アンジョ・ネグロ 第二部 ― 炎の覚醒 第12話「救いの手」
前書き:
第12話を読みに来てくださり、ありがとうございます!
今回は前話に続き、リウの過去編の後半になります。
彼がどのようにしてアルファ組織の一員となり、そして“師”と呼ばれる存在になったのか――その始まりの物語です。
派手な戦闘よりも、人物の心の変化に焦点を当てた回になります。
最後まで読んでいただけたら嬉しいです!
燃え尽きた大地に、風が吹いていた。
瓦礫に覆われたヴァルドラの都市は、もはやかつての面影を残していない。
黒煙が空へ昇り、炎がところどころでくすぶっている。
その中心で、一人の男が倒れていた。
リウだった。
体は血に濡れ、呼吸も浅い。
意識はかろうじて繋がっているだけだった。
遠くから、異質な声が聞こえる。
クライザディアンの兵士たちが、残された資源を漁り、廃墟を荒らしていた。
足音が近づく。
その時――
空気が変わった。
重圧が走り、次の瞬間、兵士の一人が吹き飛ばされた。
続けて、別の兵も倒れる。
煙の中から、一つの影が現れる。
リーだった。
彼の周囲には静かな闘気が漂っている。
無駄のない動きで敵を次々と打ち倒し、最後の兵士が倒れる頃には、周囲に立つ者は誰もいなかった。
リーは倒れている男に目を向ける。
「……まだ息があるな」
リウの瞼がわずかに開く。
「……家族が……」
声はかすれていた。
「もう……いない……」
リーは静かに答える。
「失ったものを取り戻すことはできない」
一瞬、沈黙が流れる。
「だが、新しい理由を与えることはできる」
彼は手を差し出した。
「立て、戦士。
この宇宙には、まだ救われていない者がいる」
リウの目に涙が滲む。
震える手で、その手を掴む。
「……連れて行ってくれ」
彼は息を吸い込み、続けた。
「守れなかった……だから、今度は……守る側になる」
その瞬間、彼の周囲に淡い光が現れる。
鎖の力が弱々しく輝き、まるで誓いに応えるかのように揺れた。
やがて、輸送船が大地を離れる。
リウは窓越しに、燃えるヴァルドラを見つめていた。
もう戻ることのない故郷。
それでも、彼は目を逸らさなかった。
彼が手にしたのは家ではない。
痛みの中で生まれた、見えない鎖だった。
その鎖は、彼を縛るためのものではない。
未来へ導くためのものだった。
――そして現在。
アルファ組織の基地。
リウは椅子に座り、訓練場を眺めている。
若い隊員たちが必死に訓練していた。
彼の目は、もう絶望ではなく、静かな決意を宿している。
(自分の家族は守れなかった)
(だからこそ――)
(彼らの未来は守る)
その時、背後をレオンが通り過ぎる。
真剣な表情で訓練していた。
リウは小さく微笑む。
かつてすべてを失った男は、
今、多くの者を導く存在となった。
彼が教えるのは戦い方だけではない。
戦う意味だった。
「心の砕けた者の近くに、主はおられる。
打ちひしがれた魂を救われる」
静かに言葉が胸に響く。
第12話 終わり
後書き:
第12話を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
リウにとって、この出来事は単なる過去ではなく、
今の彼の行動すべてに繋がる原点となっています。
彼が若い隊員たちを守ろうとする理由も、ここにあります。
また、『アンジョ・ネグロ』の世界をより楽しんでいただけるよう、
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・世界観音楽(テーマ曲/挿入歌)
・外伝ワンショット(短編ストーリー)
・キャラクタープロフィール(設定資料)
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これから物語は新しい展開へ進んでいきますので、次回もよろしくお願いします!




