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117/120

117.王子達の最期

 私は、研究所から出て来て、海の方に向かっていた。

 とりあえず、そこなら人気はない。森の方に行く選択肢もあったが、草木に囲まれているそちらで爆発が起これば、私が木々の下敷きになる可能性がある。そのため、海岸の方がいいと思ったのだ。


「あれは……騎士団の船か。あそこからも、離れないと駄目だよね」


 海岸には、騎士団の船があった。そういえば、その存在を忘れていた。あの近くからも離れなければ、帰れなくなってしまう。


「ルルメア!」

「逃がさんぞ!」

「お前だけは、この手で八つ裂きにしてやる!」


 私の後ろからは、グーゼス様達が追いかけてきていた。

 彼らの走る速度は早い。うかうかしていると、追いつかれてしまう。


「迷っている暇もない……」


 私は、後ろを振り返ることなく走り出す。

 私の役目は、とにかく人気のない場所に行くことだ。後は、ルミーネが彼らを爆発させてくれる。


「とにかく逃げない……と!」


 私は、自らの足に魔力を集中させて、前に飛ぶ。これで、それなりに距離は稼げるはずである。


『……ルルメア様、聞こえますか?』

「その声は……ルミーネ?」

『ええ、私です……これから、グーゼス様を爆発させますから、そのご連絡をと思いまして』

「わかった。お願い」


 私の頭の中に、ルミーネの声が響いてきた。これは恐らく、念話の類だろう。頭の中に、直接言葉を響かせることで、遠くからでも会話できるのだ。

 どうやら、彼女はグーゼス様を爆発させるつもりらしい。ここは、一度大きく距離をとるべきだろう。


「くっ……!」

「ルルメア! 逃げ……」


 私が大きく飛び出した瞬間、追いかけて来るグーゼス様の声が途切れた。

 次の瞬間、私の耳に轟音が届いてくる。それは、グーゼス様が爆発する音だ。

 最初に音が聞こえてきてから、その音は連鎖して響いてくる。どんどんと彼らが爆発していっているのだろう。

 その余波を受けて、私は吹き飛ばされる。だが、すぐに体勢は立て直せた。距離を取っていたため、なんとかなったのだ。


「うぐっ……でも」


 私は、周囲の様子を確認した。

 すると、私の前方の海岸に砂埃が上がっている。

 それは、恐らくグーゼス様達が爆発した結果だろう。

 見た所、彼らの姿は見当たらない。全員、爆発して、跡形もなく消え去ったのだろう。


「終わった……ううん、まだやることは残っている」


 グーゼス様は、これで全てこの世界から消え去っただろう。こんな形ではあったが、後は彼の安寧を祈るばかりだ。

 しかし、まだ完全に安心することはできない。私には、まだやるべきことが残っているのだ。

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