第九十四話 主欲しきモノ
「…とりあえず、コレで止まったっぽいけど…小さな箱になっちゃった」
【どうやら、ちゃんとしたスリープ機能があったようですネ】
クロハのとどめの一撃によって、どうやら沈黙したらしい。
廃棄品のメイドだった彼女は、その身を小さくしていき…一つの小さな黒箱になってしまった。
【ほぅ?こんな姿になるとはな】
【手のひらサイズの小箱…すっぽりと収納できそうですね】
【この形態は、一種の安全装置の役目を果たしますからネ】
これ以上は動けなさそうだが、念には念を入れてなのか鎖を巻き付けていくエリーゼ。
ただの鎖ではなく、かなり不思議な色合いをしているものになっており、なんでも彼女たちの力を封じることができる特殊な合金で出来ているようだ。
【コアタイプではない炉心…このエネルギーを使うメイドには効果的な捕縛道具なのデス】
「へぇ、そんなものもあるのか。と言うか、最初からそれを使って拘束できればよかったんじゃ?」
【あくまでも、炉心稼働率を下げるだけですからネ。最初から出力を上げられていると、引きちぎられるので意味がないのデス】
要は某電気ネズミに出てくるような、弱らせることができれば捕まえることができるものらしい。
「それで、この後どうするの?捕まえたは良いけど、色々大事な部分が壊れているんだっけか」
【ええ、大丈夫デス。流石に廃棄処分品ですので、当初の予定通り…とはいかないようで、実はちょっと事情が変わりまシタ】
【というと、何かあったのか?】
【災害クラスのエネルギーを別の方に活かしたいとのことで…元々問題あった個所の回路の交換と危険性を最低限にまで‥‥ビル一つぐらい倒壊程度まで下げて、別の場所へ送り出すことが決まったようデス】
「いや、それ下がってない下がってない。一般人からしたら、絶対に脅威のままなんだけど」
話を聞くたびに思うのだが、このメイドの一族は何か基準のねじが抜けているのではなかろうか。
そう思うのだが、誰もしめなおす人がいないがゆえに、どうにもならないのかもしれない。
今一番必要なのは、しっかりとコントロールと統括できる人ではないだろうかと異土は思ったが、言ったところでどうにもならないという悟りの境地もある。
それはさておき、あとは…
「ああ、そういやもう脱いでも良いよな?このゴスロリ服」
そう、罠を張るために着せられていた、この女装の解除である。
このまま脱いで、さっさと気楽に‥‥
【あ、駄目ですよ、ご主人様。往来の場では脱がずに、しっかりと寮に戻ってからにしましょうね】
「え」
いやまぁ、確かに言うことはごもっともなのだが…寮まで、このままで?
もしかして、今回一番の被害者は自分ではないかと、異土は心の底からそう思うのであった。
…なお、後日談ではあるが、この時のゴスロリ女装した異土の姿に関して、配信もしていたがゆえに、その映像はバッチリ撮影されており、彼の与り知らぬところで切り抜きやぬいぐるみ、夢小説などが裏で作られ始めることになる。
そして気が付けば、その市場規模が馬鹿みたいに大きくなっていたのだが…それはまた別の話である。
…そろそろ新作もやりたいな
ゆったりまったりな、疲れている心の良い奴で…




