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王国都内到着

「お2人さん着きましたよ」


「ん、あ…」


着いたって何が…?

僕は馬車の外を覗いてみた。

目の前には大きな門があった。


「で、でかいな…」


なんでこんなところにこんな大きな門があるんだ?

しかも着きましたって…。

え、着いたの?

僕は慌ててアイリを起こした。


「アイリ!アイリ!」


アイリは基本的に一回起こしても起きない。

何度も呼ぶのがコツだ。

だから僕は何回も呼んだ。

今回は5回で済んだ。


「んー?なによもう…」


アイリはまだ眠たそうに体を起こした。

そして僕が指をさしているところに、アイリは目を向けると、大きく目を見開いた。


「これは…もしかして王国都内の大門?」


「ええ、ここがあなたたちの目的地ですよ」


馬車で僕たちを連れてきた人がそう言った。


「てことは…本当に着いたんだね」


まだ信じられないけど、きっと本当に着いたのだろう。

こんなに大きい門、資金力が1番高い王国都内以外に建てられないだろう。

やばい、まだ心の準備が…。


「今年もたくさんの人が並んでるねぇ」


確かに大門の前にはたくさんの人が並んでいた。こんなに多くの人が都内に入って行くのか。

もし村にあんな人数が入ったらすぐにパンクしてしまうだろう。

そしてきっとあの中にも入学試験を受けようとしている人が…。


「強そうな人がいっぱいだね~。お二人さんも頑張りなよ」


「は、はい」


まぁ試験を受けるのは僕だけなんだけどね。

でも確かによく見てみると、本当に強そうな人ばかりだな。

あの人はすごい筋肉しているな…、いかにも剣士っぽいな。

あの人はローブを着ていて、杖も持っている。あれが噂に聞く魔術師か。

いや、まぁ僕たちも一応魔術は使えるから魔術師の部類なんだろうけど…。


ローブと杖を持っているとサマになってるな…。

でも僕には必要のないものだな。


「この時点で試験を受けそうな人はぱっと見、200人はいそうだな…」


あと800人以上はいるとなると、想像するだけでもとんでもない人数だな…。

改めて思うと、僕かなり無謀な挑戦をしているとな。

これが単純な身体能力勝負とかじゃなくて良かった。


「もうすぐね!緊張で心臓が飛び出そうだわ!」


「僕はアイリと違う意味で心臓が飛び出そうだよ…」


僕たちは馬車から降りた。


「3日間ありがとうございました」


「いいってことよ、これが仕事だしな」


お金もきちんと渡し、馬車は来た道を引き返して行った。

もう戻ることはできない。


「じゃあアイリ僕たちも並ぶか」


「ええ!そうね!」


そうして僕たちは最後列に並んだ。

あれ、さっきまでは遠くで見てたから気づかなかったけど、みんな大きな体をしているな。

もしかして12歳で入学試験受けるのって珍しいのか?


「僕たちすごい場違いな感じするな」


「ふん!堂々としてれば良いのよ!」


まぁアイリは特待生だしね。

しかも多分飛び級っていうやつなのか?


「おいおい、こんなガキがなんでこんなところにいるんだ?」


声がしたのは後ろからだった。

僕たちの後に並び始めた人だろう。

後ろを向いて顔を見てみると、いかにも性格が悪そうな顔だった。


「な、なんですかいきなり?」


「あぁ?少し声かけただけじゃねーかよ。で、ガキのお前らがなんで2人でこんなところにいるか教えろよ」


「別に教える義理はありません」


僕はそう言い、前が詰めているのに気づき進もうとした。

その時だった。


「いたっ!」


僕は地面に顔を強打した。

不意だったせいで、受け身を取ることができず鼻から血を出してしまった。

けど別に僕がつまずいて転んだわけじゃない。

足をかけられたのだ。

後ろのこいつに…。


「あんた何すんのよ!!」


ずっと後ろの男を無視していたアイリが我慢ならずに反応した。


「俺はちゃんと質問したぜ?答えなかったこいつが悪いんだろ」


僕は自分の反射神経の無さを悔やみながらも、すぐに立ち上がり後ろを振り返った。


「お答えしたはずですが?もしかして言葉が通じないサルですか?」


さすがの僕でもこれにはイライラした。

しっかり答えたつもりだったのだが、人間の言葉がわからないらしい。


「てめぇ俺に向かってサルって言ってんのか?ガキだからってただじゃおかねーぞ」


ただじゃおかないか…。

もう僕はすでに仕掛けられてるんだけどな。

どうやら完全に舐められているらしい。

僕は一応忠告をしておくことにした。


「やめておいた方がいいですよ…」


「ああ?それは脅しか?あいにくガキの脅しなんてかゆいだけだぜ?」


かゆいだけか。

それならいい、僕は一応忠告しておいた。

こいつはとんでもない相手に喧嘩を売ったのだ。

それは僕…ではなく、僕の隣でずっとイライラを爆発させないように我慢しているアイリだ。


「あんた…」


「あ? ひぇっ…」


アイリの体から徐々に魔力が溢れていた。

これは上級…、いやさすがに中級魔術の冷圧放射(アイシクルロード)だった。

これは確か…自分を中心に周りへ冷気を放出する魔術だっけ?

殺傷能力は低いけど敵の足を凍らして、動きを止める効果がある。


まぁ完全に発動しているわけじゃなくて、通常の凍らすスピードよりも少し遅くコントロールしている。


「ああ、足が…」


徐々に足が凍っているのが見える。

アイリはイライラしているものの、魔術に関しては意外に冷静であり、じわじわと凍らそうとして楽しんでいるのがわかる。


早く謝罪しないとその足がどうなるかわかっているよな?と言わんばかりのニヤケ顔だ。

てか僕も少しは寒いから、早くしてほしい。


「す、すまない!そんなつもりは無かったんだ!許してくれ!」


まぁ少しやり過ぎたかもしれないけど、なめられないためにもこうするのが1番か。

本当は僕がやり返したかったけど、試験は今日なのだ。

魔力は温存しときたい。

けど、またアイリに頼ってしまった。

こういうのは強いアイリがやった方が効果的なのはわかるんだけどもね…。


「ちゃんとオーデンスに謝れ…」


「ひっ!!」


「…」


僕もさすがにビビってしまった。

あいつみたいに声は出さなかったけど。

思っていた以上にイライラを通り越して怒っていた。

あれ以上魔力を注いだらあいつの足はどうなってしまうんだろうか…。

ふむ、中級魔術もなかなか恐ろしいな。


「お、オーデンスって言うのか!? この通りだ!申し訳ない!」


「あ、大丈夫です。僕も少しひどい言い方してしまったので…」


まぁ撤回はしないけどな。


「ふぅ…」


そしてアイリは魔術を解いた。

実にスッキリした顔だな。

イライラを魔術で解消するなんて、恐ろしい魔術師だな。


「よ、よかった。ちゃんと足が動いてる…」


あいつの足も無事らしい。

今度は喧嘩を売る相手を間違えるなよ。

僕じゃなくアイリがこの場にいたことがお前の敗因だ!

あれ、なんか僕情けないな…。

自分で言って自分で凹むとは。


そして後ろのあいつは逃げるように最後尾に行った。

あいつの後ろもたくさんの人が並び始めていたため、すぐに姿は見えなくなってしまった。


ふう、ひとまずこの場は凌げたものの、あの絡まれ方を見るに先が思いやられるな…。



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