初めての魔法とお友達
魔法は楽しいでし!の巻
「そうそう、いい感じですよ。ではいつも使う水を思い浮かべて…『海の神ネプトゥヌスの加護を給えたもう』・・きゃぁ!」
「うわわっ!ど、どうやって止めるのですか!?」
右手のひらからドバドバ水が溢れる。。まるで壊れた蛇口の様に止まることなく。
「入口を閉じるか!撚る感じで!こ、コラこっちむけんなー!ヒャッ!ううっ。。怒られる…」
何とか止まったが書斎はびしょびしょだ。ちなみに服もびっしょり。マシュー厶は意外と胸あるんだな。ほっこり。
バタバタ音がしてドアが開く。
「ぼっちゃま、何が。。ぼ、ぼっちゃま??すぐにお着替えを!」
「…湯浴びの準備をしましょうか。ソム至急に。マシュー厶様は後で奥方様に。宜しいですね?」
アレフレッドの満面の笑みは久しぶりだ。怒だな。
その後。正座を二人してさせられ、母上に説教をされた。今後魔法は練習でも屋外で行うように耳が痛くなるまで怒られた。
− 初めて魔法を使った思い出はツライ −
何度も繰り返すことで水も調整できてきた。今では水球やシャボン玉の様な物も創れる。操作が慣れるまでかかったが、魔力が多いというのはわかる。いくら作っても疲れないんだ。
『シャボンガード!』
『ウォーターランチャー!』
好きな名前を着けて遊んでいた。木も倒せるくらいになった♪
「はぁ〜シュー様の発想力は凄いですね。そんな沢山作るのも自在に操るのも見たことありません」
「えぃ!」「こ、コラッ!冷た!スカート濡らすな!」
庭から裏山に訓練所が変わった時にはほぼ水球操作は思うようになった。最近の楽しみはマシュー厶のパンツを濡らしていかに逃げるかだ。年相応の悪ガキだな。。
水の神ネプトゥヌスは生まれもあって自在に使えた。その分火や風、土は残念だ。『ファイアボルト』も練習したけど火が出るだけで腕が火傷する。熱いし痛い。本当に残念だ。
屋外で動けるようになると自然と魔力操作も上手く行くようになった。身体強化は自然に出せるように。こっそり抜け出し下町に行くのも体力も疲れない。最近お気に入り入は神殿だ。周りは静かだし何より大海がよく見える。
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「どうですか?最近の魔法の様子は?」
「はい。水の操作はできる様になりました」
僕は指先に小さな水球をだしクルクル廻してみる。
「…マシュー厶。詠唱も祝詞も聞こえませんでしたが?」
「その。。シューリヘト様はご自身で良く分からない法則を持っているので。。正直どうやって出すのか私も分からない事ばかりです」
側使えも含めはぁ〜とため息をつく。母上は頬に手を当て困った様に話す。
「シュー。年頃ですから我慢しろとはいいませんが、マシュー厶や側使えのお尻を濡らすのは止めなさい。かわいい娘ばかり!毎日下着を干す身になりなさい!」
う、いろいろバレている。フューリとソムの視線がいたひ。
「シュー坊や。婆やのスカートならいつでも濡らしていいぞよ。いひひ」
「はい。。申し訳ございません」
恥ずかしくて顔が上げれない。最近調子乗っててすみません。。
講義も中級になり『ぷにぷにスライム』を作れ様になった。
「・・それは何に?」
「こうして座るとクッションになります!」
「・・濡れないのですか?」
「周りを風でコーティングしているので大丈夫です!」
恐る恐る座るマシュー厶。いい感じだ。ちょっと気合いいるけど。
「これは。。涼しくて気持ちいいですね。でも。。何か違う様な。。うう?私の指導が間違えだったのですか。。」
ショックを受ける師匠を慰める。よしよしと。
「・・それ要らないです」
魔術書を読みながら難しい所々を聞く。
「師匠。この古の捧げモノの部分ですが。。」
「ああ媒体に身の一部注げば〜の下りですね。要は身体の一部を神に捧げる事で高魔法を使ったり契約をする。現実ではないですが」
「?身体の一部ですか?」
「昔黒魔術が流行った際に生贄や、自分の目や耳を切り捧げた…」
「イタイイタイ!わ、分かりました。飛ばします」
「もちろん五感の一部を捧げるものも。舌を噛み砕き味を神に…」
「もういいです!パンツすみませんでした!」
涙目で訴える僕をからかう様にニヤリとしている師匠。たまにマッドサイエンスみたいな事を言う。イタイのは苦手だ。
「ふふふ。懲りたらイタズラを無くす様に。寝る前にお話に行こうかしら?」
「本当にやめて下さい!」
年相応怖がりなのだ。
本当に幽霊とか居そうな世界だから。
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時間が取れる時に神殿で遊ぶことが最近の流行だ。
身体動かすのも、柱で遊ぶのも楽しい。身体強化使えば屋根にも登れるし風も気持ちいい。
既に初夏、もうすぐ六歳の誕生日を迎える前頃だった。
神殿の屋根でぷにスラ枕を作り、ゆっくりと初夏の昼寝を楽しんでいると歌声が聞こえた。
?この辺りは人もそんなに来なく下町から遠い。マシュー厶かな?
ふと音の方を見ても誰もいない。
よくよく聴くと丘の下から音は聞こえる。透き通る様な歌声がはっきり聞こえてきた。
「海の〜中には〜隠れるように神殿があり〜♪空の雲に似てる〜流れる海流〜」
・・へんてこな歌だな。恐る恐る頭をだして見る(ビビリ)と崖下の外れの岩に一人の女の人がいた。
ん?おかしい。波は相変わらずザッパーンとしているのに、その岩の周りだけは穏やかに。そして半裸でふくよかな胸が見える。・・身体強化 魔眼!(単に視力強化です)
しばらく歌を聴いていたけど、あっちは気がついていない。
岩の周りは穏やかなので行って見ようか。距離があるのでぷにスラを橇に変えて周り込む様に滑って降りた。
うひょー!気持ちいい♪ん。ん?あれ。止まんない!
滑走していくぷにスラ橇はどんどん速度が上がり制御ができなくなる。ブレーキ!着け忘れた!
「ガッ」石に弾かれ空を舞う。
岩の手間に向かって『ドッボーン!』と水飛沫を上げ突っ込んだ。
ぼこぼこぼこ。。
(あ、僕、泳げたっけ?)
溺れる前に必死でぷにスラを掴む。身体強化!
ぷにスラは水に浮かぶらしい。
少しずつ浮かんで丸いぷにスラを持ち水面へ上がれた。
「ぶはっ!ごほ、ごほっ。ああ死ぬかと思った…ん?…」
ふと目を上げると岩に座り込んでいる女の人と目が合った。
「「キャー!」」
また水飛沫が舞う。女の人は海に入って胸を隠す。
グワングワンと波がたち、ぷにスラが揺れるので岩に掴まり登る。
水面から顔だけ出す女のコ。。
「…えっと見たでしょ?」
「ちょっと見た」
「……エッチ」
「「ところで何でこんな所に?」」
・・タイミングばっちりだ。お互い顔を見てププッと笑う。
「初めまして。シューといいます。お嬢さん。あなたの歌声が綺麗なもので気になって近寄ろうとしたら。止まんないで落ちました」
「あら、礼儀ができるのね?まだ幼いし、いいか。私はイレーネよ。よろしくね」
「その・・イレーネさんは・・人魚ですか?」
そうだ。さっき目の前落ちた時。海に潜るとき。足は無く魚の尾びれが見えたんだ。
「…やっぱり見てたのね。エッチ。そう人魚よ。おかしいかしら?捕まえる?」
「いえ特に。よろしければ友達になってくれませんか?」
赤い眼を見開きイレーネはびっくりしている。年は少し幼い中学生くらいか。淡いグリーンの髪とサンゴの髪留めがキラキラしていた。
「プッ、ププ・・面白いこと言うのね。危害はなさそうだし。。分かったわ友達になりましょう。でも二人だけの内緒よ?」
「よろしくイレーネ。たまに歌を聴いていいかい?」
「シュー、今度胸当てを持って来てね。人間のお友達は初めてだわ。美味しいものを持って来るならいいわ」
お互い手をだし握手する。
この二年間、僕はお屋敷でずっと育った。
下町に勝手に出ることもなく。
だから、友達が一人もいなかった。
こうして僕は神殿の崖で。
初めての友達ができた。
しばらく毎日投稿していく予定です。
本日も2部予定。3部目!
平日は夕方upで落ち着きます。。(たぶん)
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