第十八話 帰国(2)
生きてさすれば
必ずまた巡り会える。
体は離れ離れになってしまっても、
心だけは離れてはいない。
ここから先がスタートの始まりなんだ。
僕らはいつしか
それぞれの生活を送り、
年老いて人生が色褪せていっても、
これだけは覚えておいて欲しい。
思い出はいつまでも
僕らの心に色鮮やかに甦る。
たとえそれは
小さな思い出でもいい。
あの頃聴いた歌、
記念に残る品物を手にした時、
僕らの思い出は突然、
僕らの脳裏に甦るんだ。
だから君を忘れたのではない。
思い出の片隅に
ほんのひと時
置いてあるんだ。
僕はその箱を時々開けては
昔を懐かしむんだ。
「お爺ちゃんは昔、
近所の真理奈って子
に恋してたんだ。」
「それは一生に一度
誰でも本気の恋をするものなんだ。」
僕は一枚の写真を取り出して
そう言って自分の孫に見せてやる。
きっと僕の孫はこう言うだろう。
「お爺ちゃんはロマンチストなんだね。」
「そうだ、
だからお前も早く
大人になって素敵な恋を掴まえろ。」
僕と僕の孫は
夏の日の晴れた緑輝く
木立の見えるベンチに座って話している。
最後に自分の孫に
こう言うんだ。
「その写真の子は
お前のお婆ちゃんだ!!」
僕が孫にそう言えたら最高なのに・・・。
その孫に君は
「本当にお爺ちゃんの若い頃にそっくりね。」
って言うんだろうね。
僕と僕のその孫は
二人して少し照れくさそうにする。
「お婆ちゃん大好きだよ!!」
そう言って僕の孫は
君に抱きつく。
そんな幸せな家庭を持つことを
僕らは望んでいた。
僕らの小さな幸せは
すぐ手の届くところまで来ていた。
あの日の火事が
僕ら2人の運命を狂わせてしまった。
あの日の出来事が
僕ら二人の人生を左右した。




