黒き天使 第二部 第50話 ―― 大会への準備
ここまで『黒き天使(Anjo Negro)』を読んでくださり、本当にありがとうございます。
作者は日本ではなく、遠く離れたブラジルに住んでいます。
毎日仕事へ向かう長い通勤時間、バスの中でスマートフォンを使い、この物語を書いています。
朝早く家を出て、夜遅く帰る生活の中でも、少しずつでも前へ進みたいという思いで、一話一話を大切に書き続けています。
日本のアニメや物語に強く影響を受け、
「いつか自分も人の心に残る物語を書きたい」
その夢から、この作品は始まりました。
文章も日本語もまだ完璧ではありませんが、毎日学びながら改善しています。
もし文化的に違和感のある表現などがあれば、ぜひ教えていただけるととても嬉しいです。作者は日本の文化を尊重し、もっと理解したいと願っています。
少しでも楽しんでいただけたなら、本当に幸せです。
長い戦いの末、ノアでの事件はようやく終息を迎えた。
重傷を負ったレオンは、ララの膝の上で静かに意識を取り戻した。
ゆっくりと目を開けると、まず最初に見えたのは彼女の涙ぐんだ顔だった。
「……ここは……」
「レオン! よかった……本当によかった……」
ララは安心したように微笑み、彼の手を強く握った。
やがて船の扉が開く。
外に出た瞬間、レオンは思わず目を見開いた。
そこには大勢のエージェントたちが並び、彼らを迎えていたのだ。
まるで英雄の帰還のように、拍手が広がっていく。
レオンは困ったように笑った。
「え……ちょっと、大げさじゃない?」
その隣でリーが小さく笑う。
「違うな。これはお前がやったことの重さだ」
すると、岩の民の長老ジュがゆっくり近づいてきた。
「二度とこんな無茶はするでないぞ……この老いぼれの心臓が止まるところじゃった」
レオンとリーは顔を見合わせ、思わず笑ってしまった。
しかし、祝福の空気は長くは続かなかった。
リーはすぐに呼び出され、暗い会議室へと向かう。
そこにはヴァンダーとロード・ヴァロンが待っていた。
「……勝手な行動だな」
ヴァンダーの低い声が部屋に響く。
「お前は自分一人で全てを背負えると思っているのか? 今回の件でどれだけの危険を招いたか分かっているのか!」
だが、リーはまったく動じなかった。
赤い瞳が静かに光る。
「巻き込めなかっただけです」
「何だと?」
「俺は長年調べてきた。誰が敵で、誰が味方かを。俺には内部の協力者がいる。ここで軍を動かせば、全てが崩れた」
沈黙が落ちる。
そしてリーは続けた。
「……それに、俺がこの程度で怯むなら、王になる資格はない」
ヴァンダーの額に血管が浮かぶ。
「小僧……!」
緑のオーラが爆発し、床がひび割れた。
ラウラが思わず後ずさる。
しかしロード・ヴァロンが前に出た。
「父上、やめてください」
同じく緑の光が彼の身体を包み、空気が震える。
しばらくの沈黙の後、ヴァンダーは舌打ちし、部屋を出ていった。
重い扉の音が響く。
「……すまない、リー」
ロード・ヴァロンが静かに言った。
だがリーは振り返らなかった。
「二度と俺を脅すなと伝えてくれ」
赤い火花が散り、彼の姿は消えた。
一方その頃、レオンは医療室で治療を受けていた。
ベッドに横たわる彼の隣にはララがいる。
「本当に……無茶しすぎ」
「無茶? この状態見て言ってる?」
レオンは苦笑したが、すぐ真剣な顔になる。
「……ララ。リーは強すぎる」
天井を見つめながら続ける。
「夢を見たんだ。血だらけのリーが俺を呼んでいた。その後ろに……赤い鎧の男がいた」
ララの表情が固まる。
「……私も、同じ夢を見た」
二人はしばらく無言だった。
レオンはそっと彼女の手を握る。
「心配させたな」
ララは首を振り、彼の頬に触れた。
「いいの。まずは治して。準備は、それから一緒にする」
そこへリウが入ってきた。
「やっと目を覚ましたか」
腕を組みながら笑う。
「今回の件、悪くなかった。訓練の成果が出ている」
「訓練? 大会、お前とリーも出るんだぞ?」
レオンが言うと、リウは肩をすくめた。
「問題ない。リーが動く前に、俺が終わらせる」
ララが吹き出した。
しかしその頃、宇宙各地の六つの組織では、すでに騒ぎになっていた。
リーの帰還。
それは希望にもなり、同時に恐怖にもなった。
ある者は歓迎し、ある者は警戒する。
そして、暗い部屋の中でダリアムは拳を握りしめていた。
「……この大会で終わりだ」
低く呟く。
「レオン、お前の時代はここまでだ」
運命の歯車は、静かに回り始めていた。
大会はもうすぐ始まる。
それは単なる試合ではない。
未来を決める戦いになる――。
第50話を読んでいただき、ありがとうございました!
『黒き天使』の世界をもっと楽しんでもらうため、作者ページでは追加コンテンツも公開しています。
・作品世界の楽曲・キャラクタープロフィール・ワンショット外伝ストーリー・世界観の設定解説
本編では描ききれない過去や感情、関係性なども掲載していますので、もし興味があればぜひ作者ページも見てみてください。
この物語は、家族のために努力しながら書き続けている作品です。いつか多くの人に読んでもらい、そして誰かの心を励ませる物語になることを願っています。
次回から、いよいよ大会編が本格的に始まります。レオン、リー、そして仲間たちの運命が大きく動き出します。
これからも『黒き天使』をよろしくお願いします!




