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六度目の正直  作者: さいころころり
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そして現在

そして、今回六度目の転生である。




 今回の転生はどうしてか男なのか、女なのかさえもわかりゃしない。 

 なんなのじゃ?! ここがどこで何の時代かもわからないほどにここは暗く、埃っぽい。だが、何だろう…この澄んだ空気は…。埃っぽいのは確かだが、淀んだ雰囲気はまるでない。床や壁全体が暖かく妾には心音さえも聞こえて来るようじゃ。

まるでここは母の胎の中のようじゃ。

 どかどかと先ほどから、妾の周りに張り巡らされているこの結界のような物を破壊しようとしておるが、びくともせん。

何故、妾がここに閉じ込められ、今が一体何の時代なのか、ここはどこなのかさえもわからず、頭が狂いそうじゃ。

何故、妾がこのような暗いところに…。妾をここに閉じ込めたヤツを見つけたらただじゃ置かない。末代まで祟る?そんなのは生温い。時間を超えてそやつが生まれて来ぬようにしてやろうぞ。そのくらいに妾は憤慨しておるのじゃ!! 

誰でも良いから、早よ開けい!!妾をこのような所に閉じ込めた者に目に物を見せてくれるわ!


 目が覚めた今回の転生者は暫く周りを見渡していたが、一向に目が闇に慣れる事がない事に気がついた。

 手探りで床を触って行くと石畳だっていうのがかろうじてわかる。この結界の範囲で動けるのは、この大きな一部屋のみのようだ。

今度の転生者は自分だが、一体何をしたんだろう。何か悪い事をしたからここに閉じ込められたに過ぎない。

 そんな事を考えていたが、心と脳では意見が割れた。心の中はまだ前世の記憶が残っている。だから閉じ込められる=何か悪い事をしたと言う風に考えている。

だが、脳の方は今の転生者のようで自分は何一つ間違っていないと必死に頭の中で叫んでいる。


 ふと気づけば、自分以外の人間がこの部屋に入った形跡をみつけた。

どうやらまだ自分が眠っている時に、誰かが尋ねて来たようだ。まあ、人が眠っている時にくるんじゃねぇよって心の声は叫んでいるから、実際にその時自分は目も開けなかったんだろう。

だからかな、その人はさっさと何処かに行ったようだったけどさ。

どうせなら人が起きてる時に来なさいよね。大体、就寝時間に人の家に尋ねるのはマナー違反だって親に教えてもらわなかったのかなぁ。

まったく、近頃の若いもんは。


よっこいしょっと。

暗い所で首をコキコキと鳴らすと大きく伸びをした。


「あー見〜つけた♪」


何だコイツ?

どうして妾を見下ろす?

そんな汚らしい手で妾に触れでない!!

妾が強く目を瞑ると途端に周りの空気が淀みはじめ、生暖かい空気が漂い始めると風邪が回り始めた。


「う、うわぁ!!なんだよこれ?!」


こやつ…もしかして知らぬのか?

大いなる風が密室の中を傍若無人に吹き付けると風はたちまち巨大な龍の姿に形成して行った。妾の体を無断で抱きしめているこの目の前の不躾な輩を捕まえようと風が唸った。


《汝、何故 彼女を起こす。かの方は我らが姫》


不躾な輩はすぐに立ち去るのかと思い気や、妾の胴を軽々掴むと文句を言い始めた。


《え?え? 何何?!放せ妾が何故攫われなければならぬのじゃ?! ウィンブル!!妾を助けよ!!》


風神のウィンブルを睨むと困ったように首を傾げる龍に、何でそんな間抜け面(突っ込み満載の顔)をしないでよね!

 

 何故そこで頭を掻こうとしているのだ!

風神ウィンブルは体つきがティラノザウルスみたくやたらと前足が短いのが欠点、全然掻けてないじゃないか! 

全く泣く子も黙る風神の威厳なんてどこにもない。歴史書では一般に悪魔や死神達が裸足で逃げ回るって言われるくらい怖がられているというのに。 


 しかも間抜けなウィンブルを見て、こいつは笑い始めた。


「ぷっ!!はっはっはっ!!かゆいのか?なら、私が掻いてしんぜよう」


 全く妾がコイツに横抱きになんぞされてなかったら、得意の雷をお見舞いしたというのに。

今は腹が減って力が出ぬわ…何もできん。

恨めしそうに妾をさっきから嫌らしい手つきで撫で回しているこの男を睨みつけてるんだけど、コイツには妾の声が聞こえないのかそれとも見えないのか、何の反応も示さない。

一体どう言うことじゃ?


 人の胸を触るでない!なんと破廉恥な!

絶対に雷でド頭カチ割ってしんぜよう! 人差し指をプッと小さく弧を描くようにすれば、破廉恥男の真上に妾の怒りを露にした黒いキノコ雲が現れた。


「な、何だよこれって、ここは遺跡の中だって言うのに、何でキノコ雲が出てくるんだよ!!」


遺跡?

コヤツここが遺跡だと抜かしておったが、そんなはずはない。ここは妾の母なる胎の中、妙竹林な装束に身を包んでさっきから人の体を触りまくっている破廉恥男の戯れ言なんぞ、聞いてられるか!!


 妾の怒りはついに風神にまで移った。

さっきまでのおとぼけ顔はどこに行ったのやらと言わんばかりに、目が赤く光ると破廉恥男目がけて大きく吠えた。


 男はいきなりの突風にマントを翻され、体勢が崩れるとことさらに妾をキツく抱きしめた。


く、苦しい!!


 それでも風神(風龍)の怒りは収まらない。

とぐろを巻いたウィンブル(風神、風龍)は次から次へと雷を口から吐き出した。

まるで幾千もの光の矢のように注がれる雷を紙一重の差でなんとか躱しながらも、子の破廉恥男は大きな扉へと近づいて行く。


 今までウィンブルに攻撃されて逃げ切れたものなどいないと聞くが、ウィンブルも年取り過ぎたのかもな。


 ウィンブル命令だ。さっきから妾の体をどこかの助平親父みたいに触りまくっている破廉恥男を早く殺れ!


 ウィンブルの額に汗が吹き出ているよ…。目を再び赤く光らせた風龍は大きくうねると尾で地面を叩いた。

途端に地面がひび割れ、割れた所から次々と光が出てくる。

「うわああ!!何だよこれ!!」


 胸に手をやるでない!!

嫌じゃ!こんなヤツに弄ばれてたまるものか!必死に破廉恥男の手を躱していると、男は慌て始めた。


「な、何なんだ?! 何で剣が勝手に動くんだ?!」


え?今こいつ何て言った?妾が剣じゃと?

このように長い手足があると言うのに、何で妾が剣だと言うのじゃ?

どこをどう見ても、妾は人間だろうが!このXXXX!!


 破廉恥男の手が妾の首にかかっているカンムリワシの紋章が入ったネックレスに手をかけて来た。止めて!妾を結ぶものが千切れるっ!!

 

 プチン。


 光が…白い光が辺り一面に広がると、妾の体から白銀の刃が飛び出した。

ウィンブルは白い霧となって消えると妾はヤツの隣に立っていた。


「え?お、女?あんた誰?どっから来たんだよ!」


あたふたと目を白黒させてるやつを見て、思わず笑ってしまった。


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