第137話 私、おおおおおではない!と突っ込みを入れる
なんの説明もなく!幾許の猶予もなく!
いきなり飛ばすとは!
あの金の魚め!
今度会ったら、塩焼きにしてやるのである!!
私と晶露様はふわっとした浮遊感の後、どさりと砂場に落とされた。
幸いにもそれほどの高さからではなかったからか、痛みはない。
だからこそ、こんな思考になったのであるが!
もう一度言おう!金の魚め!
私がどんなに苦労して、若君から外出許可をもぎ取ったか!
塩焼きにする前に、締めてやるのである!
私は鬱憤を晴らすように、砂場をどんと一つ大きくたたく。
それからふうと息を吐き出して、気持ちを整える。
「ねえさま」
震える声で、私にしがみついてくる晶露様。
うん。私は咄嗟に晶露様の手を離さなかった自分を褒めたい。
でなければ、晶露様とロウだけが、ここに飛ばされていたことであろう。
ぐっじょぶである。私。
「おーみー」
ロウも珍しく頭にしがみついてくる。
うん。思考の逃避はやめようか。
「2人とも、視えてるかな?」
私の問いに、2人とも頷く。
私ほどではないにしても、2人にもそれなりの眼がある。
片や本家のご子息、片や妖精であるからな!
況してや、これだけの瘴気である。
私には醜悪な臭いまでするくらいに、場の空気は悪い。
私は吐き気を抑えながら、改めて周囲を見回す。
前世で見たことのある場所、ダンジョンを思わせる場所である。
しかしそれはすぐに間違いであるとわかる。
3方向は岩で囲まれ、残りの1方向は海である。
どうやら海に面した洞窟らしい。明かりは海方面からの外からだけで薄暗い。
しかし、私が発した言葉を思い出して欲しい。
前世で見たダンジョンのようであると、私は見間違えたのである。
なぜ見間違えたか?
そうそれは、なぜかここには姿が崩れた亡霊が、わんさかと湧いていたのである!
「おおおおお」
おおおおおではない!亡霊よ!
なぜ、こんなにいるのであるか!




