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実は俺、最強でした?  作者: すみもりさい
第十章:バズっちゃいましたか

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大型アプデの状況は?


「やっほー♪ みんな今日もよろしく〜♪」

「よろしくです〜♪」


 最近は慣れたもので、配信開始のあいさつはこんなものである。


〝いつもどおりやなあ〟

〝管理局「自粛しろやおらぁ!」魔法少女「はい!」(突入)〟

〝知ってた〟

〝むしろ来なかったらどうしようかと思ってたわ〟


 コメント欄もまあ、いつもどおりだった。


 昨夜はダンジョン管理局が緊急会見を開き、自粛要請という名目でダンジョンへ立ち入らないよう各探究者事務所にかなりの圧力があったらしい。

 が、俺たちの魔法少女には関係ねえよなあ! とばかりにやってきました三十四層。


 いったんドローンカメラが上昇して二人を引いて映したあと、ぐるりと巡らせた。


 神秘的な光景だ。

 三十一層に入ってから、景色はそれまでと一変した。


 超自然的な雄大さが印象的だった三十層までの第三エリアに対し、第四エリアはおそらく〝異界の文明〟がコンセプトなのだろう。


 大理石で造られた家々が連なり、しかし苔むして蔦が絡まっている。

 玄関横には全身鎧の騎士像が佇んでいる。頭部がなく、今にも動き出しそうだ。

 夜空には星々が瞬いているものの暗く、それでいて点在する街灯は仄青い光をにじませていた。


 そのサイズはことごとく大きい。

 玄関の扉は十メートルくらいあるし、二階建ての家屋がマンション並みに高いのだ。


 ここに住むとしたら十層にいたスプリンターのエリアボスくらいの巨人だろうな。見た感じ誰もいないけど。


 遠く、噴水のある広場を映してから、ドローンカメラはシャルたちの前に戻ってくる。


「今日は時間もあるし、三十五層までのんびり行って」

「フロアボスを倒して終わろうと思っています!」


 びっくりした。天使がいるのかと思った。いやいたわ。


〝満面の笑みで無茶を言いなさる〟

〝三十五層の中ボスって誰か倒したやつおりゅ?〟

〝到達したのもひと組だけじゃね?〟

〝三回挑んで三回撤退したのは知ってる〟

〝この子らのお仲間は?〟


 イリスたちは今朝早く、三十五層の中ボスと対面している。が、諸事情により今は攻略を止めてるんだよな。

 あとは政府系のパーティーが到達するも、返り討ちにあったんだっけか。


〝難易度爆上がりだからさらに倒すの難しくなったんじゃ?〟

〝それを楽しむのが魔法少女ってやつよ〟

〝そうかな? そうかも〟

〝自粛が必要なのは魔物だった?〟


 べつに油断していたわけじゃない。

 安全地帯を抜けて、巨大な家々を下にふよふよ進みつつも、いつ魔物が襲ってきても大丈夫なように警戒もしていたはずだ。


 が、さすがに予想外の出来事すぎた。


 ピカーッ、と。

 淡い光を放っていた街灯がいきなりシャルたちに強烈な光を浴びせた。サーチライトみたいに二人を捉える。


 危険を感じたのか、二人は分かれて高速移動。しかしサーチライトは執拗に追いかける。


 と、石畳の様子がおかしいのに気づいた。

 ボコッと盛り上がるや、


〝なんか出た!〟

〝腕か?〟

〝まさかのロケットパンチ〟


 しかもひとつや二つじゃない。

 肘から上の腕が十本、飛び出したかと思うと、さらに倍が飛んできた。

 サーチライトに囚われたシャルとユリヤに、こちらは誘導弾みたいに追ってくる。


〝あんな魔物いたっけ?〟

〝さすがに新種出すならアナウンスせいよ〟


 そう、こいつらは新種の魔物である。

 タイミング的に初遭遇したのはイリスたちで、ペイヴ・ハンドとかいう名前なのはリザのスキルで判明している。やってることも報告通りだ。


 ところが、である。


 ガチャコンガチャコン。

 金属音があちこちから鳴り出した。


 家々の大きな扉の脇に立つ、無貌の全身鎧が動き出したのだ。


〝よかった、こいつらはいつも通りだ〟

〝言うて連携するんちゃう?〟

〝どうかな? フェイスレス・センチネルは空飛べないから〟


 手にした剣やら槍を投げつけてきそうで油断ならないが、イリスたちが遭遇したときはべつに石腕たちとは連携していなかった、のだが。


〝バラバラになったけどぉ!?〟

〝自爆、じゃないよな?〟

〝爆発はしてない〟


 腕やら胴やら腰やら脚周りやら。

 バラバラと崩れる無貌の鎧さん。

 何事? と身構えた次の瞬間。


〝飛んでった!?〟

〝自らを砲弾に……〟

〝全身鎧である必要性ないやん〟


 アイデンティティを崩壊させてまで、魔法少女たちを止めにかかってきたではないか。


 石腕やら全身鎧のパーツやらが乱れ飛ぶ。

 狙いは違わず、二人の魔法少女だ。


 シャルもユリヤも近づくものはことごとく撃ち落としている。だがいかんせん、


「はわわわわぁ、まぶしいですぅ〜」

「さすがにウザいわね。この光」


 あっちこっちから光が照射されているので、目を向けた先がもうまぶしい。視界がかなり制限されていた。


 はわわ可愛いシャルちゃんから遠く離れ、ユリヤが高度を下げて突進する。

 狙いはウザい光の出所――街灯だ。


 石腕やら金属鎧のパーツやらをするすると抜け、トンファーをくるりとひと回し。

 小気味よい音で街灯が弾けると、


「なにあれ?」


 青い光の玉というか、青白い火の玉が飛び出した。

 空中を飛び回るアレやらコレやらと一緒に襲いくる。これも新種なのか?


「ともかく、見える範囲で街灯を破壊しましょう。シャル!」


「わ、わかりました!」


 シャルが魔法のステッキを掲げると、光の槍が方々へ放たれた。

 わりと無差別に家やら道やらを粉砕しつつ、照射してくる限りの街灯を薙ぎ倒す。


「って、あまり変わらなくない? これ」


 サーチライトの目眩しは解消されたものの、青白い火の玉はその分だけ増えて、石腕やパーツと一緒になって迫ってくる。


 しかも、だ。


「これ、どうやって倒すのでしょうか?」


 石の腕は、壊しても壊しても石畳から新たに生み出される。

 全身鎧のパーツはとにかく頑丈で、弾くことはできても破壊はできない。


〝消耗するだけじゃね?〟

〝いっそ町ごと吹っ飛ばすとか〟

〝いや、でもこれ……〟


 コメント欄にも気づいた人がいるようだ。

 俺もなんとなくわかった。

 もちろんシャルやユリヤも、そのなんとも言えない表情から、状況を把握したらしい。


「もうわかりきってはいるけど、ものは試しよね」

「そうですね」


 呆れた顔のユリヤの言葉に、シャルがステッキをまっすぐ突き出す。


「シューーット!」


 光弾が撃ち出された。

 まっすぐ突き進み、射線上に割りこんできた鎧の胴部分を弾き飛ばしてから、バチンッ!


 青白い火の玉のひとつが爆ぜた。

 とたん、全身鎧の一部のパーツが急停止して落ちていく。地面に転がるそのパーツは、ちょうど首なし鎧一体分だった。


「石の腕の方にも影響はあるみたいね」


 シャルとユリヤを正確に狙っていた石腕のひとつが、目標を失ったかのようにふらふらしている。


「街灯の中に潜んでいた青い光が、首なし鎧の本体と石の腕の『目』を兼ねているってことかしら」


「なんだかお粗末ですね」


「新しく追加した魔物と、既存の魔物に新機能を追加して無理やり連携させようとした結果だとしたら、まあお粗末よね」


 ユリヤの推測が正解な気がする。

 あとでリザのスキルで確認してみるか。たぶん更新されてそう。


 などと話す中で、シャルとユリヤは青白い火の玉をひとつずつ丁寧に破壊していき、ついに魔物を一掃するのだった。


〝いやでもこれ、この子ら以外だったら詰んでね?〟

〝まず空を飛べんかったら躱しようがない〟

〝視界がほぼ塞がれてる。反撃の隙もほぼない。火の玉は空飛ぶか遠距離攻撃が必須〟

〝この子ら基準だと感覚が麻痺してるけど難易度は相当上がってるぞ〟

〝いくらなんでも調整ミスやろ〟


 ダンジョン・マスターさん、聞いてますか?

 とはいえ、だ。


 今回の大型アプデには俺自身、なんとなく危惧を抱いていた。どうやらそれは、現実のものとなっていたようだ。

 さてどうしよう? 俺は次なる策に頭をフル回転させるのだった。




 ちなみにこのあと、三十五層の中ボスは危なげなく倒しました。とくに言及することもなくあっさりとね――。

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アニメ化したよーん
詳しくはアニメ公式サイトをチェックですよ!

― 新着の感想 ―
うーん簡悔ks運営。魔法少女が人権キャラって終わっとる。
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