アンジョ・ネグロ 第二部 ― 炎の覚醒 第13話「アーリスの記録 ― 新たなる継承者」
前書き:
第13話を読みに来てくださり、ありがとうございます!
今回は視点が大きく変わり、アーリス側の物語になります。
これまで名前だけ語られてきた彼ですが、この回では彼の考え方や目的、そして“家族”に対する価値観の一端が描かれます。
英雄だけでなく、敵にもまた過去と信念があります。
物語の新しい流れの始まりとして、楽しんでいただけたら嬉しいです!
第13話「アーリスの記録 ― 新たなる継承者」
宇宙では、新たな英雄たちの名が広まり始めていた。
だが――
クライザドの惑星では、別の出来事が静かに進んでいた。
王宮の奥深く。
たいまつの炎だけが揺れる「謀議の間」。
そこに、一人の男が座っている。
アーリスだった。
彼の周囲には、妻たちと子どもたちが半円を描くように並んでいる。
炎、水、土、風、雷――五つの元素の光が壁に影を落としていた。
アーリスは彼らの顔を見渡す。
その瞬間、彼の視界が揺らいだ。
目の前にいるのは戦士たちではない。
まだ幼かった頃の姿が重なる。
リーが七歳だった頃。
そして、ラウラがまだ何も知らなかった時代。
アーリスはすでに、五元素の評議会の娘たちと結びつき、同盟を築いていた。
各評議会は信頼の証として娘を差し出し、ほぼ同時期に彼の後継者たちが誕生したのだ。
アーリスは静かに口を開く。
「お前たちは、ただの私の子ではない。
そして妻たちも、単なる政略ではない」
冷たい視線が一人一人へ向けられる。
「お前たちは、未来の帝国を支える柱だ」
たいまつの火が揺れた。
「ロード・ヴァロンを見つけ、XPでの任務を終えた時――
私は王に地位を与えられるのではない。
自らの血で、その座を保証する」
沈黙が落ちる。
イリスが口を開いた。
「父上、では我らは何をすべきですか?」
アーリスは即答する。
「鍛えろ。
自らの元素を支配しろ。
時が来れば、お前たち全員に役割がある」
ソルが低く呟く。
「私たちは子ではなく、兵ということか」
アーリスはわずかに笑った。
「その通りだ。
お前たちは我が力であり、我が遺産だ」
炎がはぜる音とともに、記憶は現在へ戻る。
アーリスはゆっくりと歩き始めた。
「闘技場で見ただろう」
彼は言う。
「レオンは、リーとイリスの同時攻撃を防いだ」
空気が張り詰める。
「その力は……かつての神、カイロスを思わせる」
アグスが眉をひそめた。
「では危険なのはレオンですか?
リーではなく?」
アーリスは静かに答える。
「今はまだ違う。
だが――いずれ脅威となる」
彼の中で、再び記憶がよみがえる。
過去。
王宮の訓練庭。
幼い子どもたちが元素の力をぶつけ合っていた。
「見せてみろ。
協力して戦う方法を」
アーリスが腕を組み、見下ろす。
イリスが炎を放ち、ソルが火の壁で受け止める。
アグスの水流が、大地を操るテルと混ざり防壁を形成する。
ヴィトルの風が渦を作り、ロコの雷が空を裂く。
エネルギーが庭を震わせる。
テルが問いかけた。
「父上……もしあなたの考えに従えなかったら?」
アーリスの目が鋭くなる。
「ならば、失敗から学ぶだけだ。
ここは力と生存を学ぶ場所だ」
戦いの音は、やがて静まり、現在へ戻る。
テリサが口を開く。
「父上、もしレオンが干渉したら?」
アーリスの声は低かった。
「その時は戦え。
帝国を守るために」
彼は再び妻たちを見た。
「お前たちも忘れるな。
子を産むだけが役割ではない。
同盟を結ぶ柱でもある」
ディナが答える。
「私たちは駒ではありません」
アーリスは微笑む。
「すべて計画の内だ。
王も評議会も、誰一人として私を倒せないようにするためのな」
床に五元素の紋章が浮かび上がる。
「覚えておけ」
彼は言った。
「宇宙は、我らが思うより広い。
新たな試練は必ず訪れる」
炎が揺れる。
「そして――生き残るのは強者のみだ」
暗闇が広がり、謀議の間は静寂に包まれた。
第13話 終わり
後書き:
第13話を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
アーリスは単なる支配者ではなく、
長い時間をかけて計画を進めてきた人物です。
彼の行動や思想は、これからレオンやリーたちの運命にも大きく関わっていきます。
また、『アンジョ・ネグロ』の世界をより楽しめるように、
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・世界観音楽(テーマ曲/挿入歌)
・外伝ワンショット(短編ストーリー)
・キャラクタープロフィール(設定資料)
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次回から物語はさらに大きく動き始めますので、今後ともよろしくお願いします!




