第1話
田舎から高校卒業と同時に"トーキョー"に上京した夏井ユカ
大学で友人もできて休日に若者の街"ハラジュク"へと遊びに来ていた
ハラジュクは楽しい街だ
美味しいものもオシャレなものも全部ある
夏井ユカは田舎出身だから全てに心を奪われた
…そして大学2回生になってもハラジュクの虜になったまま。
友人がいないのにも関わらずハラジュクをひとりで歩き回る
憧れの都会
興奮している
「あ!『招き猫は語らない』のゴンちゃんだ!!!」
ユカはアクセサリーショップの中で声をあげる。
『招き猫は語らない』と言うのはアニメ作品タイトルで『ゴンちゃん』と言うのは登場キャラクター
そのグッズが売っていたのだ
「ゴンちゃんほしいなぁ…でも今月お金しんどいし………」
結果的にユカはグッズをあきらめた
「今に見てろよ…!私が声優として稼げばほしいアニメグッズはいくらでも手に入れられるっ…!!!」
目に炎を宿す夏井ユカ
夏井ユカ20歳、
将来の夢…声優……
…親からの説得で専門学校ではなく大学に通う事となった女子大生…
しかし日々自身で声優になるための努力をしている…
声帯模写の鍛錬も欠かさず大量のアニメ作品の声優の真似をしている……
―――7日後
夏井ユカがハラジュクを歩いている時だった
男が素っ頓狂な声でユカに声をかけた
「あれ?え?」
「え?」
「姫だ………」
「ひめ?」
「ちょっと待って?美しすぎ!えっ!?やばっ!!!」
男がユカを褒めちぎりながら近寄る。
ユカは顔を赤らめながらも勢いに圧倒されて後ずさる
「な、なんですかっ!?」
「ああ!ごめんごめんっ!!!」
男はいったん冷静になり懐から名刺を取り出し渡す。
その名刺には『にじいろプロダクション』と言う会社名と『海藤恭二』と言う名前が記載されている。
「ごめんね!キミがあまりにも可愛すぎてスカウトしてしまったよ!」
「かっ!かわいいっ…!?」
ユカは人生で初めて言われた言葉に顔をさらに真っ赤にする。
「いやー、キミならアイドルとかで成功できるよマジで!?女優でもいける!」
「なっ…なっ…なっ…!?」
「興味ない芸能!?」
…まぁメタ発言するならこれは完全なスカウトを伴った詐欺だ。
ユカは結果的にダマされる事になる。
…今どきこんな手口にダマされる奴がいるのかと言う典型的な詐欺。
ユカはスカウトの男の言葉を信じて事務所に案内される。
その事務所はなんとも小さな個室のテナント。
そこにいるのはメガネをかけた中年女性。
この人物が社長だ。
「私はこの事務所の社長の布川と申します。昨今の声優業界は声の演技のみならず本人のルックスやダンスや歌唱力も必要ですよね…」
「あ、はい、それは存じてます…」
…夏井ユカはダンスはできないが運動部だった。
「私たちは大手の事務所ともつながりがあります!そこで通用する『養成スクール』を運営してるんですよ!」
「え!」
「ダンスや演技や歌唱力……プロの指導を受けられる養成所です!大学生でも受けれますよ!車の運転の教習所のように夕方~夜で受けてますのでっ」
一般的に見たらあまりにもバカすぎる詐欺だが夏井ユカは騙されてしまった
彼女は偽の芸能プロダクションの女社長 布川 の言葉を信じ
養成所に必要な300万を実家の両親に頼み込み用意した
実家の両親は可愛いひとり娘のユカを信じてしまい300万円を出した
…その300万円を振り込んだ途端
先方とは連絡が取れなくなった
ユカは焦って話を聞いた事務所へと向かった
ドアを叩く
「布川さんっ!海藤さんっ!!!」
とにかく叫ぶ
…次第に外の天気は曇り出し雷が鳴り始める
ドアは鍵がかかって開く気配がない
…隣のテナントに入っている会社の従業員が出てきてユカに言う
「なんすか?うるさいんですが…」
「ここの芸能事務所!この人達にお金払ったのに約束守ってくれないんですっ!!!」
「…」
隣の従業員は面倒くさそうに頭をかき言う
「あの……なにがあったか知らないんですがそこのテナント…先週にはもう空っぽですよ?」
「っ!!!」
…外では大雨が降り出した
そして序章に戻る
「こんなかわいい子がずぶ濡れになってるのほっとけないしね…話聞くよ?」
…銀髪の男"花桐柴馬"が差し出した傘を強引にユカに持たせる。
そして、季節は冬と言う事もあり、
花桐は自身が着ているコートを無理やりユカにかぶせる。
「…!えっと…」
申し訳なくなり声をあげるユカをさえぎるように花桐が名刺を渡しながら話す
「いったんそのまま自宅に帰ってお風呂に入って身体を休めて」
「…!」
名刺を受け取るユカ。
「もし君が話す余力があるなら明日この名刺の電話番号に電話して。恐らく力になれるよ…」
―――名刺に書かれていた"肩書"は
"サロゲート(代理闘士)"
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―――とあるビルの一室。
「裏裁判、これにて閉廷です」
阿鼻叫喚に叫ぶ男と高らかに笑う男。
この2人の近くにそれぞれ別の男がいる。
叫ぶ男が『被告』
高らかに笑う男が『原告』
そしてそれぞれにつく2人の男は
弁護士ではなく"サロゲート(代理闘士)"
…裏の司法機関『トリビュナル』が取り仕切る
"裏裁判"
が今終わった所だ




