第18話 髪山茂のヘアタイフーン
髪山茂は薩鹿大学の3年生であった。
髪山茂には悩みがあった。
髪山茂は薄毛だったのだ。
まだ若い彼には重大な問題だった。
4年生になると本格的な就職活動が始まる。
就職活動には見た目は重要だった。
髪山は最近話題の育毛剤『髪ボウボウ』を買って試してみた。
これの効果が凄かったのだ。
あっという間にふさふさの髪が生えたのだ。
この育毛剤を使ったことで眠っていた彼の力が目覚めたのだ。
凄まじい勢いで髪が生えていった。
あっという間に髪山の髪が生えて長くなったので散髪屋で髪を切ってもらったのだが、またあっという間に髪が生えて長くなってしまった。
髪山は何だか怖くなってきた。
そこで大学でも有名な超能力同好会に相談に行くことにした。
超能力同好会の部室に髪山が顔を出すと、部員全員の視線が彼に集まった。
昨日弥生が明日部室に髪の化け物が来ると予知していたのだ。
「来たか。髪の化け物」
天野が思わずそう叫んだ。
髪山茂が髪がすぐに生えて困っていることを話すと、みんなの前でハサミで髪を切ってみせた。
あっと言う間にまた髪が生えて長くなった。
「これは超能力みたいなものかもしれないね」
異能が冷静に髪山を見た。
「でもこのままにしておけないわね」
弥生が少し同情するように言った。
「病院で詳しく検査してもらった方がいいんじゃないのかな」
鈴木圭がアドバイスした。
「みんな逃げて!」
突然弥生が叫んだ。
髪山の変な力が爆発したのだ。
凄まじい勢いで髪が伸びていった。
みんな外へ出た。
髪山は苦しそうにしていた。
髪山の髪が近くを歩いていた女子大生を掴むと宙に持ち上げた。
女子大生を助けようとした男子学生も髪に捕まってしまった。
霞斬想三郎が木刀で髪を切って学生達を助けた。
天野は念糸を飛ばして髪山茂をグルグル巻きにして動きを止めて言った。
「髪山君、大丈夫か」
異能が状況を冷静に見た。
「霞斬君、ここは君の出番だな」
異能が言うと、忍が叫んだ。
「想三郎、やっちゃいな!」
霞斬想三郎が紫色の着物姿で髪山に向かって少し歩くと、木刀を右横に振って叫んだ。
「魔剣髪斬り!」
苦しそうにしていた髪山茂の顔が一瞬穏やかになった。
髪山茂の長い髪がばっさりと切られるともう生えてこなかった。
髪山茂は気絶していた。
髪山茂は救急車で病院へ運ばれた。
髪山茂は病院で検査を受けたが、特に異常はなかったらしい。
髪山茂の変な超能力も消えたみたいだった。
天野はその時思ったのだ。
『魔剣おそるべし』




