2章 4話 来客
「えっ!?」
護は氷雨の言ってる意味が分からなかった
「あっあの…どう言う…事?」
「だから、水狼牙クランは無くなったって
解散するに決まってるじゃない
あの人格の変わりよう、護や私に対する暴言や攻撃なんかをGLIVEで配信しちゃったんだから
それも何千万人にもLIVEで観られたんだから
今なんて水狼牙のチャンネルも無くなったけど
ZとかSNSに動画流れて
とんでもない大炎上してるのよ」
氷雨はとんでもない爆弾情報を護に投下した
「それにあの…有馬のクランメンバーに対する暴力や恐喝とかありとあらゆる悪事がバレたらしいわ
警察も動いているみたいよ、あの馬も終わりね
そ…そう言う事だから…あ、あの…」
氷雨は護に説明した後、うつむき何かを言いたそうにもじもじと恥ずかしそうにしていた
護の頭の中では有牙が捕まりそうやらの話は
正直どうでも良かった
いつか捕まるのは誰の目でも明らかだったからだ
それよりもクランが無くなったのが1番の衝撃だった
「まっ…まずい…クランが無くなったのが1番まずい
今月の給料もまだ未払いだし
何よりこれから魔物の討伐に参加出来ない…
俺みたいな弱いソロを雇う所何か無いし
ど…どうしよう…はあぁ~とりあえず帰ろう…」
護は独り言の様にロビーの自動ドア相手に話す…
そして諦めそのまま帰っていく
「しょ…しょうがないわね…
と…特別にあなたをうちのクラン明鏡止水で雇ってあげても…良いわよ!あっ…あれ?ま……護?」
俯きながら顔を少し赤くし、ずっと伝えたかった事を護に話した氷雨は顔を上げる
だがもうそこには護は居なかった…
「どこ行ったの?もしかして…わ…私が話をしてるのに聞かないで帰ったの!?
し…進道……護……あなた……絶対許さないわよ!
絶対………許さないんだから」
氷雨は小さな子供の様に癇癪を起こし護に怒る
だがその表情には怒りの感情だけでは無い
違う感情もそこにはあった
そして氷雨も出口に向け歩きだした
✳✳✳
護が退院して2日後
東京都豊島区にある駅からもそんなに遠くない
ワンルームの風呂、トイレ付きの小さなアパート
築30年の高畑荘、ここが現在護が住んでいる家だ
特に物は置いて無くテレビやソファーなども無い
魔物討伐に必要な物
あとは生活に必要な冷蔵庫くらいだ
部屋は物が無く綺麗に見えてしまう
そこで護は1人床に座りながらスマホ観ていた
そのニュースLIVEに映るコメンテーター達の話題は有牙修二のクラン水狼牙の話をしていた
護はスマホを見ながら独り言を言う
「う~んやっぱり塩パンは最高だな~!
あぁ~やっぱり捕まったのか有牙さん…
まあそりゃ捕まるよな
裏でもどんだけ悪い事してんだよあの人
はぁ~これからどうするかな…
クランの仕事も無くなっちゃったし
俺みたいなソロじゃ討伐に参加させて貰えないし
魔物を倒す前に仕事してお金稼がないと……」
護は昨日の夜に大量に買った塩パンを食べながら
これからの生活の事を考え朝から憂鬱になっていた
そして時刻は午前9時
突然家のチャイムが鳴った
「おっ?誰だこんな時間に?はーい今開けます」
護は急いで立ち上がりドアを開ける
そこには赤い炎の様な髪で黒いスーツ
黒いサングラスを付けた異様な雰囲気を放つ筋肉質な20代後半だろうか?1人の大男がいた
「あ…あの…ど…どなた…ですか?」
護はその大柄の男性のオーラに圧倒されてしまい言葉がつまってしまった
「いきなりすみません
私は警視庁第一魔物対策課、隊長
(不知火 旭)しらぬい あさひと申します
進道 護さんで間違いありませんか?」
化物みたいな大男は見た目によらず優しい声で丁寧に護に確認を取る
「そ、そうです…
あっもしかして池袋の取り調べですよね?」
護は旭の優しい声に安心し話し出した
「取り調べ……いえ私はあの魔物と戦った進道さんに直接お話を聞きに来ただけです
深い意味は何もありません、少し時間を頂いても宜しいですか?」
護は旭の真剣な眼差しを見て旭を誠実で信用に足りる人だと確信していた
「わかりました、自分に分かる事があるなら…
あっ…特に何も無いんで…お茶くらいしか出せなくて申し訳ないんですけど…
どうぞあがってください」
護はこの家に誰か来るなんて初めての事だったので何も準備しておらず焦って旭に頭を下げた
「いえお構い無く
それではお言葉に甘えて、失礼します
なるべく手短に済ませるので」
護は旭を家に上げあの時の出来事を旭に説明した
「なるほど……
進道さんと水神さんをなぜ殺さないで帰ったのか…
話を聞き、私もその2人が強くなった時に刈り取る様に…また現れる説は正しいと思います
あの魔物は進化か隠していたのかは定かではありませんが…あの強さを持ちながら誰1人として殺さないで帰る…それは単純に強い者と死闘したかっただけなのかもしれませんね…」
旭は護の話を聞き納得したかの様に矢継ぎ早に自分の考えを話していた
「あっすみません、進道さん
少し考えをまとめていたので…
私はすぐに本庁に戻りイレギュラーの対策を上に掛け合い対策を取ります
今日は貴重な意見をありがとうございました
では私はこれで…また会いましょう進道さん」
「あの人…1人で納得していきなり帰っちゃったよ…
何かあの人猪突猛進みたいな人だな~
まぁ、悪い人じゃないけど」
護は嵐みたいな旭の事を思い、1人呟く
「でも…あの魔物…強いやつと戦いたいなら
俺じゃなくてもいっぱい他にいるだろ…
あいつやっぱり変わった魔物だったな~」
あの鬼の様な魔物を思いだし護は寒気がした
そして1人悪態をついていた
そのすぐ後
ピンポン!
またチャイムが鳴る
「また誰か来たのかよ!引っ越してから3年になるけどこんな人来た事無いぞ…
もしかして不知火さんかな?何か聞き忘れたか?
今出ます………あっすみま……せ…」
護は言葉がつまってしまった
そこに居たのは…
このボロアパートに120%似合わない
白銀の髪をなびかせ、白いワンピースを着て優雅に佇み微笑みながら少し殺気を放っていた…
水神氷雨が玄関の扉を開けたら居たのだ
「なっ!!水神!?何で…お前がここに!?」
護は今まで生きてきてここまで驚いた事は無いんじゃないかと思う程に驚いてしまった
「ふふふっ……やっと見つけたわよ護!
あなたこの前私が大事な話をしていたのに…
何も聞かないですぐ帰ったわね!」
氷雨は微笑みをすぐやめ能面の様な不気味な怒りの表情をし小言を言い出した
「いや…あんまりあの時の事覚えてねえんだよ…
クランが無くなったって聞いて頭真っ白になっちゃったんだからしょうがないだろ……
まぁ…色々して貰ったからな…悪かったよ水神」
護は素直に話を聞かなかった事を謝る
「まっ…まぁ今回は許してあげるわ
それと…水神水神って…氷雨って呼びなさいよ!
この前言ったでしょ!」
氷雨は頬を赤く染めながら護に対して怒っていた
「わっ…わかったよ、ひ…ひさ…………水神…」
護も実際は恥ずかしかっただけだった
(こんな美少女を名前で呼べるわけないだろ!)
護は頭の中でも悶絶していた
「なっ!この護の…根性無し、へたれね
あなただからモテないのよ」
氷雨は護の恥ずかしがって名前を言えない姿を見て護に徹底的に毒づいていた
「しょっ!しょうがないだろ!
お前みたいな…こんな…」
その時予想もしていない人に突然話を遮られた
「どうしたの護ちゃん?怒っていた声がしたんだけどね…あれま…その綺麗な子は……
護ちゃんの彼女さんかい?は~~こんな綺麗なお嬢ちゃん、あたしは見た事無いね~」
そこには1人のお婆さんがいた
「「ちっ違います!!」」
2人の声は完全にシンクロしていた
「全く…もう…護、このお婆様は?」
氷雨は顔を真っ赤にしながら話を反らす為に
このお婆さんの事を護に聞いた
「あぁこの人はこのアパートの大家さんの
(高畑富子) たかはた とみこさん
富子さんは俺が借りる家無くて困ってた時に快く部屋を貸してくれた恩人みたいな人だよ
時々ご飯作ったのお裾分けしてくれるし
控えめに言って富子さんは……俺の救世主だ」
護は腰に手を当て自分の事の様に話す
「恩人だなんて大袈裟だね~護ちゃんは…
あたしは世間様が護ちゃんの事を悪く言うのが許せなかっただけ、
さてとあたしは出かけますかね…
今日は町内会の集まりがあるんだよ、嫌だね~
護ちゃん…
彼女さんと仲良くしなきゃダメだよ~またね~」
「「違いますから!」」
またもシンクロしていた…
そして富子お婆さんは話を聞かずに歩いて行った
「もう…何よあのお婆様…」
「ところで…お前…文句だけ言いに来る為にうちを調べてここまで来たのか?」
護は氷雨に気になっていた事を伝えた
「ちっ違うわよ、この前伝えようとした大事な話があるから調べて来ただけよ!」
氷雨はまだ頬を赤く染めて怒りながら話す
「そ…そうなのか……まぁこんなところで喋ってたら近所迷惑だから、とりあえず家の中で話を聞くよ
まぁ…お嬢様には狭くて汚いかもしれないけどな」
護は氷雨を特に何も考えず家の中に招いた
「なっ!…………おっ…お邪魔…します」
今の氷雨は先程の怒りを納め、
借りてきた猫の様に大人しくなっていた…




