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102/120

102.調査の中で(モブ視点)

 スライグは、商人の情報網を使って、ルミーネのことを調べていた。

 ルルメアから聞いた情報を元に、様々な所に掛け合った結果、彼はとある事実を掴んだ。


「本当に、間違いありませんか?」

「ええ、旦那の探している女性だと思います」

「そうですか……」


 スライグが掴んだのは、ルミーネが現在どこにいるかという情報だった。

 彼女は、ハールース島という島にいるらしい。先日、彼女の特徴に合致する女性が、その島を買い取ったそうなのだ。


「ありがとうございます」

「いえいえ、ナルキアス商会の頼みなら、いつでも歓迎ですよ。これからも、ご贔屓にお願いします」

「ええ、もちろんです」


 挨拶を交わしてから、スライグは店を出た。

 ルミーネの情報は掴むことができた。後は、それをルルメアに伝えるだけである。


「……うん?」


 店を出てすぐに、彼は違和感に気づいた。周囲に、人の気配がまったくしないのである。

 昼間の大通りであるというのに、辺りは静けさに溢れていた。それは、普通ならあり得ないことである。

 さらに、自分が手配していた馬車も消えていた。明らかにおかしい状況に、彼の額から汗が流れてくる。


「……私のことを調べているようですね?」

「……あなたは」


 そんな彼の前に、一人の女性が現れた。その女性のことを、スライグは知っている。会ったことはないが、ルルメアから聞いた特徴に合致している人物が、彼の目の前にはいるのだ。


「あなたが、ルミーネさんですか?」

「ええ、お初にお目にかかりますね……あなたは、スライグさんでよろしいでしょうか?」

「……ええ」


 スライグの額から、さらに汗が流れてきた。

 ルルメアやこの国が追っている危険人物。それが目の前にいるという恐怖には、流石の彼も平然としてはいられないのだ。



「お分かりいただけますか? 今、あなたは私の魔法によって囚われの身となっているのです」

「囚われの身……」

「それなりの警護を固めていたようですが、私にとって、それはまったく意味がなかった。そういうことです」


 スライグは、ルミーネから身を守るために警護をつけていた。

 しかし、そんなものはまったく意に介さず、彼女は自分の目の前に現れたのである。それに、彼は驚いていた。

 そして、同時に焦っていた。これから自分がどうなるのか、それが想像できたからだ。


「僕をどうするつもりですか?」

「さて、どうしましょうか?」


 そんなスライグに対して、ルミーネは口の端を歪めた。

 その楽しそうな笑みに、彼は改めて恐怖を感じるのだった。

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