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112/120

112.彼女の意図

「……ルミーネ、一つ聞いてもいい?」

「あら? なんですか? 別に聞いても構いませんけど、答えるかどうかは別問題ですよ?」

「あなたは、人の命を奪う気はないの?」

「……どういうことでしょうか?」


 私の質問に、ルミーネは眉をひそめた。

 それは、質問の意図が理解できていない。という感じではない。

 彼女は、少し驚いたような表情をしているのだ。それは、私の質問がわかっている故の表情だろう。


「……やっぱり、そういうことなの?」

「……何を言っているのでしょうか? 私には、理解できませんね」

「いいえ、あなたは理解している。だから、そんな表情をしているんじゃないの?」

「……」


 ルミーネは、黙ってしまった。それは、私の質問が図星だったからだろう。

 やはり、彼女は意図を持って命を奪うことを避けているようだ。

 そこには、何かしらの理由があるだろう。彼女がただ残虐非道なだけであるならば、それを避けるはずはない。


「どういうことなの? あなたの目的は、一体何?」

「何度も言いますけど、それを私が答えるはずがないでしょう?」

「……」


 ルミーネの返答に、私は考える。彼女の目的、それは一体なんなのだろうか。

 今、この段階になって、私は新たな情報を得ている。私達が来るまでに、彼女の身には何かがあった。そして、命を奪うことを避けている。

 この二つの情報から、彼女の目的を導き出したい。それはきっと、この場において何よりも重要なことだ。


「さて、無駄話は終わりにしましょうか……そろそろ、忌々しいあなたを消し去らなければなりません」

「……え?」

「あら? どうかしましたか?」


 そこで、私はあることに気づいた。

 遠くの方から、音が聞こえてきたのだ。

 それは、いつか聞いたような音である。そうこの足音は、以前私を追ってきた彼が響かせていたものだ。


「……まさか」


 その直後、ルミーネは自らの後方に目を向けた。

 同時に、私もその方向を見てみると、部屋の戸を突き破り中に入って来るグーゼス様達が目に入る。


「ルルメア! 見つけたぞ!」

「ここで、復讐を果たしてやる!」


 グーゼス様達の視線は、全て私の方を向いていた。

 私に復讐を果たす。それが、彼らの原動力なのだろう。

 そんな彼らに対して、騎士達は構えた。ただ、グーゼス様の数が多い。いくら騎士達でも、あれは抑え込めないだろう。


「……どうして、彼らがここに?」


 そんな騒動の中、私はルミーネが驚いているのを見つけた。

 どうやら、これは彼女にとっても予想外の出来事だったようだ。

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