第135話 私、川のパワースポットへ
外出禁止が緩和されて、初めての我が家以外への外出。
行き先は、「黒き森人の井戸」。
多少のハプニングがあったものの、それを理由に、再び外出全面禁止にならなかったのは幸いである。
考えてみれば、そう恐れることもないのである。
晶露様を危険に晒した訳でもなく、むしろ異能関連で、新発見があったのであるから、褒美をもらってもよい位なのである。
おい、調子に乗っていると、足を掬われるぞ!との、前世の親友の声が聞こえてきそうである。
うむ。その忠告は、真摯に受け止めよう。
そもそも私は謙虚なのであるから。
反論は受け付けない。
さて、平日は変わりなく、昼間は小学部で学業と施設見学に励み、帰って来ては晶露様と就寝時まで、ご一緒する、いつもの日々が過ぎていった。
なお、小学部での人物観察については保留である。
決して、若君の注意喚起に屈した訳ではない。
単に、時間がとれなかっただけである。
人物観察は時間がかかるものであるからな!
決して負け惜しみでないことを、ここに記するものである!
私が忙しい平日を過ごしていると、あっという間に、週末が訪れた。
そして再びやって来た、土曜日の午後。
「晶露様!忘れ物はありませんか?」
「だいじょうぶです!」
「ロウ!体調は万全か?」
「おう!」
「よろしい!では出発しましょう!」
私は満足して、大きく頷く。
そして晶露様とロウと車に乗り込みいざ出発である!
本日の目的地は、先週行きそびれた、パワースポット。
今日行くところは、川である。
川の名前は細井川。名は体を表すというが、それほどに細い川ではないようである。
調べたところに寄ると、その川の一部が、パワースポットになっているらしい。
川の一部がどのように?と、疑問に思われるかもしれない。
なんでもその川の上流で、大人の膝まで位の水深のところに、水がサークル状に金色に光るところがあるらしい。更にそのサークルの中心に、金色に光る魚が見えるというのである。
金色の魚。それは滅多に見れるものではないらしい。
そのことから、金の魚を見ることができたなら、運気は急上昇するとの触れ込みがあるらしい。
まあ、推察するならば、金の魚の正体は、光の屈折で、魚がちょっと変わった色に見えただけ。
そして川にあるサークルも、水底の石の並びが円状になっており、こちらも光のいたずらと考えられる。
冷静であるな、と、諸君は言われるかもしれない。
私は常に、冷静であろうとしているのである。
人は見たいものを見る、それを考慮に入れなければならないのである。
以上の理由から、今回は流石に異能絡みの新発見はないと、私は予測する。
しかし、確認は必要なのである。
それに、である。
川のパワースポットが名前倒れであったとしても、川辺でレジャーシートを敷いてのランチは、楽しみである!
細井川の川原は広いらしく、お弁当を広げて食べるのに丁度いい場所であるとか。
新鮮な空気を吸いながら、ご飯を食べる。よいのである!
そして空腹を刺激する!
「晶露様、お弁当をお忘れではないですね?」
「はい!」
そう、我々はお昼ご飯を我慢して、車に揺られている。
目的の場に到着次第、適当な場を見つけ、川を眺めつつ、遅めのお昼をとる。
のち、見学開始しようというのである。
パワースポットも重要であるが、ピクニックも、しかりである。
私はともかく、晶露様の情緒の発達に、大いに貢献してくれるであろう!
そうこうしているうちに、目的地の細井川に着いた。
今日は快晴で、気温もほどよいのである。
都心であれば暑いくらいであろうが、ここは自然豊かな場所。
長袖を着て、丁度いい陽気である。
「晶露様、帽子をしっかりお忘れなきように」
「はい!」
「それと水筒もですよ」
「はい!ちゃんともちました」
晶露様がぽんぽんと袈裟懸けにかけた水筒をたたく。
私は次に、晶露様の肩に乗るロウに確認する。
「ロウ!用意はいいか?」
「おう!」
よし、2人との準備万端なようである。
「それでは行きましょうか」
私と晶露様は、車から下りると、目的の川原を歩き出した。
まだ平和w




