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特別な力

「魔力濃度ですか?」


「ああ、魔力濃度というのは、魔力の中にある魔素の割合のことだ」


「はあ…」


魔力濃度なんて単語一度も聞いたことがない…。

しかも魔素の割合?

それが高いとすごいのか?


「アイリは聞いたことある?」


僕は家に魔術の本があるアイリにも聞いてみた。


「…聞いたことも無いわ」


アイリは少し考えた素振りを見せて答えたが、アイリでも聞いたことがないらしい。


「アイリもか…」


「無理もない。俺もこれは最近知ったことだからな」


なんと…、ギルフォードさんも最近知ったなんて、

じゃあ一般人の僕らが知らなくてもおかしくはないか。


「それで、その魔力濃度が高いとどうなるんですか?」


「魔力濃度が高いと魔力が強まり、魔術の威力は跳ね上がるのだ」


「そ、それはつまり…」


それはつまり、僕の初級魔術魔力障壁はその魔力濃度が高いからものすごく堅かったってことなのか?


「でも魔力濃度が高いからと言って、

たかが初級魔術魔力障壁で魔王護衛軍幹部の攻撃を防げるもんなんですか?」


魔力濃度が高くて威力が上がったからと言って、あのバケモノの攻撃を防げるとは思えない。

でも待てよ、もし威力が何倍にも跳ね上がるのだとしたら…


「おそらくお前が使う初級魔術は通常の魔術の何百倍もの威力があるだろう」


「な、何百倍もですか!?」


そ、そんな。魔力濃度が高いってそんなにやばいことなのか。

確かに何百倍も跳ね上がるなら納得できる。


「ああ、お前の魔力はそれくらい濃いように見える」


魔力が濃いように見える?


「魔力の濃さって見れるんですか?」


「アイリと見比べてみろ。そうすればわかる」


僕はそう言われてアイリのほうを向いた。

アイリは少し顔を赤くしていた。

おそらくギルフォードさんに名前で呼ばれたことが恥ずかしいんだろう。

僕はそんなことは気にも留めずアイリに魔力を見せるよう頼んだ。


「アイリ、恥ずかしがってるところ悪いんだけど魔力を見せてくれないか?」


「え?あ、わかったわ…」


アイリはすぐに切り替えて集中し始めた。

そして少しすると体の中心から魔力が体外に出てくるのが見えた。

こうみるとやっぱりアイリの魔力はすごい膨大だな…。

どんどん膨張していっている。


まるで大きな鎧を纏っているみたいだ…。

きっとこれでもまだ本気ではないのだろう、

改めてアイリは才能の塊なのだと思い知らされるな。

てかアイリ、かなり張り切って魔力出しているな…、ギルフォードさんの前だからか。


「どう?すごいでしょ!」


「あー、すごいすごい」


そういう趣旨じゃないんだけど…。

まあいいや。次は僕の番だ。

てか僕が先の方が良かったのでは?

だってどう考えてもアイリの後だと見劣りしてしまうじゃないか…。


ま、慣れているから別にいいけど。


「ふう…」


集中だ。別に難しいことではないけど、

少しでも気が散ると魔力を滞りなく体外に出せないからな…。

心臓辺りにある魔力を意識して、それを中心に頭、腕、足へと全体に流す。

よし…


「できました…」


アイリの方を見る。まあわかっていたことだけど、僕の魔力量はアイリと比べれば乏しかった。

比べなくても普通の人よりも乏しいんだけども…。

アイリはこちらの魔力をじっと眺めている。


「アイリ?」


「オーデンスの魔力をちゃんと見たことなかったからわからなかったけど、確かに私のよりも色が濃いわね」


「え、本当に?」


僕はアイリの魔力と自分の魔力を見比べてみた。

確かに色が濃かった。

ほんの少しだけど。


「本当にすこしだけ色が濃いね…」


そうして二人とも魔力を体内に戻した。

実はこれを維持し続けるのはきついのだ。


「わかったか?これがお前の初級魔術の正体だ…」


「は、はい。大体はわかった気がします…」


「オーデンスよ、基本的に魔力はアイリのように全員同じ色で同じ濃度だ」


と、ということは…


「しかしお前の魔力はどちらも違う。特別な力だ…」


僕が特別な力を持っている?

今まで何の才能も無いと思っていた僕にこんな特別な力が…。

あれ、でも待てよ。魔力濃度が高いのは良いんだけど…


「あ、あの…」


「どうした?嬉しくはないのか?」


「いや嬉しいんですけど、ちょっと引っ掛かるところがあって…」


「ふむ、言ってみろ」


「僕そもそも魔力が少ないので、あんまりその特別な力活かせないような…」


僕の魔力量的には初級魔術を数回くらいしか使えないのだ。

初級魔術がいくら強くなったって、

初級魔術は攻撃魔術では無いのだからあんまり意味がないんじゃないのか?

完全に宝の持ち腐れってやつだ。


「オーデンスよ…」


ギルフォードさん!そんなことはないって言ってください!

僕はどうすればいいんですか!


「お前、そんなに魔力量が少なかったのか…」


「ええ…」


いやそこ!?

もしかして僕が魔力量を標準持っていることを前提として話していたの?

そんな…、期待させといてこんな仕打ちはないだろ…。

これじゃいくら頑張っても最強の初級魔術士っていう肩書どまりじゃないか。

まあちょっとありかも…。


「オーデンスよ!お前初級魔術をなめすぎではないか?」


「え、でも初級魔術なんて誰でも習得できるじゃないですか…」


そういや僕魔力障壁以外、手こずっているんだった。

言わないでおこう…。


「確かに難易度は高くないが、初級魔術は味方を助ける魔術だ」


「助ける魔術…」


まあサポート魔術っていうくらいだしな。

でもそれがなんだって言うんだ?


「俺がお前の腕を治したのも初級魔術だ」


「え?ああ、そうなんですね…」


そうか、治癒魔術は初級魔術なのか。

初級魔術でも腕は治すことができるんだな。


「もしお前がヒーリングを使えるなら、おそらく死ぬ寸前の重症者でも治すことができるだろう」


「え!?」



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