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問題点を見つめよう

 「それで、どうしてイースティアはこんなに国営施設が多いんだ?それも警察や消防、病院はまだ解る。問題は一部の飲食店や博物館、更にはマケットまで国営施設なのは問題だ。理由を聞かせてくれ。」

 「それは、みんなが平和で安全に働けるようにするためです。民間業者に完全委託すると、不正の温床になるので、特定の認可の下りた会社以外は国営化する方が安全だからです。」

 俺の疑問にフルールは胸を張って言う。

 「いいか、これは俺の世界の知識だから聞いておくといいが、何時の時代も企業の国営化はいい結果を残した歴史は無かったし、現在進行形で破綻の一途を辿っている国もある。何故か分かるか?」

 「いいえ、分かりません。現にイースティアは治安も良く、財政に困窮していることもありません。」

 「そうか。所で、イースティアは他国への輸出物の中で上位に入るものにはどんなのがある?」

 「そうですね。プレスト製品や作物が上位に入っています。」

 プレスト、確かプラスチックに該当する物か。結構振り幅が広いな。

 「じゃあ、プレスト製品の中でどんなものが多く輸出されている?」

 「生活用品や人形が多いですね。サーティアスもその辺りを把握しているはずです。」

 「ラフワール、本当か?」

 「そうね、イースティアの人形は工場での一括生産だから他国の商品より売れ行きがいいからサーティアスでも専門の店舗を構えている程よ。」

 「なるほどな。それで、イースティアは三国を統一し終えたら国をどうしたいと考えているんだ?」

 「それは…」

 やっぱり、明確なビジョンは無くてただ平和論を訴えかけていただけか。そうなると、他の二カ国に話を進めてもらうしかないか。

 「なるほど。イースティアの事はある程度把握できたからここで保留にして、次はサーティアスだが、警察署が少ない理由は何だ?」

 「簡単な話よ。軍隊が警察の役割の半分を負担しているからよ。犯罪者の中で多少の窃盗程度なら余程のことが無い限りは警察でも対応できるでしょうけれど、武装している犯罪者相手には熟練の軍人で対処する方が被害は少なくて済むわ。」

 なるほど。サーティアスの軍隊は俺達の世界で言うところの機動隊の役目も担っているのか。

 「そんなに凶器を持つ犯行が多いのか?」

 「そうね。商業施設が多いことは貴方も承知のはずだけど、そうなると中には店舗を凶器で脅迫して商品を強奪してそれを不正販売する犯罪者が後を絶たないのよ。」

 「なるほど。それで、サーティアスは統一して何がしたいんだ?」

 「簡単な話よ。本来サンレイドが持っていた科学施設の復元と経済的成長よ。その為には同じサンレイド人が必要よ。」

 「ほ~ぅ。だったら、俺が国王のままでも問題ないな。」

 「あら、どういうことかしら?」

 「俺はサンレイドの王族の数少ない継承者だ。それに対して覇王ちゃんは何処までいっても軍人の娘。人間の格が違うんだ。」

 「随分と大口をたたいているみたいだけれど、その王族って地位も、十年前の爆発事故で当時の王族が城ごと全員亡くなられたから舞い込んできた偶然でしょう。」

 「そういう覇王ちゃんだって、あの爆発事故があったからこそサーティアスなんて独立国家を勝手に建国して覇王を名乗れているだけだろう?それに知っているんだぜ?お前の側近のあのお嬢ちゃん、なんでも父親に強…」

 「それとこれとは無関係の話よ。今はサンレイドをどうやって纏めるか、という議題のはずよ。」

 グラッドの度重なる煽りにラフワールもとうとう怒りを隠せなくなっていた。

 「お~いグラッド、関係ない話をして場をかき乱すなら、話に参加させない方向で進めるぞ。」

 「ちぇ~っ。レイならこれくらいは冗談だって解ってくれると思ったのに。」

 「冗談なら尚のことたちが悪いな。それで、ウェステリアは国を纏めてどうしたいんだ?」

 「どうしたいも何も、サーティアスもイースティアも元々は一つのサンレイド公国だったんだ。それを元に戻すのは王家の使命だ。だから、纏めた後は今まで通りの生活を行えるように旧サンレイドの法に合わせた法整備を行うつもりだ。」

 「そうはいっても、今更サンレイド公国法が施行されて納得できるのかしら。特にイースティアは。」

 ラフワールはフルールを見る。

 「確かに、イースティア憲法はサンレイド公国法から大きく変化しています。ですが、事態を把握すれば国民は解ってくれるはずです。」

 「相変わらずフルールは甘いわね。いい?人間はね、頭で理解できていても、心で理解の出来ない生き物なの。いきなりこういう法律に変わりますから皆さんよろしくって言われて、口では分かりましたって言うでしょうけれど、心では納得していないからいずれ暴動が起きるわ。そうなった時、貴女に何が出来るのかしら?」

 「イースティアの国民はそんな事しません!」

 これは話が進みそうに無いな。

 「よし、今日の会談はこれくらいでお開きにしよう。次の会談は五日後でどうだ?」

 「そうね、確かにレイの言う通りね。」

 ラフワールは早くも賛成してくれた。

 「救世主様…」

 フルールは救われたような瞳で俺を見る。

 「チッ!興醒めだ。じゃあ五日後の今日と同じ時間に集合でいいか?」

 グラッドはつまらなそうに言う。

 「ああ、それでいい。」

 俺を交えた最初の会談は、碌な結果を出せることなく終わってしまった。

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