「すべてを知っていた彼女」
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
今回のエピソードでは、レオンの物語が大きく動き始めます。
彼の中に眠る力は、単なる力ではなく、心そのものと深く結びついています。
誰かを守りたいという思いは、人を強くも弱くもします。
レオンがこの力を「破壊」ではなく「守るため」に使えるのか――
ぜひ見守っていただけたら嬉しいです。
第12話「すべてを知っていた彼女」
組織の中央母艦の内部。
リーの妹、ララはホログラム端末の前で高速にコードを入力していた。
その表情は真剣で、迷いはなかった。
彼女は評議会の極秘領域へとアクセスする。
画面に、三人のエクスプリアン評議員とスピルリ星人が会話する映像が映し出される。
「レオンを排除しろ。あの少年は脅威だ。
リーは外へ誘導しろ。リウを代わりに置け……あいつは切り捨てても構わない。」
ララの瞳が大きく開かれる。胸の鼓動が激しくなる。
(……やっぱり……罠だった)
リーへの通信を試みる。
だが端末は冷たく表示する。
「通信不能 ― 技術中立領域」
「届かない……わざと電波の届かない星へ送ったのね……」
唇を噛む。
(お母さんには言えない……評議会には逆らえない。
私が動かなきゃ……レオンも、リウ先生も死ぬ……)
彼女は秘密格納庫へ走る。
そこには一人用の脱出カプセルが隠されていた。
「リー……あなたが私を鍛えた。
戦わせたくなかったのは分かってる……でも、今がその時よ。」
カプセルは発射され、宇宙を切り裂きK11へ向かう。
その頃、K11。
浮遊する遺跡の大地で、リウがスピルリ製アンドロイドと対峙していた。
彼は地面を操り、岩柱を持ち上げて叩きつける。
「逃げろ、レオン!!
これはまだお前が戦う相手じゃない!!」
しかしレオンは動けなかった。
恐怖と罪悪感で身体が震える。
(僕のせいだ……みんな、僕のせいで……)
アンドロイドの拳が地面を砕き、リウを吹き飛ばす。
彼は血を流し倒れる。
その時、黄色い光が空を裂いた。
衝撃とともにアンドロイドへ直撃する。
ララが着地した。
全身を包む黄金のエネルギーが翼や槍、盾の形を取って展開する。
「……ララ!?」
ララはアンドロイドを睨みつける。
「あなた、触ってはいけない人に触れたわ。」
リーとの訓練の記憶が脳裏をよぎる。
仮想戦闘、精神エネルギー武装、戦術訓練。
――「いつか……俺を守る日が来るかもしれない」
戦闘が始まる。
光の槍が放たれ、回転する盾が衝撃を弾く。
エネルギーの鞭がアンドロイドを打つ。
一瞬、ララが優勢に見えた。
だがアンドロイドの目が赤く光る。
スピルリの解析機能が作動し、攻撃パターンを学習する。
電撃ワイヤーが放たれ、エネルギー障壁を貫通しララの腹部を貫く。
「っ……!!」
彼女は膝をつくが、立ち上がる。
しかし出血で力が落ちていく。
レオンを見る。
「……彼の方が……大事……
でも……まだ自分を信じてない……」
次の一撃が直撃し、ララは岩壁へ叩きつけられる。
動かなくなった。
沈黙。
レオンの心が崩壊する。
「やめろ……」
リウ。
ララ。
「もう……誰も……僕のために傷ついてほしくない!!!」
瞳が暗い黄金に染まる。
身体が変異を始める。
黒い毛並み、牙、爪。
背中から黒いエネルギーの翼が広がる。
咆哮が惑星全体に響く。
それは、カイロスの覚醒だった。
アンドロイドが初めて後退する。
レオンはゆっくり顔を上げる。
その声は二重に重なっていた。
「……今度は……怒りの相手を間違えたな。」
第12話・終わり
第12話まで読んでいただき、ありがとうございました。
ララの決意とレオンの覚醒は、これからの物語の大きな転機になります。
そして、まだ明かされていない真実が少しずつ現れていきます。
ここから先、戦いだけではなく「選択」が物語の中心になっていきます。
次のエピソードも、ぜひ楽しみにしていてください。




