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2.色々ヤバい職場

……3作品同時連載の弊害で、脳の容量が足りない状態になっています……

(早水 勇雄視点)


今日は、例のヤバそうな部署への初出勤日。


ぶっちゃけ、気分が沈みそうだ……


「……ってか、よく考えたら高卒の俺がこんな世界的機関に受かるとか意味分かんないな……」


いや、だからこそあんな職場なのか?


クソッ、安定した職業を狙って賭けに出たのが間違いだったか……


「えっと、それはそうと例の部署は……ん?……これって……」


スマホに送られて来ていた、S級ダンジョン臨時派遣室の住所。


その場所に来たのだが……


「……これ、キャンピングカーだよな?」


地図通りに来た俺の目の前に有ったのは、まさかのキャンピングカー。


いや、そんな訳がない。


これは何かの間違いだ!


……そう頭の中で考えを巡らせていたのだが……


ーキィッ……


「お、君は確か……今日から入る新人君だったな!」


「へ?……それじゃあ、まさか……」


キャンピングカーから出て来たスーツ姿の女性。


彼女は、俺の事を新人と言った。


つまり……


「ようこそ、S級ダンジョン臨時派遣室へ!……私はここの室長を務める銘々田 理穂だ!」


「や、やっぱりここが……」


ここが、例のS級ダンジョン臨時派遣室で間違いないらしい。


……後、室長の理穂さんは胸こそ慎ましいが、全体的なボディラインは寧ろセクシー寄りだし、黒い長髪もまたセクシーさに磨きをかけている。


って、現実逃避にしてももう少しマトモな事を考えるべきだろ!


……とか何とか考えていると、理穂さんが話の続きを始めて……


「ちなみに察していると思うが、ここは閑職だし命の保証もないと来た!……今すぐ労基に駆け込みたいところだが、生憎この組織は世界的な組織でな!……どうにもならん!」


「……せ、説明ありがとうございます……」


ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい……


この世界における労働基準法が守られてないとか、ここ明らかにヤバい職場だ!


「おっと、かなり動揺してるな?……まあ、逃げたくなる気持ちも分かるが……」


「寧ろ、よく理穂さんは平気そうですね?……というか、そもそもどうして理穂さんはこんな職場に?」


俺がここに配属された理由も分からんが、普通に考えてここに配属されるとか相当だろ……


「ああ、少し上司の機嫌を損ねてしまってな。……仕事一筋で頑張って来て今年35歳になるというタイミングで出世街道を転げ落ちた私には、最早失うものもないのだ。……まあ、所謂(いわゆる)ヤケクソという奴だ!」


「な、何やらかしたんですか?」


「……上司の汚職を告発しようとしたところ、日本支部のトップまで汚職に関わっていてな。……告発は揉み消され、私は左遷された……というだけの話だ」


「お、おう……」


結構ヤバくね?


つまり、理穂さんは上から消えて欲しいと思われてるって事だろ?


……俺、下手しなくても死ぬんじゃ……


「……君も災難だったな。……こんな行き遅れたオバサンと二人っきりで、命の危険すらある閑職に配属されるなど……」


「いや、そんな事は……」


理穂さんは自分をオバサンだと自虐しているが、ぶっちゃけ顔は良いしまだまだ現役でモテそうな若々しさなんだよな……


しかも、それに年相応の色気まで加わって……こっちはこっちで結構ヤバい。


「ほう……なら、私と付き合えと言われて付き合えるのか?」


「勿論、付き合えます!」


「っ!?……か、仮定の話だ。……本気にするなよ?」


「わ、分かってます……」


うぅ、気まずい……


……にしても、本当に俺って何でこんな所に配属されたんだ?


「……新人君、どうして自分がこんな所に配属されたのか分からない、といった感じか?」


「少なくとも、汚職の告発をした人と一緒に配属される筋合いはないですね」


「……ところで話は変わるが、君はスキルを持っているのか?」


「え?……あ、一応……昔、地元の小規模なゴブリンダンジョンで小銭稼ぎをしてた時に習得したスキルがありますが……【完全防御】っていう、防御系のスキルですが……」


【完全防御】……名前だけは凄そうなこのスキルは、限られた回数、受けた攻撃の被ダメージ量を0にするというものだ。


ただし、常時発動型ではなく任意発動型なので、攻撃を受けるタイミングを少しでもミスると死が待っているというハイリスクなスキルなんだよな……


「多分それだな。……新人君の防御スキルを見込んだ上層部が、危険と隣り合わせなこの部署に配属させたというところだろう」


「……良い迷惑ですよ……」


このスキルって相当な動体視力要求されるから俺には使いこなせないんだが?


しかも、ちゃんと面接で説明した筈だし……


……いや、過ぎた事を考えても仕方ない。


「さて、それでは新人君にここの仕事を説明していくとしようか」


「はい」


「ここは基本的にその名の通り、S級ダンジョンに時折派遣されるのが仕事だ。……そこでまあ、色々な事を記録してS級ダンジョン調査係の方に引き渡すのが主な業務内容となる」


「な、なるほど……」


これだけ聞くと簡単そうだが、行かされるダンジョンって激ヤバのS級ダンジョンなんだよな……


……って、今時折って言ったか?


「お、その顔は"時折"に反応したか……いや、新人君の考えている通りだ。……ここは殆んどの日が休みだ」


「そ、それがまかり通るんですか!?」


「まかり通るんだな~、これが。……もっとも、代わりに給料は働いた分しか出ないから、日頃の生活費はダンジョンで小銭を稼いだり、その様子を配信したりするのをお薦めするよ」


「そ、そうなりますよね……トホホ……」


ダンジョンで稼ぐしかない感じか~。


……いや、キツいな……


「……後、基本的に仕事がある日は朝に連絡が入るそうなんだが、今日は特に連絡もないのでな。……新人君は好きに過ごしてくれ」


「ま、マジですか……」


「ちなみに、私はこのキャンピングカー内で野暮用を片付けておこうと思う」


「……わ、分かりました……」


ああ……せっかく就職したのに、それが非常勤業務とかどうなってんだよ……


そんな事を考えつつ、俺はそのままキャンピングカーを離れ……ってちょっと待て!


「ん?……新人君、どうかしたか?」


「いや、連絡先教えて貰ってません!……これじゃあ、仕事があった時に……」


「ああ、そこは安心してくれ。……私は新人君の電話番号を知っているからな!」


「いや何でですか!?」


俺の電話番号、もしかして流出してる?


「む?……採用試験の申込みで電話番号を書いただろ?……あれ、受かった場合は業務でも使用すると書いていた筈だが……」


「そ、そうだったんですか!?……み、見落としてたな……」


……いや、それも充分どうかしてるがな!?


「まあ、それはそれとして電話番号とLENEのIDは伝えておこう。……新人君、頑張って私を落としてみせたまえ」


「いや、冗談って分かってますからね?」


「むぅ……そこはノってくれても良かったろうに……」


そんな会話をした後、俺達は諸々の連絡手段を確保して今度こそ解散という運びになった。


……にしても、ダンジョン配信か……


うん、俺には無理だ。


トークスキルも魅せ技もない俺はダンジョン配信を早々に諦めると、近場のダンジョン……の前に近くの武器屋で武器の確保をしに向かうのだった……



十数分後、最寄りの武器屋にて……


「う~ん、どうするべきか……」


俺は、武器選びを悩んでいた。


ちなみに、武器屋で売っている武器はダンジョン内部でないと使えない特殊な構造をしており、市街地で悪用される事は滅多にない。


そして数少ない例外も脅迫目的で実際に使わないので、ダンジョン外で使われる事はないと言い切って良いだろう。


と、その時だった。


「ふぇ~……取り敢えず、私でも使える簡単な武器はないですかね~……」


「……ん?……君は……ネリルチャンネルの人!?」


「ふぇっ!?……だ、誰ですか~!?」


ゆるふわなピンク色の長髪に、おっとりした雰囲気を纏う女性……間違いない、昨日配信を見かけたネリルチャンネルのネリルって奴だ!


「……いや、その……俺は通りすがりの者だ……」


「通りすがりの人が、私に何の用ですか~?」


「い、いや……」


……うん、完全に俺が不審者だ……


どうするべきかな……


そんな最悪の出会いをする事になった俺とネリルが、まさかあんな目に遭う事になるとは……


この時の俺達は知らなかったのだった……

ご読了ありがとうございます。


ネリル、実はレギュラーキャラです!


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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