第96話「時間は創造主のもの」
こんにちは、作者です。
いつも『黒き天使(Anjo Negro)』を読んでくださり、本当にありがとうございます。
前回のエピソードでは、レオンとララが「時間の双子」との絶望的な戦いに挑みました。
過去を操るカエル、未来を見るサエル――彼らの力は、これまでの敵とは次元が違います。
しかし今回、レオンはただの力ではなく、信念と信仰をもって立ち上がります。
このエピソードでは、物語の中でも非常に重要な瞬間が描かれます。
レオンが背負うもの、そして彼が持つ力の意味が少しずつ明らかになっていきます。
それでは、第96話をお楽しみください。
アルファ組織の闘技場、K11。
戦いの余波で地面は砕け、瓦礫が散らばっていた。
観客席では歓声と罵声が入り混じっている。
誰もがこの戦いの結末を見守っていた。
ナレーションが静かに響く。
「過去と未来が交差するこの闘技場で――」
「思い出される真実がある。」
「時間は人のものではない。」
「それを創った存在のものだ。」
ララは息を切らしていた。
体は限界に近い。
それでも彼女はレオンを見る。
その瞳には信頼が宿っていた。
レオンはゆっくりと立ち上がる。
体中が傷だらけだ。
それでも彼は前へ歩く。
カエルとサエルの前まで。
そして言った。
「二人とも。」
彼の声は静かだが、闘技場に響いた。
「長い人生を生きてきたんだろう。」
「なら――」
彼は続ける。
「創造主のことを知っているはずだ。」
観客席が静まる。
「時間は、神の中には存在しない。」
「なぜなら――」
レオンの目が光る。
「神が時間を創ったからだ。」
ララの目に涙が浮かぶ。
レオンはさらに言う。
「そしてはっきり言う。」
「その神の聖霊が――」
「俺の中にいる。」
次の瞬間。
レオンの瞳が白く染まる。
純白。
背中から翼が広がった。
真っ白な翼。
闘技場の光を反射する。
巨大なエネルギーが爆発する。
それは――
カイロスの力。
音が消えた。
世界が静止する。
観客も、風も、瓦礫も。
すべてが止まる。
動いているのは――
レオンだけだった。
彼は一瞬で二人の前に現れる。
カエルとサエルの首を掴んだ。
時間の双子の視界が揺れる。
カエルの目に映るのは――
過去。
戦争。
滅びた文明。
血に染まった歴史。
サエルの目に映るのは――
未来。
戦い。
涙。
そして――
白い翼の少年。
希望の火。
二つの時間が衝突する。
カエルの体が震えた。
「こ、これは……」
声が震える。
「あり得ない……!」
サエルの膝が崩れる。
黄金の瞳に涙が浮かんだ。
「あなたは……」
彼は震える声で言う。
「選ばれた者だ。」
二人の視界に映るのは――
これまでの出来事。
レオンが偏見に耐えた瞬間。
ララが彼と共に戦った日々。
罵声。
嘲笑。
それでも――
レオンが憎しみで答えなかった姿。
双子は震えながら言った。
「あなたたちは……」
「人々の心を変える。」
次の瞬間。
二人は地面に崩れ落ちた。
闘技場が静まり返る。
そして――
二人は手を上げた。
「……降参だ。」
その声は小さかった。
しかし闘技場中に響いた。
観客席が爆発する。
驚き。
怒り。
歓声。
すべてが混ざる。
ローラは腕を組んだまま見ていた。
その表情は冷たい。
ヴァンダーは口元を上げる。
「面白いな。」
彼は呟く。
「このガキ……」
「リーを倒せるかは別だがな。」
ヴァロン卿は立ち上がった。
楽しそうに笑う。
「これは予想外だ。」
「まさかこんな結末とは。」
その時――
レオンの体が揺れた。
力が抜ける。
ララが駆け寄る。
「レオン!」
彼女は彼を抱き支えた。
実況者の声が響く。
「第三フェーズ――終了!」
「次はいよいよ――」
「決勝戦だ!」
観客席。
リウが手を上げて笑う。
「すげぇな、お前!」
「神に守られてるじゃないか!」
彼はニヤニヤする。
「まあ、俺には勝てないけどな!」
レオンは少し笑った。
ララも笑う。
観客席のリーは静かに立っていた。
誇らしさと決意。
彼は小さく呟く。
「やっとだな。」
「本当の自分を見せ始めた。」
闘技場の中央。
レオンとララは抱き合っていた。
歓声が響く。
ナレーションが静かに語る。
「時間は創造主のもの。」
「しかし――」
「レオンの運命は、まだ終わっていない。」
「彼を待つのは――」
「最後の戦い。」
画面が暗くなる。
――続く。
第96話を読んでいただきありがとうございます。
今回は物語の中でも大きな転換点となるエピソードでした。
レオンの信念、そして彼の持つ特別な力が少しずつ明らかになってきました。
「時間の双子」という強敵との戦いは終わりましたが、
本当の試練はこれからです。
次はいよいよ――決勝戦。
レオンが目指してきた存在、リーとの戦いが近づいています。
また、本日公開しているワンショット(短編)や
キャラクター紹介、設定、音楽などは作者ページにも掲載しています。
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ブラジルから、心を込めて。
それでは、次のエピソードでお会いしましょう。




