21.昔馴染みとの再会
駄目だ……他の作品を書きたいのに、この作品のアイデアばかり湧いて来る。
このなろう自作3作品で1番評価が低いこの作品のアイデアばかりが……
(早水 勇雄視点)
「「「「「「「ブクブクブク……」」」」」」」
ーカサカサカサカサ
「一気に死ぬのである!」
ーブンッ!……スパパパパッ!
「なら私も~。……スラミーロ、麻痺毒ぶっかけてあげて~!」
ーベチョベチョベチョ!
「……【完全防御】だ!」
ードシドシドシ!
……マッドフラワーから告白された日の午前10時頃、俺達は都内にあるクラブダンジョンでビッグクラブと呼ばれる巨大な蟹型モンスターの大群と戦っていた。
「あ、そっちも片付けるのである!」
ーブンッ!……スパパパパッ!
「……この甲羅、高値で売れると良いな……」
「そ~ですね~」
……今日は仕事も休みなので、2人を連れてC級ダンジョンのクラブダンジョンで腕試しをしようと思って来たのだが……まあ、この2人にかかれば楽勝だよな。
ちなみに、前に行ったオーガダンジョンはB級からA級のダンジョンだったりする。
とにかく、俺1人では太刀打ち不可能なクラブダンジョンも、ネリルとマッドフラワーが居れば楽勝になる辺り、俺ってもしかしなくても足手まといだよな……
「さ~て、このまま一気にボス部屋に行くであるぞ~!」
「お~!」
「……もう仲良くなってやがる……」
なお、今日は2人とも配信していない。
2人曰く、今日ばかりは自然体でやりたいとか……
……いや、2人とも配信でも素のままだよな?
とか何とか思っている内にボス部屋に到着して……
「ブクブクブク……」
ーゴゴゴゴゴ……
そこには巨大な蟹型モンスターであるキングクラブが鎮座していた。
高さが2階建て家屋に達するレベルの巨大な蟹……
もっとも、そんなのはこっちの主戦力2人にとっちゃ当てやすい的でしかなく……
「さあ、覚悟するのである!」
ーブンッ!……スパッ!……ドシィィン!
「ギシャァァァ!?」
マッドフラワーがいとも簡単にキングクラブの右ハサミを切断。
その直後にキングクラブは左ハサミを大きく振り上げるも……
「スラミーロ、溶かしてくださ~い!」
ーベチョベチョベチョ!……シュ~……ドシィィン!
「ギシャァァァ!?」
ネリルの命令に従ったスラミーロの強酸により、キングクラブの左ハサミは付け根を溶かされて落とされてしまった。
そして……
「素材にするであるから、ここからは丁寧に解体するであるぞ?」
「りょ~か~い!」
この後、キングクラブはマッドフラワーとネリルによってご丁寧に解体された。
俺?
俺が何かをする間もなかったから、基本的に棒立ちだったな。
……いや、ダンジョン探索ってこうじゃないだろ!
「ん?……どうしたであるか?」
あ、キングクラブの解体を終えたマッドフラワーが話しかけて来た。
「いやな?……ダンジョン探索って、こんなヌルゲーじゃないだろ?……って思っただけだ」
「まあ、気持ちは分かるのである。……向かって来る敵は一撃粉砕、ボスも簡単に倒せてしまうとなれば、達成感の欠片も……」
「それに加えて、俺は足手まといだしな」
「そ、そんな事は~……」
いや、俺だけ何もしてないだろ。
「……は、話を変えるのである!」
「そ、そうですね~……」
「……別に気を遣わなくても良いんだがな……」
結局、そのまま俺達はクラブダンジョンを後にした。
……その内、またソロで潜った方が良さそうだな……
そして1時間後……
「……という訳で、素材と財宝の納品である!」
「かしこまりました。……では、査定させていたします」
俺達は銭羽商会の受付で、クラブダンジョンで入手した素材と財宝を買い取って貰うための手続きをしていた。
と、その時だった。
「あれ?……もしかして勇雄君っすか?」
「ん?……あっ!」
そこに居たのは、黄緑のタンクトップとハーフパンツ、そして金髪のボーイッシュヘアーと腰に巻いた銃入りのショルダーホルスターが特徴的な活発美人だった。
……そして、その見た目と口調、声に俺は覚えがあった。
「そうっす!……かつて勇雄君と小中で同じクラスだった火毘輝っす!」
ああ、そうだ。
確か名前は火毘輝だったな。
名字は……何だっけか?
「……ひ、久しぶりだな。……ところで、名字は……」
「前は大菊だったっすけど、今はお母さんが再婚して無限原っす!」
大菊 火毘輝改め、無限原 火毘輝か……
「あ、あの人再婚してたんだな……」
「まあ、あんな田舎で噂になるレベルの美人だったっすからね~。……あ、それと2歳になる弟も居るんすよ!」
「えっ!?……いや、確かに火毘輝の母親は若かった記憶はあるが……」
「そりゃあ驚くっすよね~」
まさか、こんなところで昔馴染みに会えるとは……
……というか、俺って火毘輝に認知されてたんだな……
と、そこへ……
「い、勇雄……火毘輝と知り合いなんであるか?」
「ん?……何だ、マッドフラワーも火毘輝を知ってたのか?」
こないだまで京都に居たマッドフラワーが知ってるとなると、火毘輝って意外と顔が広かったのか?
「いやいや、知ってるも何も……S級探検者、無限原 鉄賀丸が結婚した女性の連れ子であるぞ!?」
「……ハァ!?」
え、今何って言った?
S級探検者の1人が結婚した女性の連れ子!?
「あの食ってばかりの鉄賀丸が結婚すると聞いた時は驚いたであるが、その女性がバツ1で年上のシングルマザーと聞いた時は更に驚いたであるぞ……」
「あ~、マッドフラワーさんとはその時に画面越しに会わせて貰ったんす。……でも、今は東京に居るんすよね?……まさか、あの噂は本当だったんすか!?」
「噂、であるか?」
「そうっすよ!……最近、マッドフラワーさんが勇雄君にご執心って噂が……って、これ言っちゃマズかったっすか!?」
……そういや、昔から余計な事を言っちゃう性格してたっけか……
「別に大丈夫であるぞ?」
「あ、そうっすか……」
「もう付き合えたであるからな!」
「ファッ!?」
あ、火毘輝が驚いてる。
いやまあ、そりゃそういう反応するよな……
「……あ~、一応お試しではあるが……本当だ」
「そ、そうなんすか……これは思ったよりペースが早いっすね……」
「ん?……何か言ったか?」
「何でもないっすよ!」
……明らかに今、思ったよりペースが早いとか言ってたが……はぐらかすんなら下手に詮索するのは止めておこう。
「……とはいえ、まさか勇雄と火毘輝が知り合いだったとは……世間って思ったより狭いんであるな……」
「それもそうっすね……あ、もし出来ればで良いんすけど……アタイも一緒にダンジョンに潜っても良いっすか?」
「え?」
「いや、アタイも先日の配信みたいな驚愕体験してみたいんすよ!……だったら、3人と組むのが1番手っ取り早いと……」
……何でこう、俺の周りにはヤバい女性しか集まって来ないんだ?
一見するとマトモそうな理穂さんもヤケクソが混ざって割とアレになってるし……
本当にどうなってんだよ!
「え~っと~……私は良いですけど~」
「吾輩もOKであるぞ!……それはそれとして、火毘輝も勇雄君と付き合ったりは……」
「う~ん……付き合うとしても、当分は先っすね~」
「……え?……まさか付き合う気あるのか?」
何その、今はその時じゃないみたいな反応。
俺、いくら昔馴染みだからってヤバい女を何人も囲う趣味はないぞ?
「……とにかく、火毘輝もパーティーに入るんであるな?」
「はいっす!……あ、お楽しみの邪魔はしないっすから、そのつもりで居て欲しいっす!」
「は~い」
「分かったのである!」
「……え、納得してないの俺だけ?……いや、俺としてもパーティー入りは別に良いが……」
こうして、俺達は火毘輝をパーティーに入れ、パーティーの更なる強化に成功したのだった……
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(俯瞰視点)
ここから語るは、少し先の未来での出来事。
その未来で火毘輝は、本人が言った通り"当分"先の未来に該当する日に勇雄と付き合い始める事になる。
……6人目の恋人として……
ご読了ありがとうございます。
火毘輝のハーレム入りは当分は先……つまり、次のヒロインは別のキャラです。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




