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実は俺、最強でした?  作者: すみもりさい
第十章:バズっちゃいましたか

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ダンジョン考察

 楽しく休日を過ごしたものの、配信者だとバレて騒ぎになりそうだったので帰ってくれば、ティア教授からタイミングよく通信が開いた。


『あのダンジョンがそっちの世界とは異なる世界から転移してきたのは状況から確定してよさそうだ。ようするに君たちの大規模バージョンってとこかな』


 前置きなしでこれである。

 半透明ウィンドウに映る姿はいつもどおりだが目の下のクマが半端ない。マジ寝てないなこの人。


『主な根拠は『魔水晶』が、そちらの世界では解析不能な物質でできていること。そしてあれだけ広大な空間であるにもかかわらず、元の空間にはなんら影響がないこと。そっちの地下施設ってすごいね。まあぜんぶすごいけど、文明レベルがもはや――』


 なんか脱線したぞ? そのまま「ネットがスゴイ!」とか「パソコン欲しい!」とかいろいろ語り続ける。


『話を戻すと、あのダンジョンそのものが異界として成立している。どういうものかは、キミが一番よく知っているはずだ』


「いやさっぱりわかりませんが」


『キミの! いわゆる「謎時空」というやつだよ。今キミがいるその部屋だってそうなんだろう?』


「え、てことは俺と同じ魔法が使えるやつがいるってことですか?」


『どうかな? キミレベルの術者が二人もいてたまるかという気でいっぱいだし、どうにもダンジョンを作ったモノと管理している者は別な気がしていてね』


管理者(ゲームマスター)が雇われってことっすか?」


 ティア教授は『順に話そう』と小さなメガネをくいっと直す。


『まずそのダンジョンなんだけど、階層があり、節目に試練がある。入った者にレベルとステータスを強制し、固有スキルという特殊能力をも与える。そして魔物を倒せば報酬を出す。さて、これってどういうことだと思う?』


「ダンジョン攻略系RPGってやつですね」


『それが何かは後で訊くとして、どう考えてもこれ、「試練を与えてゴールを目指す」設計になっているよね。そういった明確な設計思想があるにもかかわらず、やってることがちぐはぐなんだ』


 どういうこと? という顔を俺がしていたのだろう。


『攻略難易度が上がっているという話は聞いたことあるかな?』


 そんな噂がちらほらあるのは知っている。そういえば、と口を開こうとして、ティア教授が先んじて語り出した。


『キミたちが別の世界(そっち)に行く前から似た噂はちらほらあったようだよ。けれど最近になって噂は激増している。キミたちが現れてから――より正確に言うなら、キミたちが探究者試験に受かったタイミングでね』


「俺らのせいってこと?」


『繰り返すけど噂はキミたち出現以前からあったんだ。でもイレギュラーが明確になったから難易度が目に見えて上昇したと考えるべきだろう』


「イレギュラー?」


 俺が小首をかしげると、ティア教授は目の下のクマを濃くするように笑みを作る。


『ズバリ、「魔法」だよ』


 たしかにあのダンジョンには、スキルがあっても魔法はない。ゲームなら両方あるのがふつうだ。


『そして難易度が上がるとはすなわち、ひとつの事実を明らかにする』


 ティア教授の小さなメガネがきらりと光る。




『攻略されたくないんだよ、誰にもね』




 ひゅーっと、風もないのに何かが通り過ぎた気がした。


「いや、攻略されるのを前提に作られてるのに、攻略されたくないから邪魔するってなんですかそれ?」


『……うん、まあワタシもこの推測は矛盾してるなーとは思っているよ。でもダンジョンを作った〝何か〟と今管理している〝誰か〟の意見が衝突することもあるんじゃないかな?って意味で「創造主とは別に管理者がいるかも」と考えたわけだ』


「事情があるにしても、ゲームマスターとしては最悪っすね、そいつ」


『そうだねー。だからまあ、今は軽く流して聞いておいてよ。集めた情報からはこれが精いっぱいなんだ』


 不意に、さっき話そうとしたことが頭をよぎる。


「そういえば、シャルが言ったんですけど」


 ダンジョンの様子がおかしいとの意見を見つけ、俺たちやダンジョン側とは別の第三勢力の可能性を示唆する話――お子さまの可愛らしい妄想とも受け取られるが、ティア教授は真剣な目つきになった。


『ほう? 第三の勢力ときたか。そうなるとさらに話がややこしくなるね』


 ただ、とティア教授は付け加える。


『シャル君の言うような第三の勢力がダンジョンに干渉しているとするなら、目的は明確になる。自分たちが最初にゴールしたいから、だね』


 けど難易度を上げたら自分たちも攻略できなくないか? 自分たちだけ簡単にできるなら別だけど、傍から見たら不正してるのバレバレやんけ。


『だから「ややこしくなる」と言ったんだよ。ただやっぱり難易度の調整に第三勢力が関わっているとは考えにくいかな』


 肩を竦めつつ、半ば呆れたように続ける。


『ま、そういった輩が邪魔をしてくる可能性は十分にあるから気をつけるんだね。つい最近もあったろう? 妙な連中が配信に突撃しようとしてきたのがさ』


 たしかにあったな。四人組のアレ。

 ダンジョン攻略において『他の探究者との揉め事は避けろ』と政府からのお達しがある。けどまあ、ぶっちゃけゴールが近づいてきたら守ろうってやつのが少ないはずだ。

 俺ならあからさまに邪魔する。間違いなく。


「ま、忠告は受け止めておきますよ」


 例の四騎士さんたちの事務所、ちょっと探ってみようかな。なんで急に俺ら(というかシャルたち)にちょっかいを出してきたのか気にはなる。

 それはそれとして。


「ひとまず寝てくださいね。頭が回らないとちゃんと考えられないでしょ」


『ふふん、ワタシは三徹してから本領を発揮するタイプなんだよ』


 強キャラ感出してるけどふつうに死ぬでしょそれ。


 などとは言わず、通信を切った。

 ごろんとベッドに寝っ転がり、天井を眺める。


 攻略されたくないゲームマスター、か。

 もしかすると、ダンジョンがこの世界に現れたことこそが、イレギュラーだったのかもな。


 そんな風に漠然と考えながら、俺はうとうとするのだった――。



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アニメ化したよーん
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