第25話 幸福の妖精使いの鰐川希代香
天野は授業が終わったので部室に顔を出してみた。
見たことのないピンク色の髪をした美人が座っていた。
「おお天野君、いい所に来た。今度うちに入部することになった1年生の鰐川希代香さんだ」
異能が嬉しそうに言った。
「このまま我々が卒業すると超能力同好会が無くなるからな。心配していたのさ」
「初めまして鰐川希代香です」
鰐川希代香は少し口が大きかったが美人だった。
「みんなは私のことをワニコって呼んでいます」
「それでワニコは超能力者なのかな」
天野が訊いてみた。
「実は私は妖精使いなのです」
「妖精って、あの妖精?」
弥生が少し首を傾げた。
「出てらっしゃいな。シスター達」
希代香が人差し指をくるくる回すと、羽の生えた妖精達が3人現れた。
「ありゃりゃ」
天野が思わず声を出した。
おとぎ話の世界に迷い込んだような気分になったからだ。
「かわいい!」
鈴木圭が溜息を吐いた。
「妖精使いというのは妖精達を自由に遊ばせる能力を持っているのです」
3人の妖精達が希代香の周りを飛ぶと希代香の体が宙に浮いてきた。
妖精達が空中を飛び回ると希代香も同じように飛び回った。
床に着地すると希代香が口を開いた。
「私の特技は人の悪い気を吸っていい気に変えることです。いい気に変わることでその人は幸せな気分になれるのです」
「何だってそれは本当かい?」
山川大気が激しく反応した。
気功師の山川大気が自分の持つ悪い気を吸ってみるようにお願いした。
「妖精の力を借りるのですけれどね。それじゃあ、行きますよ」
希代香が山川大気の方を見て息を吸って吐いた。
気功のプロである山川大気は感動していた。
自分の持つ悪い気を一瞬の内にいい気に変えて幸せな気分に変えてしまった希代香の力に感動していたのだ。
気功師だからその凄さがわかるのだった。
「是非、僕とお付き合いして下さい」
山川大気は本気だった。
「私でよければ構いませんよ」
希代香はあっさりOKした。
幸せな気分になれるとわかったのでみんな自分の持つ悪い気を吸って欲しいと言い出した。
希代香はそこにいた全員の持つ悪い気を吸っていい気に変えて幸せな気分になってもらったのだ。
「よくわからないけれど、みんな幸せな気分になれたから拍手しようか」
異能が言うと、みんな拍手した。
超能力同好会の部室は幸せな気分に包まれていた。




