2章 9話 一転
藤堂烈は護を自身の最強の技
巨大な火球、炎王で焼き尽くしてやろうとした…
だが突如…周囲が真っ黒に染め上げられる
何が起きたのか?
嫌な予感が迫り寄って来る
そして頭が、体が、この場所を逃げろと命令を出す
ふざけるな!俺が逃げる?ありえねえ
進道をこの炎で確実に殺す
そう思い炎王を放とうと動きだす…
すると更に…嫌な予感が迫って来る
そして………嫌な予感は……もうそこまで来ている
「えっ!はぁ!?何だ?何で炎が消えて…
炎王も消えた?いったい何が起きたんだ?」
ドサッ!
音がした
その方向を見ると護がうつ伏せで倒れていて、護はまるで血の海に浸かってるかの如く口や鼻から血を流して倒れていた
そして黒い世界も元に戻った…
「何だあいつ………いきなり倒れて…
それよりも…この気持ち悪さは……何だ?
もやもやする様な…っ!……鼻が………はっ?」
烈はいきなり倒れた護に少し驚いたが…
それどころでは無かった、刃物を突き付けられているような嫌な…それは恐怖心の様だった
そして鼻から何か垂れたような気がして鼻の下を指で触ってみた…
「血だ…何でだ?どこかぶつけたのか?
それとも…頭に血が上って?えっ?えっ!?
まさかあいつ…また能力を?鼻血が…出ただけ?
もしかして…失敗したのか!?
そう言う事かっ!くっはははっ!あいつ能力を使う途中に力尽きたな!これで俺の勝ちだ!
氷雨っ!!お前のお気に入りは死んだぞ!
残念だったな、お前がこんな雑魚を連れて…」
「それは違うわね…あなたの負けよ藤堂」
氷雨は話を遮り何故か烈の負けを宣言した
「はぁ?…元々お気に入りじゃ無かったってか?
あぁ…そうか相手が死んだら負けになっちゃうんだったな~そう言うこ…」
「違うって言ってるでしょ
だから………あなたは護に負けたのよ
それに………私を……軽々しく名前で呼ぶな……
あなた…今すぐ死にたいの?」
氷雨から心まで凍り付く様な殺気が飛ぶ
烈はすぐに下を向き目線を氷雨から外す
本物の強者からの殺意に烈は耐えられなかった
二度と軽々しく名前で呼ぶのは止めようと誓う
そして氷雨は自分が護に負けたと言っている
(どう見たって俺の勝ちだろ……)
烈は意味が分からなかった……この時は…
そしてそれは遂に…烈の肩に手をかけた…
「えっ…な…何だこれ…何だこの痛み…これは…
さっきの進道の能力の………違う!これは…この波は
さっきの比になら………」
「ぐっ…ぐぁぁぁあああああああああああっ!!!」
その痛みは先程の痛みとは比にならない程だ
烈はあまりの激痛に転がり回り絶叫した
その痛みは絶え間なく襲い続け
気が狂いそうになる程悶え苦しみ血反吐を吐く
「あ………あがっ………ぐぅ………
だん…だよ……だぁんだんだ…ごの…いだみは……
ごばぁぁっ!……じらない……ごんなの……
やめ……でぐれ……が……ぐがぁあああああああっ!」
そして再度痛みが走る
それは心臓を二つに裂かれるかの様な…今までに魔物相手に一度も喰らった事の無い
肉体的な痛みと精神的な痛みを混ぜ合わした様な
想像も出来ない…激痛と言うには生ぬるい程の痛みに烈は感じたのだった
そしてどのくらい経ったのだろうか
烈は永遠にも感じる程に苦しみ悶える
その時には…烈は完全に…痛みで気が狂っていた
そして不意に苦しんでいた烈を見下ろす様な人影が見えたのだ……それは護だった
「ようっ…気分はどうだよ
まぁ…良さそうには見えねえけどな」
護は血だらけで今にも死にそうな程の状況だったが烈に対して軽い口調で話をした
「じ…!じんどうっ!くっ……ぐるなーー!!」
烈は護を見るなり地面を這いずりながら遠ざかる
その醜い姿は少し前までは誰も想像すら出来なかっただろう、その表情は恐怖に顔を歪ませている
そして護は烈の肩を掴み自分の方に顔を向けさせる
「どこ行くんだよ…藤堂…
まだお前は気絶してないんだ
この戦いはどちらかが気絶するまでだろ?
もう一回……我慢比べしようぜ……
最強のソルジャー……藤堂さん…よおっ!!」
護は烈を殴ろうとし、拳を振りかぶった…瞬間…
「い……いやだ……やべで……もう…やべでぐれ……
もう…ごうざんするがら…やべてぐだざい……」
烈は24にもなり人前で…号泣してしまった…
そして漏らしていた…あまりの恐怖で失禁したのだ
その瞬間……烈の放っていた身体強化の炎の様な光は
完全に消えてしまった
あまりの痛みに心が折れ戦う事を諦めたのだろう
そして護に対して完全に降参していた……だが…
「やめろ?…ふざけんなよ…やめるわけねえだろ!
お前は人を…氷雨を自分の物の様に言うやつだ
お前みたいなゲスな野郎は、徹底的に叩かないと…
どうせまた同じ事を繰り返すんだよ
だから………
俺がお前を…分からせてやるよっ!!」
護は思いっきり振りかぶり渾身の力を込めて烈を殴り付け吹き飛ばした
「あがぁっ!……あぁ………………」
身体強化をしていない烈は護に殴り飛ばされ…
完全に意識を失い気絶した……
散々Gランクとバカにしていた烈だが
護の異常さに…そしてなにより…
自身の傲慢さ故の心の弱さにより…護に敗北した
「ははっ…ざまぁみろ……最初から…俺をすぐに倒せばこんな事にはならなかったのに…
お前が傲慢で心の弱いやつで良かったわ
まぁ…どちらにしてもお前みたいなゲス野郎……
氷雨にぶっ飛ばされてたろうな…」
その場にいた全ての人の時が止まった
その最後に立っていた人物を見て………
そしてその光景を見ていた氷雨は話しだす
「そこまで……この勝負………進道護の勝ちとします
そして勝利した進道護は……
明鏡止水の新たなメンバーに認めます!
皆、異論はありませんね?」
氷雨は勝利を護に伝え護を迎え入れた
その戦いを上から見ていた多くのメンバー達や試験が気になり見に来た明鏡止水のスタッフ達
さらには護の試験の噂を聞きつけ見に来た一般人やソルジャー達が観客のようにドームに駆けつけ…
いつの間にか何万人も集まっていたのだ
「なっ……何だ……この人の多さ……
何だ?何かこれから始まるのか?」
護は戦いに集中していたので上の段にいる人達には全く気づかなかったのだ
そして皆が護に歓声を上げ拍手で讃えている
その大喝采はドームの外にまで聞こえる程だった
「す…すげえ……すげえよ!Gランクが勝った!」
「あの烈にGランクが勝つなんて…」
「スカッとしたぜ!ありがとう進道!」
「これが進道護の力…何て恐ろしく歪な力だ…」
「あのクズ野郎を倒してくれてありがとう」
「氷雨ちゃんのファンとして感謝するぞ護!」
「烈のビビり散らかしてる顔…最高だったぜ!」
「護君ホントにGランク?凄いカッコ良かったよ!」
「明鏡止水入団おめでとー、応援します!」
大喝采はまるで止まる事が無かった
そして空中の立体映像に流れるGLIVEのコメントはまるで読めるスピードでは無い速度で流れていた
更に凄いのはその視聴者数だ
なんと…3000万人もの人が視聴していたのだ
その視聴者数は明鏡止水の登録者数1000万人を軽く越える程の莫大な人が観ている
最初に配信を始めた時も80万人というとんでもなく多い人達が視聴していたのだが…
今は驚異のその何十倍もの人数、3000万人という桁外れの人達が護と烈の戦いを視聴していたのだ
コメント欄には海外の人と思われる人も多くいた
GLIVEには全ての言語を変換する機能が備わっており、コメントは配信者の言語に変換される
そして配信している人の言葉は全て自動で視聴者の言語に変換させる事が出来るのだ
いわゆる超高度な言語変換ツールの性能もあるのだ
護は周囲の大喝采に圧倒され…やっと気づく…
「これ……俺の事を…俺が明鏡止水に入れたから喜んでくれてるのか、凄いな明鏡止水の影響力は……
うおっ!GLIVEの視聴者数…3200万人かよ!
凄いな…これが日本屈指の大クラン…明鏡止水か…」
護はその異常な盛り上がりに思わず呟いた
完全に護は勘違いをしている…
最初に烈に対し改変の力を使った瞬間からその異常な光景がZやSNSなどに上げられ…
瞬く間に大バズりし拡散され、海外にも話題が広まり爆発的に視聴者が増えた
そして護が…Gランクの護がB+の烈を倒す
最弱がB+の強者を倒す、その完全なる逆転劇…
ジャイアントキリング、大番狂わせ、大金星…
GLIVEを観ていた人達は大いに盛り上がっている
【マジかよ…あいつやりやがったwww】
【あいつの権能って雑魚じゃ無かったのか…】
【GがB+を倒すとか…進道…面白えやつだなww】
【あのクズを懲らしめてくれてありがとう!】
【散々こけにしたやつに負けるとか……だっさ…
ねえ今どんな気持ちなの烈君www】
【あの男の権能は何なんだ?】英語】
【噂では知ってたがGランク初めて見たよ】英語】
【ランクの強さは世界共通では無いのか?
もしかして…あの日本人が特別なだけか?】英語】
そのコメントは止まる事を知らなかった
「ははっ…良かった…勝てて………良かっ……あれ?」
緊張の糸が解けたのか護はいきなり仰向けに倒れる
しかし…
その背中を優しく受け止められ寝かされた
「いきなり倒れないでよ護
私が来なかったらあなた頭を打って死んでるわよ!
まったく…心配させないでよね…バカ…」
護は見上げる、そこには頬を少し膨らませ怒っている白銀の髪の少女…氷雨がいたのだ
氷雨は護が倒れそうになった瞬間に全力の身体強化を使い護を背後から受け止めていたのだ
「あぁ……だな~」
護は大歓声を聞きながら氷雨と話す
「俺さ、氷雨が言ったように…俺誰よりも……
いや…違うな…俺は…この変わっちまった世界で…
どんな理不尽をも跳ね返せる様に…大切な人達を守れるように……俺…これからも頑張る…よ……氷雨………」
「そ……そうね!頑張りなさい護
そうよ護、ずっと聞きたかったのよ
あなたのあの能力はいったい何な…………」
氷雨は護が使ったあの謎の能力について聞こうとし
たが…護は……気絶するように眠っていた…
「あなたいつも私の話を最後まで聞かないわね
はぁ、まぁいいわ…今はゆっくり休みなさい…
………あなたは誰よりも強くなれるわ…
力が全てのこの世界で…誰よりも…それにね…
あなたには私がついているのよ…
護…おやすみなさい…私の………………」
そして護はまた闇の中に落ちていく
だが前とは違い…何故か心地よい気がしていた………
2章はこれで終わりにします
ちなみに2章7話の登録者と視聴者の数間違えました。
修正しました。すみません_(._.)_
でも修正出来るの凄いですね
あそこを変えよう、ここを直そうが色々出来て個人的に話をちょっと変えるのは楽しいです。
でも見てくれてる人がいるのかは自分には分からないんですけどねwwでも楽しいので頑張りますo(`^´*)




