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恐怖の闘技場

宇宙には、剣や魔法よりも恐ろしい戦いがある。

それは「心」の戦いだ。

平凡な少年レオンは、ある夜、イエスに導かれ異世界へと連れ去られる。

そこで彼を待っていたのは、奴隷、闘技場、そして自分の中に眠る“獣”の力だった。

それは祝福か、それとも呪いか。

彼の体に宿る古き存在は、世界の運命と深く結びついている。

やがて彼は知ることになる――

この宇宙はすでに、静かに終わりへ向かっているということを。

信仰と自由意志、希望と絶望、光と闇。

少年は選択を迫られる。

これは、世界を救う英雄の物語ではない。

心を救おうとする、一人の少年の物語である。

第3話 ― 恐怖の闘技場

冷たい朝の光が、石壁の細い隙間から差し込み、牢獄の闇を静かに裂いていた。

レオンは湿った床の隅で膝を抱え、体を小さく丸めていた。わずかに動くたび、手首の鎖がかすかに鳴る。

体にはまだ熱が残り、汗が肌を伝っていた。充血した目は、長い夜を眠れずに過ごした証だった。

見知らぬ牢の静寂の中、痛ましい変化を刻まれた一人の少年が、自分は何者なのかを必死に考えていた。

突然、鉄の扉が激しく開いた。

二人の兵士が乱暴に中へ入ってくる。片方は奇妙な食事の載った盆と、濁った水の入った容器を持っていた。

「朝食の時間だ、化け物。」

吐き気を催す匂いに、レオンは顔を背ける。

「……それは食べない。」

弱々しく呟いた瞬間、もう一人の兵士が黒い服を投げつけた。

「これを着ろ。破れにくい特別製だ。お前の“変化”にも耐える。」

兵士たちはそれ以上何も言わず去り、扉は重い音を立てて閉じられた。

外からは笑い声や怒号、闘技場のざわめきが響いてくる。

レオンは壁に額を預け、小さく呟いた。

「……この騒音で、どうやって眠れっていうんだ。」

それでも疲労には逆らえず、やがて意識は闇へ沈んでいった。

光に包まれる。

気づくと、レオンはイエスの前に立っていた。

全身を震わせ、怒りと苦しみを抑えきれず叫ぶ。

「あなたはいったい何者なんだ!?

俺の中にいるのは神の霊じゃなかったのか……悪魔なのか!?

俺は……人を殺したんだ! こんなの俺じゃない!」

涙が溢れる。

イエスは静かな慈しみの眼差しで彼を見つめていた。

「それが、最初にあなたに見せたものだ。

この宇宙が、今どうなっているかを。」

景色が変わる。

レオンは、自分が倒した戦士の過去を見る。

崩れた家の前で膝をつき、絶望する男の姿。

「その戦士は、クリザード族が彼の星で行った虐殺によって狂ってしまった。

家族を守れなかった罪を背負い、命を絶とうとした。

だが堕落した者たちに利用され、復讐の力を得て……多くの無実の者を殺した。」

景色が消え、レオンは泣き崩れる。

「神が命を奪えば、人は正義を叫ぶ。

だが自らの手を汚す時……すべてが変わる。」

イエスは歩み寄り、穏やかに言った。

「神の罪ではない、レオン。選択の重さだ。

信じなさい。明日、あなたを助ける者が現れる。

彼らは気づかずとも、私のために働いている。」

肩に手が置かれる。

「そして忘れないでほしい。

私はあなたに、“心を変える者”になってほしい。」

光が消えた。

レオンは息を荒げて目を覚ました。

その直後、怒号が響く。

「全員起立! 今夜は特別な闘技だ!」

鉄扉が次々に開かれ、兵士の足音が廊下を満たす。

レオンは黒い服を着て列に並んだ。

待ち構えていたのは、傲慢な闘技場訓練官だった。

「今夜は祭りだ。

クリザード王と将軍たちが来られる。

そして王子が――十人のお前たちを皆殺しにする。」

空気が凍りつく。

レオンは隣の戦士に小声で尋ねた。

「王子って……そんなに強いのか?」

男は青ざめた。

「知らないのか……?

神に祈れ。自分の名が呼ばれないようにな。」

その瞬間、訓練官が叫んだ。

「最初の名は――レオン!」

レオンはため息をついた。

「……やっぱりな。」

夜。

闘技場は満員だった。旗が揺れ、歓声が渦巻く。

十人の戦士は青い松明に囲まれ中央へ押し出される。

高台には、炎のような瞳を持つ青年――王子が立っていた。

「お前たちは死ぬ。

だが全力で来い。すぐ終わらせる気はない……楽しみたいからな。」

戦士の一人が叫ぶ。

「行くぞ! 名誉のために!」

その瞬間――

光が爆ぜた。

砂煙の中、フードを被った影が現れ、装置を地面に叩きつける。

床が開き、戦士たちは次々と闇へ吸い込まれた。

沈黙。

王子は眉をひそめ、主催者は蒼白になる。

「どこへ消えた……!? くそ……!」

暗い地下。

レオンは咳き込みながら倒れ込む。

フードが外れる。

そこにいたのは――リーだった。

「……なぜ助けた?」

リーは答えず、手を差し出す。

「お前は、あそこで死ぬ運命じゃない。

使命は、まだ始まったばかりだ。」

レオンは深く息を吸い、その手を取った。

この世界に来て初めて――

自分が進むべき道が、確かに存在すると感じながら。

つづく

この物語を読んでくださり、ありがとうございます。

『宇宙・信仰・選択』をテーマにした物語です。

戦いや能力だけでなく、登場人物たちの「心の葛藤」を中心に描いています。

未熟な点もあると思いますが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

もし気に入っていただけたら、感想をいただけるととても励みになります。

どうぞよろしくお願いします。

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