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私、時永めぐる(16)は10度目の人生を歩んでいる


 私、時永めぐる(16)は10度目の人生を歩んでいる。


 順調に高校生活を満喫中。


 ……えっと、怖いんだけど。


 死亡イベントがないよ? 1年以上なにもないとかなにごとよ。


 いや、それが普通なんだろうけれどさ。私の場合は人生のやり直しによる因果の歪みだかなんだかで、私を殺しにくる輩がいるはずなんだけれど?


「みんなが先回りして片付けてるから安全」


 ……は?


 橋姫様の言葉に私は思わず目を瞬いた。


 私は時永家からちょっと離れたところの高校に進学した。通学時間は90分程。その90分+α分を橋姫様のところで遊ぶことに充てている。


 私、【異空門】を使った空間転移ができるからね。だから放課後はこうしてほぼ毎日遊びに来ているのだ。


 いやさ、精神年齢の差がありすぎて、外見上の同年代の子たちと微妙に合わないんだよね。なんというか“後方保護者面”みたいな有様に私がなっちゃっててさ。


 同級生としての関係は問題ないんだけれど、友人として深い付き合いというには至らないんだよね。


 それはさておいてだ。


 え? どういうこと?


 橋姫様に詳しく訊いてみると――


「めぐるちゃんにちょっかい掛けて来る連中って、恐らくは宗教関連と、馬鹿な反オカルト組織が中心になると思うんだよね。

 で、前回の実行犯のひとつである【人類解放戦線】は、天狗たちがほぼ掌握済み。テロリスト共を順次入れ替えて異世界に放逐してるよ」


 え、ちょっと待って。組織を傀儡化したってのは聞いたけれど、構成員を追放してるってのは初耳なんだけれど!? 中心人物だけじゃなかったの!?


「それに合わせて、他の組織に対しても同じようにしてるよ。ただ、【反オカルト協会】だけはうまく潰せなくて困ってるんだよね。下手をすると世界経済に問題を引き起こしそうでさ」


 あー。企業のお偉いさんとかが構成員とかなんだっけ。


「そうそう。入れ替えるにしても、一度誘拐しなくちゃいけないわけだからさ、それが要人相手ともなると、下手にできないんだよね」


 いや、さすがにやり過ぎじゃない?


「みんな楽しそうにしてるよ」


 そういや、やたらと天狗さんたちがイキイキしてたな。


「あとは宗教だけかな。『異教徒は殺せ!』っていうのを表立って云ってるのと、秘匿して暗躍してるのと、このふたつが面倒臭くってさぁ。宗教は簡単に潰れてくれないんだよねぇ」


 ため息を吐きつつ、橋姫がきんつばを口に運んだ。


「まぁ、だから。組織だっての暗殺みたいなのは、ほぼ確実に未然に防げるから、めぐるちゃんは安心していいよ」


 うーむ……。まさかこういう形で安全が確保されるとは思わなかったな。未然に防ぐことができている……とはいっても、組織に対してのみだけだよね。


 以前の、ストーカーみたいなのはこっちが認識しない限り確定しないから、排除とかできないだろうし。


 うん。私はこれまで通りに周囲に気を掛けていれば大丈夫かな?


 珠ちゃんたちがいてくれるし、私の安全性はかなり高いからね。






 平穏に凄し、二年生へと進級した。実に順調だ。それだけにどうにも不安感が大きくなるばかりだ。


 ……命を狙われないと不安になるって、おかしくないかな? これまでのせいで、私も十分に壊れてきている気がするよ。


 さて、ここにきて私の生活に少々変化が起きた。


 うん。伯父さんが帰って来たんだよね。


 丁度、お爺ちゃんもお婆ちゃんも留守にしている時でさ、私が出迎えたら凄い驚かれたよ。


 というか、赤ん坊の私しか知らないから、私が誰だか分からなかったんだと思う。


「おじさん、お久しぶりです。お帰りなさい」


 って、云ったら。


「え? めぐるちゃん!?」


 と驚いて。


「やべぇ。いくらなんでも帰らなさ過ぎだろ俺」


 と、頭を抱えてた。その後、「いままでどこをほっつき歩いてやがった!」と、帰って来たお爺ちゃんが嬉しそうに、おじさんの頭をスパーンと叩いてたよ。


 で、おじさんなんだけれど、なんだかニュージーランドの方で商売をしていたらしい。商売と云うか、商品の買い付け?


 それが行き過ぎて、小さいながらも工場まで造っちゃったみたいだけど。


 尚、商品はサンダルだそうな。……サンダル?


 え、確かに消耗品だろうけど、採算とかどうなんだろう?


 さて、おじさんが帰って来たということで、時永家の跡取問題について話し合うこととなった。


 まぁ、結果からいうと、私が継ぐことになった。


 本当はおじさんが継ぐ筈なんだろうけど、今やっている仕事を辞められる状態じゃなくなってしまったそうだ。どうやら社長業はそう簡単に譲渡できないようだ。


 それに加えて、おじさん、いまもって独身なんだよね。だから、おじさんの後が続かないから、そうなると私に後継ぎの座が回ってくるわけだから、もうおじさんをとばして私が継いじゃえばいいだろういうことになった。


 まぁ、都会にいるよりは、こっちの方が安全ではあるよね。油断しまくっててストーカーに殺されたことはあるけれど。


 ああいうのはさすがにもうないだろうし、なにより現状の私を殺すこと事態が至難な状態だ。


 というかだ。現状の私はどうやったら殺せるんだ?


 毒は即死系のものを除いて無効。飛び道具は無効。とまではなった。えぇと、落下物は……重さによるかな? あぁ、でも、重い=大きい、なんて感じだろうから、大きいものは鈴ちゃんたちが蹴り飛ばしそうだ。


 となると、接近してゆっくりと刃物を突き刺すとか。あ、頸動脈を切られても死ぬか。急激な失血と脳の酸欠であっというまに思考が鈍るから。


 それとほかにあるとしたら即死系の毒物と、兵器級の武器くらいか。あ、火炎放射器でも死にそう。炎は防げな――【エネルギー変換吸収】でどうにかなりそうだな。でもきっと酸欠で倒れるな。ダメだ。


 あれ? こうしてみると、私、まだ結構脆弱?


《マスターはなにを目指しているんですか?》


 プチ異能生存体?


 つまりは死の運命から逃れまくる存在かな?


《その割にはこれまで行った対処は、どれも力づくのものでしたが》


 私の頭じゃそれくらいしか思いつかないんだよ。


 まぁ、さすがに兵器級のものに対処できるようになろうとは思わないよ。つか、対処できるようになるとは思えないよ。

 でも毒に関してはどうにかできないかなぁと思ってるんだよね。


 でもゲームみたいな毒無効なんてのは問題しかないしね。


《どういうことでしょう?》


 いや、普通に薬とされているモノだってさ、量によっては毒になるじゃない? それらも無効になる可能性もあるから、そういった能力は取らないでいるんだよ。だからどう対処したものかと。


《致死性毒無効とかでしょうか?》


 そんな都合のいい能力が得られると思う? 特定の毒の無効はできると思うのよ。かなり理不尽な能力な気もするけど。リシン無効とか、マスタードガス無効とかそんな感じで。でもそんな風にひとつずつ無効とか、馬鹿みたいでしょ?


《確かに。まぁ、毒ガスの類を使われるとは思えませんし、経口摂取においては、口にするモノをすべて【鑑識眼】で確認すれば問題ないでしょう。直接毒を掛けるような行為であれば、不審者を近づけさせなければいいわけですし》


 あ、そっか。じゃあ、毒の鑑識を自動でするように、【自動発動】さんをセットしておけば、ついうっかりもないから危険性はぐんと減るね。食事の度にちょっと視界がうるさいけど。そーだ。【鑑識眼】のほうにもちょっと調整しておこう。毒物の表記を赤文字にておこっと。


 いまにして思えば、これがフラグだったのかもしれない。


 こんな会話をコアとして2日後。


 橋姫様のダンジョン拡張作業の関係上、久しぶりに正しく通学することにした。そしてその通学途中の電車内で、私はめった刺しにされて死んだ。




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― 新着の感想 ―
やっぱりまだ殺られるんかーい! どっかの猫みたいに100万回続いたらどうしよう…
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