黒き天使 – 第三章 第88話「第二フェーズの幕開け」
第三章、第88話です。
第二フェーズがついに始まりました。
今回はアクションだけでなく、
ララの迷い、種族の壁、そしてリウとリーの実力差も描いています。
強さとは何か。
力か、知恵か、それとも覚悟か。
物語は少しずつ核心へ近づいています。
それでは、第88話をお楽しみください。
開戦前 ――揺れる想い
闘技場へ続く暗い通路。
遠くから観客の歓声が地鳴りのように響いていた。
足音が石壁に反響する。
ララは足を止める。
「レオン……もし、私が……もし選べるなら……」
言葉が喉で止まる。
彼女は視線を逸らした。
「……なんでもない。今は戦いに集中しよう。」
レオンは軽く笑う。
「気になる言い方だな。でも、終わったらちゃんと聞くからな?」
ララは赤くなりながらも、どこか寂しげだった。
その瞬間、光が通路を照らす。
レオンの金色の髪が反射し、彼は迷いなく闘技場へ歩き出した。
ララは小さく呟く。
(もし……種族の壁がなかったら……)
■ ヴァンダーの警告
背後から低い声が響く。
「ララ。」
振り向くとヴァンダーが立っていた。
「わしはお前を孫のように思っている。……レオンと何かあるのか?」
ララは視線を落とす。
「何もありません。」
ヴァンダーは静かに言う。
「クスプリアンとクリザードの結びつきは禁止されている。お前の母も決して許さぬだろう。」
ララの胸が締めつけられる。
「……分かっています。」
重い沈黙。
遠くで歓声が爆発する。
第二フェーズが始まる。
■ 闘技場
実況の声が響き渡る。
「第二フェーズ開幕! ここを勝ち抜く者こそ、真の強者!」
リウが肩を鳴らす。
「レオン、第一フェーズで危なかったな?」
レオンは笑う。
「心配するな。決勝ではお前が俺を応援してるさ。」
観客席が揺れるほどの歓声。
■ 鉄の兄弟、再び
重い足音。
カージャンとドルヴスが入場する。
鋼の肉体、無数の傷跡。
炎に照らされる機械のインプラント。
「奴隷から這い上がった戦士――鉄の兄弟!」
観客の一部は歓声を上げ、
一部は息を呑む。
■ リウの戦い
試合開始。
カージャンが地を踏み砕きながら突進する。
「言葉で命は救えねぇぞ!」
リウは笑った。
「じゃあ、知恵で救ってやるよ。」
地面から緑色の鎖が出現する。
ドルヴスの足を絡め取り、引きずる。
「なにっ!?」
観客席がどよめく。
リウは鎖を鞭のように操り、カージャンを叩き飛ばす。
「力だけじゃ勝てないって、教えてやる。」
鎖が地形を変え、壁や瓦礫までも武器へと変える。
ドルヴスの渾身の一撃を、リウは地面の鎖で受け止め、宙へ引き上げた。
観客が叫ぶ。
「環境を支配している!」
リウは二人を十字に縛り上げる。
「さあ……俺のリズムに耐えられるか?」
しかし――
長期戦。
額に汗が滲む。
鎖の光が揺らぐ。
■ リーの介入
鉄の兄弟が反撃に出る。
巨大な衝撃波がリウを襲う。
――その瞬間。
炎が割り込む。
リーの手が攻撃を受け止めていた。
赤い瞳。
燃える爪。
「リウ……十分楽しんだか?」
次の瞬間、炎が空間を切り裂く。
ドルヴスが地面に叩きつけられる。
カージャンが吠える。
「誰だ貴様は!?」
リーは答えない。
圧倒的な速度。
一撃。
炎と衝撃波が交差し、闘技場が震える。
実況が叫ぶ。
「リーの力は規格外だ! 鉄の兄弟ですら圧倒されている!」
カージャンが崩れ落ちる。
静寂。
そして爆発的な歓声とブーイングが混じり合う。
■ 終幕
リウは息を整えながら笑う。
「助かった……けど、最後は俺が勝ちたかったな。」
リーは肩をすくめる。
「次は最後までやれ。」
観客席。
レオンは静かに笑う。
ララは無言でリーを見つめていた。
(これが……本気の力。)
ナレーションが響く。
「知恵と炎。第二フェーズは、真の強者を選び始めた。」
闘技場の空に火花が散る。
戦いは、まだ終わらない。
――第88話・了――
第88話を読んでいただき、ありがとうございます。
第二フェーズの最初の戦いでしたが、
これはまだ序章に過ぎません。
リウの成長、リーの圧倒的な実力、
そしてララの心の揺れ。
これからさらに大きな衝突が待っています。
本日公開したワンショットも、
本編とテーマがつながっていますので、よろしければぜひご覧ください。
作者ページでは:
・キャラクタープロフィール
・世界観設定
・主題歌情報
も更新しています。
ブラジルで仕事をしながら、通勤時間や夜の時間に少しずつ書き続けています。
応援や感想が本当に力になります。
これからも『黒き天使』をよろしくお願いします。




