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実は俺、最強でした?  作者: すみもりさい
第十章:バズっちゃいましたか

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茶番にしては迫真じゃね?


 三十五層の転移門前。

 すでに変身を終えた二人の魔法少女のほっぺがくっついて、画面が美貌で埋まっている。俺得。


〝なんのご褒美?〟

〝わりい、おれしんだ〟

〝ついに昇天する日が来たか〟


 コメント欄はいつもどおり。

 二人はそのままあいさつを済ませると、シャルちゃんがきゅっと表情を引き締めた。可愛い。


「昨日の配信をご覧になった方も多いかと思います」


「悪いエルフに囚われた彼女たちは、わたしたちと同じ事務所の仲間なの」


〝哀しい事件だったな〟

〝あれって茶番じゃなかったのか〟

〝同じ事務所やったんかい〟

〝ここは初めてか? わりと噂になってたで〟


「この緊急事態にわたくしたちは、新たな仲間とともに、みんなを助けに行こうと思います!」


 コメント欄が騒然とする。

 シャルちゃんは目を輝かせて告げた。


「それではまずは、みなさまに新しい仲間を紹介します!」


 シャルとユリヤはそれぞれ左右にフレームアウト。するとそこには、


「ぁ、ええと、よ、よろしくお願いします」


 おっかなびっくり、といった感じで美少女がもじもじしていた。

 白と紫を基調にしたブラウスと膝丈のフレアスカート。肌の露出は控えめながら、スレンダーな体躯は見て取れる。背中にはおそろいの小さな翼。

 吊りぎみながら愛らしい青い目が覗くも、口元は濃いベールに隠れていた。ちなみに耳は俺の結界で見えなくしている。


「新たな魔法少女!」

「ノエ――じゃなかった、マユさんです!」


 シャルちゃんあっぶなーい。でもセーフ。

 第三の魔法少女マユことノエルさんは、慣れない衣装で落ち着かないのか、スカートの前と後ろをそれぞれ手で押さえてもじもじしている。


〝照れてる可愛い〟

〝清楚お姉さんええやん〟

〝マスクはいつ外しますか?〟

〝見えないのが逆にいい(メガネくいっ)〟


 なかなかの盛り上がりで好印象。つかみはいいみたいだな。しかし、である。


〝どっかで見たような?〟

〝俺元探究者、受付のお姉さんだコレ〟

〝あーたしかに似てるかも〟


 マズいな。速攻バレとるやんけ。やっぱり口元隠しただけじゃダメだったのかな?


〝お察しください〟(公式)


〝公式www〟

〝俺らはなにも見ていない、いいね?〟

〝てかこのチャンネルって政府公認になったの?〟


 察しろって言っとるやろがい!

 ちなみに政府とかにはもちろん内緒にしている。ダンジョン管理局の労働時間外の活動なので、きっと大丈夫。あ、公務員って副業ダメなんだっけ? まあいいか。


 気を取り直して。

 シャルがカメラに向かって神妙な顔つきになる。可愛い。


「こうしている間にも、イリスさんたちは助けを待っていることでしょう。わたくしたちを信じて!」


「というわけで、目的地は彼女たちが囚われた三十六層ね。そこにいるかは未知数だけど、なにか手がかりがあるかもしれないし」


「そ、そしちぇ――ッ!? ……そして、スズキと名乗ったエルフに事情を聞く、という流れです」


 ノエルさん、噛んだけど最後まで言い切った。


「それでは出発です! それっ!」


 シャルがびゅーんと舞い上がる。

 ユリヤも続けて飛び上がった。


「ぇ、ちょ、待って。私まだちゃんと飛ぶ練習をしてな――ひゃわぁ!?」


 そうだろうな、と思って俺が補助してみたのだが、ノエルさんは涙目になってしまった。もしかして、ジェットコースターとか苦手なタイプだったかな?




 そうこうするうち、三十六層にやってきた。途中は完全に素通りだ。


 大空洞の都市の外れ。

 岩壁が剥き出しになった洞窟内。昨日俺はこの場所でノリノリに悪役を演じていたわけだが、なんだろう、今になって恥ずかしくなってきた。


「ここですね」

「魔物の気配は……ないわね」


 警戒する二人の後ろでは、


「ぅ、ぅぷ……」


〝疲労困憊の魔法少女がおるが?〟

〝需要はある。とくに俺〟

〝休ませてあげてよぉー!〟

〝もう沼っとる奴がおるww〟


 シャルちゃんたち、飛ばしてたもんなあ。俺は申し訳ない気持ちでいっぱいなので、画面外で治療しつつ飲み物を渡す。


「あ、ありがとう。ごく、ごく、ふぅ……あら?」


 女の子座りで休んでいたノエルさんが、なにかを見つけた。ふらつきながらも立ち上がり、よろよろとそちらへ向かう。


「マユ? どうかしたの?」


 ユリヤが気づいて寄ってきた。ドローンカメラで追いかける。


「これって……」


 片方だけの肩当て。フレイの衣装の一部だ。


〝生々しいな〟

〝ガチで捕まったのかよ〟

〝ごめんけどえっっな想像しちゃった〟


 最後のは運営判断で削除。このチャンネルはお子さまも見ているのでね!


 離れたところで、シャルが哀しげにその様子を見ていた。誰だ! 我が天使にあんな顔をさせたのは! 俺かあ……。

 ちょっとへこんでいたところ。


 カツン、カツン、と。

 固い地面を歩く音。


〝エルフのおっさんか?〟

〝みんな逃げて!〟

〝魔法少女の触手祭りと聞いて!〟


 はい、最後のは削除ね。


 シャルがステッキを胸に抱く。

 ユリヤはトンファーを構えた。

 ノエルさんも青い瞳に光を灯す。


 緊張が支配する中、暗がりから姿を現したのは――。


「イリスさん!」


 シャルの笑顔が弾けた。


 黒いパンツスーツに白いポニーテール。背筋をピンと伸ばし、凛とした佇まいはまさしくイリスフィリアその人だった。

 さらにその後ろから、もう一人が歩み出た。


「マリアンヌ、よね……」


 ユリヤのつぶやきのとおり、金髪のお姫様が男装の護衛に守られているような構図だ。でも白かったはずのローブは、黒に染まっていた。


「フレイさんと、リザさんはどこですか?」


 ノエルさんはイリスたちの左右に目を走らせる。


 三人の様子を、イリスは順に見回すと、ふっと目元を緩めた。


「ボクたちを助けに来てくれたんだね。ありがとう」


 いつもどおりの落ち着いた声だ。

 しかし次の言葉で、場の雰囲気が凍りついた。




「でも、その必要はないよ」




 そして――マリアンヌが片手を上げた。


 ズズン、ズズン……。


 重苦しく響く音は、実際に地面を揺らす。

 洞窟の奥。

 光が届かぬ闇の中から、巨大な影がせり出してきた――。



【新作始めました】

https://ncode.syosetu.com/n6091mu/

『大聖女はもういらない? はい喜んで! 若返って学園で青春をやり直します! 「国がどうなっても知りません」――なんて言わないよ?』

規格外の魔法力を持つ大聖女が、若返って青春をやり直すお話です。世界は危なくらないような気がしなくもなくもない。(どっち?)

1話だけでも読みにきて~


作者ページに作品リンクがありますので、そちらからどうぞ。

↓ ↓ ↓ 下の方に直リンクもあります! ↓ ↓ ↓

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【新連載はじめました!】
今度の最強主人公は、青春したい元・大聖女です。
若返って学園生活を楽しみます。世界は危なくらないような気がしなくもなくもない。(どっち?)
『大聖女はもういらない? はい喜んで! 若返って学園で青春をやり直します! 「国がどうなっても知りません」――なんて言わないよ?』はこちらから
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