「計画と傷」
この物語を読んでくださり、本当にありがとうございます。
第13話では、レオンが初めて自分の中にある力と真正面から向き合うことになります。
力とは、ただ強くなるためのものではなく、
「守りたいもの」ができた時に初めて意味を持つ――
このテーマを意識して書きました。
戦いは激しくなっていきますが、
この物語の本当の中心は“戦闘”ではなく、
それぞれの心の選択と成長です。
少しでも何かを感じてもらえたら嬉しいです。
今回もよろしくお願いします。
第13話「計画と傷」
静かな闇の中、柔らかな声が響いた。
「わたしはあなたがたのために立てている計画をよく知っている――主のことば。それはわざわいではなく、平安を与える計画であり、将来と希望を与えるためのものだ。」
声が流れる中、レオンの記憶が断片のように浮かび上がる。
幼い頃、ひとりで涙を流していた姿。
必死に鍛錬を続ける日々。
暴走する力。
そして、光の中から自分を呼ぶイエスの姿。
やがて、彼の茶色の瞳がゆっくりと――獣のような黄金色へと変わった。
K11の大地は崩れ、空は重い雲に覆われていた。
赤い閃光が走る中、鋼鉄の巨体が立ち上がる。
アンドロイド、ケーナインナインケー。
その赤い光学眼がレオンを捕捉する。
《目標確認。希少クラス・クリザーディアン。排除を開始する》
次の瞬間、爆発的な速度で突進した。
衝撃波が木々をなぎ倒し、岩を砕く。
だが、黒き獣と化したレオンは微動だにしない。
燃え上がる怒りと共に、黄金の瞳が輝いた。
鋭い黒い爪が振り下ろされる。
金属と衝突した瞬間、凄まじい衝撃が走った。
《対魔性反応を検知。戦術再構築》
ケーナインナインケーは腕部装甲を展開し、刃と砲門を露出させる。
プラズマ弾が連続で放たれ、大地が爆ぜた。
しかしレオンは吠え、跳躍する。
空中で衝突し、二つの影は激しく絡み合いながら地面へ叩きつけられた。
衝撃が惑星全体に響く。
その余波で、ララが降下してきたカプセルが破壊され、煙がゆっくりと空へ昇っていった。
遠くの丘の上。
フードを被った男が戦闘を見下ろしていた。
彼は小型ホログラム装置に向かって静かに告げる。
「目標を確認。クリザーディアンがケーナインナインケーを撃破する可能性が高い」
地下基地の青い光の中、三人の依頼主――Xプリアンたちがその映像を受け取る。
「……あの少年は計画の障害だ」
ひとりが拳を机に叩きつけた。
戦場では、ついに決着が訪れていた。
レオンはアンドロイドの胸部装甲を引き裂き、輝くコアを露出させる。
回転する一撃と共に、コアは砕け散った。
ケーナインナインケーの身体が真っ二つに裂け、残骸は遠くの山へ吹き飛ばされる。
獣の姿のまま、レオンは荒い呼吸を繰り返す。
やがて黄金の瞳が揺らぎ、茶色へ戻っていく。
体が震え、膝が崩れ落ちた。
そして、そのまま意識を失った。
負傷したララは最後の力を振り絞り、黄金色の防御フィールドを展開していた。
隣には腕を折って気を失っているリウ。
彼女の目から涙がこぼれる。
「勝った……でも……」
彼女はリウの傷を布で押さえ、止血を続ける。
朝日が昇り始め、世界は橙色の光に包まれた。
やがて、三人は洞窟へ避難していた。
天然の結晶が淡く輝く静かな場所。
レオンは布を敷いた石の上で眠っている。
そばには薬や食料の入ったバッグが置かれていた。
壁には古い刻印が残されている。
かつてリーが刻んだ言葉だった。
「倒れても立て。
戦うなら生きろ。
苦しむなら――信じろ。」
レオンの穏やかな寝息が響く。
カメラはゆっくりと引き、K11の景色を映し出す。
遠くの木々が微かに輝き、空には淡い光が広がっていた。
希望の静けさが、そこにあった。
第13話・終わり
第13話まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の戦闘は、単なる勝敗ではなく、
レオンの「暴走」と「意思」の境界を描く重要な回でした。
彼はまだ完全に力を制御できていません。
だからこそ、ここからが本当の試練になります。
そして、ララとリーもそれぞれ違う形で
レオンを支えていくことになります。
この先、物語はさらに広がり、
世界の真実や過去の秘密も少しずつ明らかになっていきます。
ここまで読んでくれたあなたに心から感謝します。
次の話でも、またお会いしましょう!




