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20.マッドフラワーの告白

当分更新しないと言いましたが、アイデアが湧いてしまったので更新します。

どうせこの作品は今の32ポイントで頭打ちでしょうが、アイデアが湧く限りは更新します。

(早水 勇雄視点)


「……ってな訳で、昨日アタイはあのゴブリンダンジョンに入ったんすけど~……」


「ん?」


これは……夢だな。


何故そう思ったか?


そんなの、ここが俺の通ってた中学校の教室で、俺含め全員が中学の制服を着てるからだ。


話を戻そう。


……向こうで話してるのは、かつて小中と同じクラスだった昔馴染みの女子生徒だ。


もっとも、幼馴染みと言える程に話をした訳ではなく、あくまでも俺が一方的に知ってるだけだが。


確か、名前は……思い出せない。


高校に入る前辺りで、シングルマザーだった彼女の母親と共に、東京に住む親戚の家に引っ越したって事だけは覚えてるんだが……


まあ、当時の俺はまだギリギリ自分が選ばれた転生者だって思ってたからなぁ……


普通に考えりゃ、前世の世界より優れた物が溢れ返っているこの世界で何が出来るって話なのにな。


……ああ、世界がぼやけ始めた。


多分、そろそろ目覚めるな……


と、そんなタイミングで……


「あ、勇雄君も一緒にどうっすか?」


夢の中とはいえ、彼女が俺に話しかけるとは……


「……いや、遠慮しとく」


俺と彼女の縁が交わる事はなかった。


……今となっては、交流しとけば良かったと思っているがな。



……………………


……………


……




ーピピピ……ピピピ……


「ん~?」


ああ、夢から覚めたか……


確か、今日は……うん。


京都から戻って来て1週間か……


結局、あの後は報告書を書いたり、ネリルにお土産の八つ橋を渡したり……とにかく平穏な日々を過ごしたっけか……


マッドフラワーも騒動の2日後には退院したらしいのだが、その時点で俺は東京にトンボ返りしていたのでダンジョンで別れて以降会っていない。


……って、そんな事を思い返している場合じゃない。


早く起きないと……


「勇雄さ~ん、朝食出来てますよ~?」


「……ん?」


「勇雄、洗濯物を纏めるであるから、さっさと着替えて欲しいのである!」


「……んん?」


……俺はまだ夢の中なのか?


ネリルが3人分の朝食を作り、マッドフラワーがこの家の洗濯物を纏めている。


昨日寝た時点では1人だった筈だから、この1週間で2人と同棲を始めたって訳でもない。


「勇雄さ~ん?」


「勇雄~?」


「……夢……じゃないな……」


基本的に、夢で体が思い通りに動く場合、まばたきをしてみると起きる事が出来る。


だが、何度まばたきをしても夢からは覚めない。


つまり……


「……ネリル、マッドフラワー、今すぐ警察呼ばれたくなかったら洗いざらい説明しろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~!」


「ごめんなさ~い!」


「ごめんである~!」


普通に不法侵入だろうが!


何で勝手に忍び込んで飯作ったり洗濯しようとしてんだ!


「でもでも~、私って勇雄さんの恋人じゃないですか~?」


「そうだな」


「だから~、理穂さんに勇雄さんの家の場所を聞いちゃいまして~?」


「いや、俺のプライベートはどうなってんだ!」


確かに理穂さんなら知ってるだろうが、普通は言うなよ!


「で~、途中で会ったマッドフラワーさんと一緒に来まして~……スラミーロの力で鍵を開けて入っちゃいました~」


「……つまり、ピッキングしたと?」


「はい~」


「……通報しても良いか?」


普通にヤバいんだが?


スラミーロを使ってピッキングって……ちょっとどころじゃないレベルで大丈夫じゃないよな?


「えっと……ゆ、許して欲しいのである!……吾輩としては、てっきり普通に家に入れてる仲だと思ってたんである!……でも、ピッキングをした時点でもう後戻り出来なくなって……」


「……ハァ……今回だけは許してやるが、今度からは普通に来い。……合鍵もやるから……」


「本当ですか~!?」


「本当であるか!?」


「ああ、本当だ。……ただし、今回の件は"貸し"にしとくからな?」


「は、はい~……」


「分かったのである……」


まあ、このぐらいで良いだろ。


ネリルは一応恋人だし、マッドフラワーは事情を知ったのが後戻り出来なくなった後だったらしいし……


……相変わらず、俺は甘いな……


こんなん、いずれ痛い目を見るっていうのに……


「……で、ネリルはどうせ大した事情じゃないとして、マッドフラワーは何しに来たんだ?」


「え、その……吾輩も、東京で生活する事にしたんである……こっちの方が、迷宮至上教の情報も入るであろうし……」


「へぇ~、そうなんですね~」


「ネリル、知らずに誘ったのか……」


本当に、ネリルは関われば関わる程にヤバさが分かっていくなぁ……


ぶっちゃけ、知りたくなかった。


「……幻滅しました~?」


「安心しろ。……まだ幻滅はしてない……けど、ちょっと引いた」


「ふぇ~……逆にちょっとで済むんですか~……」


何かもう、後々もっとヤバい事しでかしそうだしな。


……と、俺がネリルと話していると……


「勇雄、ちょっと良いであるか?」


ーモジモジ……


「……い、良いぞ……」


何かもう、嫌な予感しかしない。


「じゃ、じゃあ……勇雄!……どうか将来吾輩の伴侶になる事を前提として、お付き合いして欲しいのである!」


「……いや、何で?」


ネリルはまだ分かる。


一緒にスライムダンジョンで遭難しかけて、一緒に命の危機を乗り越えた仲だからだ。


しかし、マッドフラワーは別にそういう事もなかった奴だ。


流石にあの血塗童子とかいうオーガの特異個体を倒したからって惚れるタマじゃないだろう。


そうなると……何が理由だ?


「……勇雄は、本来なら勝てない筈の血塗童子に立ち向かい、これを討ち倒したのである……その姿に、吾輩はキュンと来て……」


まさかの、俺が血塗童子を倒したのが理由だった。


「いやチョロいチョロい!……それはどう考えてもチョロ過ぎるだろ!」


血塗童子は銃を知らなかった。


だから【完全防御】で攻撃を防ぎつつ、ハンドガンで討伐出来た。


……そんな戦いで惚れられても困るんだよな……


「……吾輩の見立てではあの血塗童子、攻撃を1発でも受けたら死んでたであるよ?」


「だが、俺は防ぎ切った。……そもそも、オーガは攻撃力こそ高いが、技は大振りで素早さもゴブリン未満だ。……田舎のゴブリンダンジョンに慣れた俺にとっちゃ、全然どうにでもなる相手だったぞ?」


まあ、銃を知らない前提であればな。


「……それでも、である。……そもそも、吾輩とこうも気楽に話してくれる男は勇雄を含めて2人だけである」


「なら、そのもう1人は……」


「S級探検者の金山 翔悟である。……ただ、あいつは親父の弟子だった男であるから、吾輩にとっては兄みたいな存在であるな……」


「あのハーレム野郎が兄って……よく手を出されなかったな……」


……というか、元カレだったりしないか?


「いや、翔悟は同意の上でしかしないであるぞ?」


「でも、25人も妻を抱える性豪だぞ?」


「精力は保つであろうが、翔悟は基本的に好きになった相手としか付き合わないのである。……で、吾輩も翔悟もお互いを兄妹としか見なかったのである」


「……そ、そうか……」


つまり、義兄以外で対等に接してくれて、死ぬかもしれない格上の相手に命懸けで挑んだ……


だから俺が好きになったと?


「勿論、すぐに答えを出す必要はないのである。……でも、吾輩は……」


「……なぁ、ネリルはどう思ってんだ?」


「私ですか~?……私は歓迎ですよ~?……別に嫉妬とかするタイプでもありませんし~……」


「そ、そうか……なら、取り敢えずお試しで付き合ってみるか……」


「え、良いんであるか!?」


いや、どうせ断ったら断ったで面倒な事になるだろ?


なら、お試しでお互いの相性を探るしかないだろう。


「む~、確かに良いですけど~、ちゃ~んと私の事も愛してくださいよ~?」


「ああ、分かってる」


「わ、吾輩にも遂に春が……あ、すぐに翔悟にも報告するのである!」


「ははは……それは嫌だなぁ……」


S級探検者とはあんまり関わりたくないんだよな……


「ま~、そんな訳で~」


「今後もよろしく頼むのである!」


「……こちらこそだな」


こうして俺は、早くも2人目の恋人をゲットした。


……いや、ゲットしてしまった。


しかし、この時の俺は分かっていなかった。


……恋人がまだまだ増える事を……

ご読了ありがとうございます。


相変わらず、私が読んでる素晴らしい小説の数々と比べたら自作は駄文ですね……


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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