少女達との出会い
「うわあぁぁぁ!」
俺は落下を続けている。このままいけば確実に潰れるだろう。すると、
「フルールお姉ちゃん、ラヴェーラお姉ちゃん、空からだれか落ちてくるよ!」
「本当だ!旗を使って受けとめましょう!」
「はい!」
俺の下にいた少女達が、何かの旗を広げて落下する俺を受け止めてくれた。
「いてて…女神の奴、容赦ないな。」
俺は落下の衝撃で痛みを感じた腰を押さえながら何とか立ち上がる。
「貴様、何者だ!」
俺が立ち上がるのを確認するや否や、背はそれなりのくせに胸は残念な少女が薙刀を俺に向ける。
「その物騒なやつを下ろしてくれ。話せることも話せない。」
「いいだろう。その代わり、二人に妙な真似をしようとしたなら問答無用で斬る。」
少女は俺の意見を聞いてくれたみたいで、喉元に突きつけられた薙刀を下ろしてくれた。
「俺の名前は零、クレシェンドって名前の女神にこの星の争いを止めてくれって頼まれて呼び出されて、さっき空から落とされたんだ。」
俺はザックリと説明する。
「その時に黒紫の光に包まれましたか?」
俺の説明を聞いて背は若干小さいが胸は結構デカい少女が俺に質問してくる。
「確か、そんな色だった。女神なのに全然神聖な感じじゃ無かったからびっくりした。」
俺は記憶をほっくり返して思い出す。
「ラヴェーラちゃん、ベルちゃん、もしかしたらこの人が、私達の探している救世主さんかも知れない!」
胸のデカい少女ははしゃぐ。
「フルール様、罠かもしれません!第一、黒紫を神聖と思わないなど、怪しすぎます!」
薙刀の少女は俺を警戒する。
「この星ではそうなのか?俺の住んでいた国では、黄色や鮮やかな紫が位の高い色だったから実感がなかった。すまない。」
俺は怪しまれないように謝る。
「ちゃんと謝れるなんて偉い!フルールお姉ちゃん、ラヴェーラお姉ちゃん、このお兄ちゃんはやっぱり救世主さんだよ!」
一番小さい少女は飛び跳ねながら言う。
「まったく、ベルは少し落ち着きなさい!」
薙刀の少女は小さい少女を叱る。
「それで、あんた達は?俺の自己紹介は済んだけど、あんた達の自己紹介はまだだろ?」
「あつ、申し遅れました。私達は国家平和の為にこのイースティアの世直しをしている者で、私達は三人で義姉妹の契りを交わした中なんです。私は長女のフルール。こっちのしっかり者の方が次女のラヴェーラちゃん。こっちの元気な子が末っ子のベルちゃん。」
胸のデカい少女、フルールは三人分の紹介を一気に済ませてしまう。
「なるほど。それで、この国は今、どうなっているんだ?それを知らないと俺だって何も出来ない。」
「この国は今から数年前までは科学技術の発展していた国でした。ですが…」
俺の質問を聞いてフルールが説明し始める。それにしても、見た目に見合わないくらいデッカい胸をしているなぁ。なんて考えていると、俺の脳内に新たなスキルが受信された。どれどれスキルの名称は、『妖視単例』。視って入っているならおそらく何かの視認系のスキルか。常時発揮みたいだし、使ってみるか。俺はスキルの内容確認も兼ねてスキルを発動する。すると、フルール達の姿は瞬く間に全裸になり、三つの数字の並びが頭上に現れる。流石に気になってスキルの詳細を確認する。
『妖視単例
効果:肉眼で捉えた女性が全裸に見えるようになり、スリーサイズが表示される。解除不能。』
「何じゃこりゃあ!」
流石に俺は大声で驚く。
「貴様、いきなりどうした!」
ラヴェーラは警戒する。
「ええと、女神から貰ったスキルを確認していたら、あまりにも扱いに困るものを渡されて…」
「どういうものだ?」
「今、みんなの裸が目の前に広がっている。だから、みんなと目を合わせられない。」
俺は目を背ける。
「貴様、何を巫山戯た事を!」
ラヴェーラは薙刀を向ける。すると、
「お兄ちゃんはなんで恥ずかしそうにしているの?男の人って女の子の裸を見ると喜ぶんじゃないの?」
ベルは俺に質問してくる。
「いいか?見れればいいってわけではないんだ。例えば、今みたいな真面目な話をしたいときには集中出来ないだろう?それに、ベルちゃんは俺みたいな見ず知らずの男の人に自分の裸を見られて恥ずかしくないのかな?」
「わたしは別に恥ずかしくなんて無いよ。変なところなんて無いもん!」
ベルは胸を張りながら言う。
「こらベル!少しはつつしみを持ちなさい!」
ラヴェーラは怒る。
「お兄ちゃん、フルールお姉ちゃん!ラヴェーラお姉ちゃんがこわい~!」
ラヴェーラの様子を見たベルはフルールの後ろに隠れる。
「ベルちゃん、ラヴェーラちゃんの言うとおりだよ!女の子なんだから恥ずかしがらないとダメでしょ!」
フルールはベルに話す。
「そうだぞ。俺が何も出来ないから良かったものの、もし変な人に襲われたらどうするんだ?」
俺もベルを諭す手伝いをしようとする。
「貴様も充分に怪しいがな。」
ラヴェーラはそう言いつつも薙刀を下ろす。
「とは言え、ここまでの会話の中で我々を襲う隙は充分にあった中で一度もその素振りも見せず、殺気すらも感じられなかった。救世主であるかどうかはさておき、荷物持ちくらいにはなりそうだな。レイとか言ったな。もし我々の国を救う手伝いをしたいと言うならまずは荷物持ちから始めろ。」
ラヴェーラはそう言うと、三人の荷物を俺に渡す。
「フルール姉さん、ベル、私も警戒しながらではありますが、ひとまずは信じてみようと思います。」
「ラヴェーラちゃん、分かってくれてありがとう。これからよろしくね、救世主さん!」
フルールは和やかに笑う。だけど、目の前の問題は解決出来ていない。
「それで、一つお願いなんだけど、サングラスを買ってほしいんだ。」
そう、フルール達の裸が見えている問題が解決されていなかった。
「さんぐらす?なんだそれは?」
ラヴェーラは質問する。
「えっと、この世界に眼鏡ってある?」
「眼鏡ならあるけど。」
「わかりやすく説明すると、レンズの代わりに光を遮る素材がはめ込まれている奴。」
俺は詳しくもない知識でなんとか伝わるように説明する。
「なるほど、遮光眼鏡のことか。それでフルール様のことをいやらしい目で見ないなら幾らでも買ってやる。」
ラヴェーラは納得してくれて、俺達はサングラスを買いに街まで向かった。




