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拾われた戦争孤児が魔術師として幸せになるまで  作者: 武天 しあん
変化する日常

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「そろそろ武器を構えろ。リザードマンが私たちを見つけたようだ。スピードが上がったからもうすぐ見えるぞ。

そうだ、リザードマンの数は5体だ。」


「「「はい!」」」



「ヤード、いけそうなら到着する前に火を撃て。できなければ無理はするな。」

「いけます!」



ヤードはリザードマンが見えると、火の矢を3本作り出し、直前まで引き寄せてからリザードマンに向けて撃った。




ギャァァァァァァ


精度が結構いいな。しっかり当たっている。


「ジーゲル、シャーム、思いっきり戦ってこい。」

「はーい!」

「行ってくる。」


ジーゲルとシャームは武器を持って駆けて行った。



「ヤード、ジーゲルとシャームが対峙していない個体を狙えるか?」

「はい。」


「攻撃のターゲット設定はできるか?」

「いえ・・・。」



「そうか。しかし精度はいいな。威力もいい。ターゲット設定が難しいなら、数を増やす練習をしてもいいかもしれないな。」

「はい。」


「やってみるなら、彼らに隙を作ってもらうぞ。どうする?」

「やってみたいです。」


「よし、彼らに指示を出すから準備してくれ。」

「はい。」



「ヤードが攻撃を放つから、隙を作って2人共一旦引いてくれ。」

私は声に魔力を纏わせてジーゲルとシャームに告げた。



「準備はいいか?彼らが引いたタイミングでいけ。」

「はい。」


ヤードは火の矢を5本にまで増やして構えている。

「今だ!」



ギャァァァァァァ!!


「5本くらいなら余裕だな。」

「いえ、ギリギリです・・・。」


「自信を持て。精度を落とさず数を増やせたんだ。練習を重ねればもっと増やせるようになる。」

「はい。頑張ります。」



「ジーゲル、相手の動きに合わすのが難しければまず足を狙え。

シャームはもっと足を使って相手に連携させないよう掻き乱せ。」


2人では厳しいか・・・

押されているな。



「ヤード、空いた個体の足を狙えるか?」

「やってみます。」


「足が速い魔獣の場合は特に、自分の身を守るためにも足を狙うといい。一撃で倒せるような強い魔術を撃てるようになるまでは、致命傷となる場所より足や肩などを中心に狙うといい。」

「足、難しいですね・・・。何回かに一回しか当てられない。」



「彼らもなかなか厳しそうだな。ちょっと休憩して戦い方を変えるか。」

「え?休憩?」




私は風でリザードマンを追いやると、個体ごとに氷の檻で囲った。



「一旦休憩だ。戻ってこい。」

「「はい。」」


ジーゲルとシャームは走って戻ってきた。




「キツかったか?」

「正直、キツかった。皮は硬いし剣は重いし。」

「連携して来られると、自分も対処しきれなかったっす・・・。」



「シャームは相手が1体ならいけそうか?」

「自信があるとは言えませんが、ウィルさんの指示ならやってみます。」


「よく言った。結界もかけてやるから攻撃を恐れず全力で行ってこい。」

「はい。」



回復をかけ、1体だけ檻を解除すると、シャームは駆けて行った。


「ジーゲルとヤードはシャームの戦いを見ながら休憩だ。」

「分かった。・・・あの檻は初めて見た。」

「俺も初めて見た。」


「そうか。私も私以外が使っているのを見たことは無いな。」

「やっぱり・・・。」



シャームは足が速いからな。やはりそれを活かして駆け回って相手を翻弄するのがいいだろう。


「シャーム、もっと駆け回って相手に攻撃の隙を与えないよう動いてみろ。足を活かせ。」


魔力を纏わせた声を届けると、シャームが駆けるスピードが上がった。

いい動きだ。駆け回りながらヒットアンドアウェイを繰り返し、リザードマンの体力を削っていく。

シャームはもう大丈夫だろう。


「ジーゲルは、シャームの動きを真似する必要はない。武器が違うからな。

ジーゲルはあまり動かず、相手の剣や拳をブレードで受け流しながら、押し込むほうがいいだろう。相手が逃げるようなら追うことはした方がいいが、相手の攻撃を活かして切り返しをしてみたらどうだ?」

「確かに・・・、グレートソードを持って駆け回るのは厳しい。

待ち構えて相手の攻撃を活かすやり方を試してみたい。」


「シャームがもうそろそろ終わる。次はジーゲルが1対1でやってみろ。」

「分かった。」


「ヤードは戦士の戦いを見ながら、どのタイミングで攻撃を撃てばいいかシミュレーションしてみるといい。最初は難しいが、パーティーを組んだ時などはその戦士の癖を把握することで、戦士がどんな動きをした時に攻撃を撃てばいいか分かるようになる。」

「分かりました。勉強になります。」


間も無くシャームはリザードマンの胸を貫き倒した。




「よくやったな。駆け回りながらヒットアンドアウェイを繰り返す動きは良かったぞ。」

「ありがとうございます!ウィルさんに褒めてもらえるなんて。自分今が一番幸せっす。」


「そんなことはないだろう。シャームはこれからもっと強くなる。いくらでも幸せは自分で掴み取れるぞ。」

「自分、ちょっと泣きそうっす・・・。

自分も伸び悩んでて、だから冒険者登録をして、そうしたら何か変わるかもしれないと思って。でもなかなか上手くいかなくて、今日、ウィルさんに言われたように動いたら、自分の中で上手くハマって、これだって思ったんす。

だから、本当にウィルさんには感謝っす!」


「そうか。良かったな。まぁ今はゆっくり休め。」

「はい!」



そうか。飄々としているように見えてシャームも悩んでいたんだな。

そこから抜け出す手伝いができたなら、嬉しいことだ。

誰かが成長したり、それを実感している姿を見るのはいいな。




閲覧ありがとうございます。



本日より、『拾われた戦争孤児が魔術師として幸せになるまで』のサイドストーリー第二弾『ある料理人と元騎士の話』が始まりました。

ある料理人と元騎士2名は日曜14日に本編に登場します。

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