8話 集う仲間(キャラバン団長視点)
今回は、馬鹿が4人しか釣れ無かった。
銀のアギトを騙ったところで、行き先が公国じゃ、捕まるものも捕まらないか。
「どうしたんだ?浮かない顔して、そんなに葉巻が不味いのか?」
「葉巻は、何時でも最高だよ。ただな、この先が不安でよ」
現在の公国は、裏稼業の連中が羨む最高の環境だ。
たから、俺たちも一枚噛もうと決めて向かっているが、国境は警備が厳重。まともには、入れない。
だから、危険地域を突っ切る事にした。
「大丈夫ですよ。囮が4人もいるわけですし」
「馬鹿野郎。4人しかいないから不安なんだよ」
こいつ、これから通る場所がどれ程危険が分かってないな。
国が警備を置かない。置けないほどに危険な地域。
囮が何人いても安心出来ないのに、その囮すら4回しか使えないじゃ全く。
「そもそも、なんで公国なんだよ」
「団長だって、賛成したじゃないですか」
「こんなに警備が厳重と知っていたら、反対したわ」
「団長」
「なんだよ、その目は」
「いえ、何でも。てか、行き先を別のとこだって嘘つけばいいじゃないですか」
「あほ。馬鹿だって、考えない訳じゃない。考えて間違えるから馬鹿なんだよ。東に行くと言って、西日に向かって走ってみろ。直ぐにバレて逃げられる」
「だって、寄せ集めのゴロツキを凄腕って騙したじゃないですか」
「そんなの、バレるわけが無いだろ。一般人が腕利きの傭兵を見分けられる訳が無いからな」
最悪となれば、傭兵と奴隷を囮に使うしか無いか。ただ、傭兵を使いすぎれば反乱を起こされて命が危ないし、奴隷を使いすぎれば経費が嵩む。タダで使える馬鹿と違って金も時間も使っているからな。
「とにかくだ、警戒だけは怠るなよ。安全第一だ」
「なんですが、それ」
「勇者が遺した、言葉だな。命最優先。金銭的な損失を恐れて命を損なうなと言うことだ」
「博識ですね。団長」
「一般常識だよ」
全く、部下の前で知的な一面を披露するのも、団長の勤めってやつだな。
にしても、危険地域と呼ばれる割には何の報告もないな。
「おい。道は合っているよな」
「は、はい。間違いないです」
「なら、こりゃしめたものかもしれないぞ」
「はい。鍵は開いていますが」
「馬鹿野郎。危険地域をここまで安全に通れる道だ。これまでの稼ぎが泡銭に見える額が稼げるぞ」
「そりゃー、楽しみですね」
金が手に入ったら、まずは馬車と人手を増やす。それで、さらに稼ぎを大きくして。将来は、独立。いや、トップの椅子も見える。
「団長ー」
「なんだ?」
「後ろで、戦闘が始まりました」
はぁ?!後ろは囮の馬車だろ。
「何で、戦っているんだ!」
「わかりません。ですが、傭兵の一部が指示に反抗し馬車を護衛しています」
最悪だ。情に負けやがった。馬鹿なやつは、頭が悪い人でも、地位が低いやつでもない。
選択を間違えるな。
「裏切った奴らごと、切り離せ」
俺は、間違えない。




