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39.ドラゴンダンジョン調査 対話

早くキリの良い所まで更新しないと……

(大豪寺 泥花視点)


あれは5年前に皆で集まった時だったであるか……


「泥花チャン、もうすぐS級探検者になれそうって聞いたっしょ!」


「……それをとっくにS級探検者になってる翔悟に言われるのは複雑であるが……」


この時、吾輩はまだA級探検者だったのである。


もっとも、もうすぐS級探検者という所までは上がっていたであるが。


と、そこへ……


「……ま、ぼかぁ万年B級探検者なんで素直に羨ましいと思いますけどね~?」


宗則がそう言って話に割り込んで来たのである。


「宗則はもっと努力するのである!」


「いやいや、努力にも限度はありますよ~。……特にぼかぁ強くもありませんし……」


「宗則チャンの言う事も一理あるっしょ。……人には人の限界がある訳で……」


「でも、この5人(・・)で1人だけA級未満であるぞ?……吾輩はこの5人で一緒に並んで戦いたいんであるよ!」


普段は別々の場所……特に吾輩は京都暮らしだったであるから5人で集まる事はそうなかったであるが、それでも当時の吾輩は5人でパーティーを組みたいと本気で思っていたのである。


そう、5人で……


と、更にそこへ……


「まあまあ、それ位にしてやりなよ。……私が言うのも何だが、彼はその……戦闘向きじゃない訳だしさ」


「お兄様の言う通りですわ!……それに、未だA級から上がれていない泥花が翔悟の言う事に異議を唱えるのはどうなんですの?」


当時まだ存命であった炎優とまだ明るかった炎麗の兄妹までもが、話に割り込んで来たのである。


「……とっくにS級になった炎優はともかく、炎麗もまだ吾輩と同じA級であるよな?……そっちこそ、言える立場じゃないであるよ?」


「ぐぬぬ……ああ言えばこう言いますわね……」


「それは吾輩の台詞(セリフ)である!」


……言ったらアレであるが、当時の吾輩と炎麗はお互いをライバル視していて、事あるごとに口喧嘩をしていたのである。


なお、それを見た他3人の反応は……


「しょうもないっしょ……」


「お互い、変な揚げ足を取ってるね……」


「ぼかぁ何を見せられてるんです~?」


……という、冷ややかなものであった。


「まあ、炎麗の言う事はひとまず置いておくのである。……それより炎優と炎麗は近々、S級ダンジョンのデビルダンジョンに潜るって聞いたのであるが……」


「うん。……私としても、妹である炎麗に経験を積ませたくてね。……それに、どうも最近そこの様子がきな臭いって報告も上がってて……下手すれば、特異個体が生まれている可能性も……」


「……炎麗、くれぐれも足手まといにはならない様にするのであるぞ?」


「わ、私だってお兄様の手伝いくらいなら出来ますわよ!」


「そうっしょ。……それに、炎優チャンならその程度楽勝っしょ!」


……この時、もし吾輩や翔悟も同行すると言っていれば、未来は変わったのであるか?


そんな考えがいつも脳裏をよぎるのである。


「……何か嫌な予感がしますね~。……でも、不確定要素が多過ぎて今の状態じゃぼかぁ未来を上手く予想できませんし……」


宗則がこう言っていたのであるから、吾輩達でも予測は出来た筈であるし……


でも、吾輩達は良くも悪くも炎優の実力を信じていたのである。


それが、悲劇に繋がるとは知らず……



それから数日後、突如として吾輩達に炎優の訃報が届いたのであった。


……詳しい経緯や事情は炎麗も言ってくれなかったであるが、その日から炎麗が吾輩に突っかかってくる事はなくなり、ひたすら仇を探し求める復讐鬼になってしまったのである。


そして、吾輩は今でも後悔しているのである。


……炎優の死を防げなかった事と、炎麗が復讐鬼になるのをただ見ている事しか出来なかった事を……


……………………


……………


……



そして話は戻って現在。


吾輩達は、ミランダと名乗るシスターとドラゴンダンジョンで相対していたのである。


そして、このミランダは……炎麗が語った炎優の仇と同じ特徴をしていたのである。


「ミランダ、1つ聞かせるのである。……5年前、デビルダンジョンで炎優というS級探検者を殺したのはお前であるか?」


吾輩は冷静を保ちつつ、質問を投げかけたのである。


それに対するミランダの返答は……


「そうですね。……私が殺しました(・・・・・・・)よ」


「……くっ!」


やはり、こいつであったか……


ただ、今の死にかけた吾輩が勝てる相手ではない上、こいつは炎優を殺せる程の実力者……


下手に挑むべきではないのである。


それに吾輩は……炎優が殺された事自体を恨んでいる訳ではないのである。


親父もそうであったであるが、炎優もまたダンジョンで自分が死ぬ事を勘定に入れて生きていたのである。


だから、恨んではないのであるが……それでも、その元凶を野放しに出来るかと言われたら否である。


「……面白いですね。……恨みは感じませんが、何故か殺気は感じます。……なるほど、荊鬼が気に入る訳ですよ」


「お前も荊鬼も、近しい相手の仇って意味では恨んでないであるが……野放しにして犠牲者が増えるのは許容出来ないのである!」


「……ほう……では、私と戦うつもりで?」


「……いや、今戦っても無駄死にで終わるだけであるから、お前が戦いを始めない限りは手を出さないのである……」


悔しいであるが、今は見逃すしかないのである。


吾輩1人だけならまだしも、この場には火毘輝まで居るであるからな。


「ふふ、賢い相手は好きですよ?……とはいえ、私も早く目的を達成しなければ……よいしょっと……」


ーブチュブチュ!


「うげっ!……ホーリーゴッドドラゴンの死体なんて漁って何してるのであるか?」


ミランダは何故かホーリーゴッドドラゴンの死体を剥ぎ取り始め、何かを探すかの様な動きを始めたのである。


そして……


「おっと、ありました。……いやはや、心臓(・・)が無事でほっとしましたよ」


「……し、心臓であるか?」


何故かミランダはホーリーゴッドドラゴンの心臓……小学生の子供程のサイズがあるそれを軽々と持ち上げ、安堵していたのである。


「ええ。……これを()とし、私達が崇める迷宮神を復活させるのですよ。……あ、残りの部位は貴女方に差し上げますので、どうぞご自由に」


「め、迷宮神って……何を言ってるのであるか?」


迷宮至上教と名乗る以上、何かを崇拝してるのは分かっていたであるが……迷宮神とは何であるか?


と、そんなタイミングで……


「……その話、ボクも混ぜて貰って良いですか?」


「「ん?」」


突然、更に別の人物が話に割り込んで来たのである。


その人物は白いローブを羽織り、黒と白のツートーンカラーが特徴的なボーイッシュヘアーが印象的な若い女性であった。


「ボクの名前は金村 風斗といいます」


「……誰であるか?」


「……私が言うのも何ですが、誰ですか?」


「「ん?」」


え、てっきり吾輩は迷宮至上教の関係者かと思ったのであるが……


「……迷宮至上教の関係者じゃないのであるか?」


「……貴女方の仲間ではないと?」


「吾輩は知らないのである!」


「私も知りませんが?」


……いや、本当に誰なのである!?


「ボクのせいで混乱しているところすみませんが、話を先に進めます。……その迷宮神とは、ラビリンス(・・・・・)という名ではありませんか?」


「そうですが……それがどうしました?」


「いえ……それと、どうも今のボクでは貴女に勝てそうもないので、ひとまず退散しましょう。……では、またいずれ……」


ーフッ……


そう言い残し、金村 風斗と名乗る何者かはその場から姿を消したのであった。


「……何だったんですか?……あれ……」


「吾輩は知らないのである!……で、お前はまだ何かあるのであるか?……まさか、上の2人は既に……」


「あ、フライウルは私としても死んで欲しいのでその心配はありませんよ。……アレは悪人の癖に自身を善人だと思い込んでいる狂人で、私達としても邪魔だったので……」


「そ、そうであるか……」


確かに、悪の組織に自身を善人だと思い込んでいる悪人が居ると結構面倒であるが……だからって見捨てるであるか?


「それにまあ……貴女方の仲間が殺せたら、の話でしかありませんしね?」


ーゾワッ……


「……まさか、いやそんな訳はないのである……」


まさか宝実が負ける訳が……


……そう思いつつも、確信には至れない辺り、吾輩は未だに炎優の死を引き摺っているのであるな……


「では、私も帰らせて貰います。……あ、フライウル達の所は敢えて避けるのでご安心を」


「……絶対に、宝実は勝つのである!」


「私としても、それを望んでいますよ」


「ふん!……どうであるか……」


どうか、宝実には勝って欲しいのである……


そう祈りつつ吾輩は立ち去るミランダの背中を見続け、やがて意識を失ったのであった……

ご読了ありがとうございます。


次回は宝実vsフライウル!


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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