ニグルアンノス〜1206黒い年〜
三章始まります!
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竜玄歴1206年 春の終わり
帝国はまた侵攻を始めた。まさに時間稼ぎをしていただけと平然と攻め入る。フランク王国はもちろん準備はしていたが、西ゴート王国を伝い北側国境が戦場となり、多くの血が流れる事になった。
西側フランク王国に侵攻。これはジェノヴァ共和国を含め西側諸国には充分驚異となる事になった。時勢は西側の安定を壊す事になる。夏になるまで激しい戦闘が続いていた。
そしてその秋。もはや壊滅されている東ゴート王国より疫病が流行りだす。それは手足が黒くなり。死者の様に彷徨うと。東側諸国に蔓延し、多大な損害が出ている。流行病は黒死病と呼ばれた。
更に同時期、北側諸国には激しい戦乱の影響か、大規模な蝗害が発生した。特に酷いフランク王国と帝国。北部の諸国は秋を前に食料不足となり戦乱は一時止まる。まさに全国的な危機状態に陥る結果になった。
俗に言う”1206の黒い年”である。
各国は対応に追われた。特に被害が大きいのは東小三帝国と呼ばれた国だ。黒死病と蝗害、また度重なる戦争へ徴兵と出され市民は激減した。
その被害は翌春迎える時に八割を超える国民が死んだと聞く。元より土地が痩せており、財政的にも弱い国である。飢えと病、まさに地獄だった。
レグナム神国内戦も雨季を前に終わった。結果神殿派が勝ち、第一夫人一族は皆殺しの制裁を受けた。ただ、多くの犠牲で領主は決まらず。双子の幼女が代理とし君臨する事になる。
そして1207年 2月
バチカンが動く。新たなる教皇パスカリス二世。
時勢を見据えての事か。はたまた就任一年を迎えての事か。長年保守派が多い中、初の革新派と名を示した。
それは彼の出生地が今悲劇の東小三帝国、いや旧プラハ神国だからか。
教皇庁で初めて武器を持つ騎士団を認めた。
それは。混沌の世界を救助し救う為、剣を持つ正義の軍団。俗に言う聖十字軍の登場である。
そして十字軍を率いる軍長は・・幸も不幸も。
バチカン聖女 ”カネラ・レ・ミゼラブル” であった。
新改革派と呼ばれ所属される教会に。
この冬一斉に伝達が届けられた。
「我らは一神教会世界の解放者であり、混沌となる世を打ち砕く。今一度バチカンに集まれ。強きものよ。世界は救いを求め祈りを乞う。
救いの声に耳を傾け、弱き者の生を繋げようではないか。
此処に正式に十字軍を招集し、各地へ救援に出る。強きものよ。賢きものよ。医療に通じるものよ。春に旅立とうではないか。混沌の世へ。東小三帝国を解放に」
世界は熱狂した。教皇の言葉は一神教にとっては神の言葉になる。神が解放に、救え、と告げた。今までこんな正確な言語で通達がある事があっただろうか。
□□□
翌年 春 バチカンにて
第一回十字軍はその数二万となり。行動を開始する。
レグナム神国海路経由にて北に展開。旧ハンガリー王国を抜け東小三帝国へ遠征。いやこれは軍事行動である。帝国は基より、他国、旧神殿派の反発も考えられていた。
「教皇。よろしいのですか?」
教皇の秘書長、ジョレル枢機卿は心配そうに尋ねた。
その意味にはいろいろ含まれていた。十字軍を認めて、軍団長はカネラで、権限を与えて、武器を持たせて。。。様々な事が。
「ああ。私は10年と教皇で居られないだろう。そして昨年起きた事は。1000年に一度の悲劇だ。例え人が起こしたとしても」
「はい。それは重々承知しています。聖女で大丈夫でしょうか?」
「そなたの心配事は分かる。普段の言言を聞けばまとめ上げるには相応しくないと。それは正しくもあり。正しくもないのだ」
「はい。権限を与えているので余計に。。」
「ふむ。実はカネラと話した事があってな?あやつの故郷もまた被災されて酷い状態じゃった。その頃の口癖は。『神はいない』と」
「だから言ってやったのだ。『神がいなければ成れば良い。神ならどう救うのか?やって見ろ』と」
ジョレル枢機卿は黙る。確かに最近カネラの様子は変わってきた。捕まったからだろうか。口調もより優しくなった。
「また、誰がなろうとも。武力行使は避けられん。虐殺然り。侵略もまたな。誰が力を止められようぞ?神の名の下に集まるものを」
「カネラはああ見えて臆病だ。周りに助けられて生きておる。馬鹿な真似はせんじゃろう」
「教皇様。そこまで考えていたのですね」
「ああ。しかしこのやり方で良いのか。もっと良い方法はないのか。いつも神に問う。多くの信者が戻らないだろう。。」
「それでも。あの街。プラハは救いたい。我がままじゃな。街の通りはトゥルデルニークの匂いで足が止まり、子供達がロウテカの様子を楽しそうに。老人は椅子に座りヴルタヴァ川を眺める。。」
そこまで言って教皇は言葉をつまらす。
言いたい事は初老となるジョレルにも痛い程わかる。
教皇という立場は最高長である。
それに至るまでどれだけ我慢をして、情勢を見据え。。我慢の頂点である。そして‥人は死を感じてみな大切なものを知るのだ。
――それは多くの人には遅く。
教皇になったとしても遅いのであろう。
「悪いの。もちろん。バチカンの力を示す事に意味がある。新革新派も多くの分家に分かれ、教会同士でもくだらん内輪もめもある。そうした事を今一度示す必要があるのじゃ」
「はい。南国では異教徒も現れだしたとも聞きます。今一つになるには絶好の機会です。この遠征を通し、一神教も知れ渡るでしょう。例え帝国といえども。これ以上好き勝手にさせる事は成りません」
「うむ。旧神殿派、新革新派問わず集めよ。神の言葉は我にあり」
□□□
1207年 3月 バイエルン帝国
「・・との事。春には東側小帝国に侵入が!」
「分かった。よりによってこの時機か。クソっ!」
皇帝ベルヘルム二世は教皇による侵入を考えなければ行けなくなった。
国力は首都や基街は問題無いが、地方や村落に至っては飢えと飛蝗に悩まされている。兵も激しいフランクの抵抗により万全ではない。
「ロンメル元帥。西側帝国の様子はどうだ?使えそうか?」
エルヴィン・ロンメル。東側侵攻の立役者であり旧三国を力で押さえつけている元将軍。現在軍事を司る立場にある。
「ふぅむ。足止め程度しか役に立たないでしょう」
「では放棄して守りを固めろと?」
「帝国より送っても宜しいのですが、些かその後を考えると。そこまで東小国は価値がありません」
「では取られるのを黙って見とけと言うのか!」
黒机にバン!と大きな音がする。
「正直いいますと、旧オーストリア領以外はもうダメです。既に国境を封鎖し、黒死病の繁栄を止めておりまする」
「・・そこまで疫病は酷いのか?」
「あれは地獄ですな。この国に入れば帝国も消えます」
「そうか。致しかたない」
「ふぅむ。果たしてあの状態でどうするか。また病気を無くした後が肝心ですな。実効支配するか。傍また去るか」
「ん?治るものなのか?」
「神の力があれば少なくとも病気の進行は止めれるはず。時間はかかるが治る可能性も高い。特に教皇側は優秀な白魔術師が多くおります故」
「まぁ使えんものは良い」
「皇帝様。助言が」
「許す。ハイドリヒ」
「既に黒死病が流行っておりますが、旧ハンガリー王国北にはあやつがおります」
「・・思い出したくもない。それが何だ。死んだか?」
「いえ、利用し足止めを仕掛けるのも一興かと」
「あれが帝国の言う事を聞くと?」
「言葉足らずで申し訳ございません。利用するのです。神の言葉に反応するのなら、聖女一向が近くに来るぞ、と。大層美味いであろうなと。近づくものを喰う奴らは乗ってくるかと」
「面白いではないか!ハイドリヒ。良くやれ!煽れ!」
「ふぅむ。悪くはないですが。喰われたら喰われたで面倒ですぞ?万の兵で不死軍来られたら。ここも危険です」
「・・思い出したくないな。あれは夢で出る。偵察を多めに出して良い。大惨事は防げ。一山燃やしても良い。ロンメル元帥はオーストリアの防守を固めろ」
「はっ!旧スロバキアに行くぞ!」
「ですな。こちらは壁も高いので闇の亡者入れますまい」
◇◇◇◇◇
黒い年が明け。様々な国がその対応に追われる。
寒い時期も過ぎて行き。
良く晴れた芽生えの季節を迎えた。
国によりそれぞれ感じる事は違えど。
春は変化を呼ぶ。
バチカンでは多くの兵士が集まっていた。
「各国より集まれし我が十字軍よ!腕に剣を持て!赤十字の旗を掲げよ!「神が望まれた!」行くぞぉ!出陣!」
『「『「神が望まれた!!!」』」』
うわぁああああああああああ!!!
うわぁああああああああああ!!!
うわぁああああああああああ!!!
竜玄歴 1207年 4月 初旬
バチカン宮殿より号令が飛び旅立った
第一回聖十字軍 軍団長 カネラ 二万連合軍
カネラの側には。赤十字の旗を持つ隻腕の子供が。
「よぉ〜し!行っくぞぉ〜♪いざ天竺に!」
「はぁ。。いや北だってプラハじゃん。まず船だし」
「うふふ♪楽しみだね〜♪悟空♪」
・・こいつ軍団長にした奴出てこい。とりあえず殴る。
……春は変化を呼ぶ?
―――物語は続いていく
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