っていたけれど……私は感謝している。


 お父様がこの世界をつくってくださったことで、私はイラホン様と出会うことが出来た……こうして幸せになることができたのだから。


 これから色々なことがあるかもしれない。


 もしかしたら、別れを選択する道が出てくることもあるかもしれない。


 でも、この選択を後悔することはない……そう思える。


 私達の答えを聞くとお父様は、そうかとまたこぼすように仰っていた。


 変わらず無表情だったけど……口元が少しだけ微笑んでいるように見えたのは、私だけだろうか。


 ――これで報告したい人への報告は全部終わり。


 私達は顔を見合わせながら微笑んで、二人で屋敷に戻った。

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