閑話 レグザ
戦後の状態を記載しています。
表現がきついので、死体や暴力的表現が苦手な方は読まずにお願いします。
ストーリーには関係しません。
……肆の刻を過ぎた頃。中隊はレグザに入る。
遠目にも半壊した下町レグザはリアコタスには衝撃的だった。
船が近づくに連れ、波の間に水死体が。
また嵐の影響か材木が散らばって流れる。
「リアコタス軍長。下町にはもう。。ほぼ生存者がいませぬ」
「…分かった。パナヨティス油断せず散策を。中央に待機所を作れ。50程は船の警備を。トランポ公爵も船で待機を」
「私は参ります」
「よろしい。馬を。トランポ、カロミラ騎馬で街を抜けるぞ!全武装!」
「ハッ!」
これが。レグザか。
港の桟橋は船の突入で壊れ、多くの船が壊れている。
何より中ガレー船は6隻も全焼されており大きく5mの円穴が開いてる。…なにがぶつかればこんな穴が開くのだ?
下町の様子はもう。見る影もない。
西はともかく東は全焼に近い。いまだ煙が上がっていた。
昨晩襲った嵐は、朝方には通過した。
まだ吹き替えしはあるが空も晴れ、風は弱まっている。
捜索隊から吉報は敵兵は既に町にはいない事。
次には半壊した教会の地下から80名弱の生存者がいた事である。
「よく、無事であったな」
「儂ら年寄りは動けませぬ故。神父様が守ってくれました」
疲れた表情でありながら。
助けに来た事で涙を流す。
教会関係者も数人無事に確保できた。
「神父どの、待たせた。他のものは。。」
「はい、リアコタス様。北の神殿に。。少なくとも動ける者は向かいました」
詳しく聞けば、神父は教会共々散る覚悟だったと言う。
海賊が数で攻められ、もうダメと言うときに爆撃がしたと。
その音は空騎兵の爆撃よりも大きく海賊を蹴散らしたと。
「軍砲と思うほど大きさでした。収まり様子を見に出たとき、神の子が一度降りて。。”遅くなった。心配ない”と。しかし右腕がもう酷い怪我でした。。そのまま屋根伝いに飛び上がり港からまた轟音が。。雨も降り出し私は地下で無事を祈りました」
シューリヘトだ。間違いない。某方が守ってくれたのだな。
「分かった。船より食料を送る。動ける者は手伝わせよ」
□□□
私はカロミラ・ディオス。レグナム神国出身。
女性騎士であるが魔獣退治、要人の警備も行う領主一族使えの正規近衛騎士だ。今回領主様より直々に任務に当たる。
大きくない下町と聞いたが、被害が酷い。
道路は刳られ、家屋の多くが燃えている。
特に抜ける前の北門は既に死臭が激しく吐き気を催した。
門兵だけでない。
海賊も、また反撃したのか村の男らしい死体が多くあった。
・・逃げ遅れた幼子や女子も。
くっ!この場での戦闘が激しかったのだろうか。
あんな子供にまで・・
冷静に。気がついた事は爆撃後の周りに海賊の死骸が多いのと、黒焦げの死骸が目立つ。門を抜け丘に行くまでいくつ穴があった。
これが魔法とすれば、どれだけの魔力が必要なのか。
地形すら大きく変わっていた。
丘を上がると神殿はすぐ見つかった。
未だ緑の結界に守られているのだ。
「結界があるが、気を抜くな!戦闘態勢を!」
「「ハッ!」」
私は号令をかけゆっくりと斥候数名と神殿に向かう。
神殿前の大広間ではおびただしい血と、黒焦げの死骸がそこらにある。
草木は燃えて炭に。これは。。無駄足だったのか。。
結界は敵意がないためなのか、すんなり通してくれた。
警戒しつつ階段を上がり神殿に向かうと。。
「!騎士だと、結界は!?て、てきか!」
入口の兵士がざわつく。民間兵か。
神殿の奥には…なんだと。。どれだけ。。なん百人いるのだ?
神殿が人で埋め尽くされている。
敵意が無いことを示すため兜を取り叫ぶ。
「騒ぐでない!我はレグナム神国近衛騎士、カロミラ・ディオス!保護に来た!」
『ウォオオオオオオオオーー!』
「助かった。。」「神よ!」「ああ。。奇跡じゃ。。」「良かった。良かった」
歓声がなり響く。すぐに振り向き、警戒をしてる階段下の同士に告げる。
「リアコタス様!神殿内の島民は無事!神殿内の島民は無事!」
大騒ぎする神殿を見ながら。
黙れなど言わない。
よく、生きていてくれた。自然と笑みが出る。
□□□
神殿では兵士が6人しかいなかった。
皆怪我しており、よくぞ守ったと声をかける。
「一部始終の様子が分かるものはおるか?」
「はい。私が説明します」
「アレフレッド!無事だったか某方。。嬉しいぞ!シューは?母上は無事か?」
既に服はボロボロ。髪は降りており、体中泥と血まみれだ。。大丈夫か?
「・・それを含めお話をします。人払いを」
そう言って、神殿奥の待機室に連れて行かれる。
その言葉でカロミラ、パナヨティス、トランポ公爵のみにし、残りの騎士に周囲警戒と、一部を船へと戻らす。伝令と食料だ。
「おぉ……これは無惨な。。」
部屋に入るとトランポ公爵が嘆く。そこまで広くない中部屋に兵士の死体が何体も座る様に立て掛けられ。そしてテーブル上にフューリが。
ひと目で死んでいと分かるのは、エプロンがもう真っ赤になり。腹に突き抜ける程の大傷がある。
「くそっ!」
「褒めて上げてください。主を守ろうとし、皆。。」
「言うなアレフレッド。この者達は我らの島レグザを。レグザの民を守ってくれた。皆!黙祷」
しばらく沈黙が流れる。
違うテーブルの席につく。
アレフレッドが事の流れを話てくれた。ゆっくりと。シューリヘトの活躍、海賊の撤退、帝国軍との死闘。将軍の死骸。
「なるほど。では屋敷も既に。。か。」
「帝国空騎兵が全て倒した訳で無いことは私も理解しています。おそらくリュフォーリル様は。。連れ去られたと」
少し沈黙がおこる。
「転移陣よりクリル、リリルは無事王宮おる。ソムとランドもだ」
「おぉ。。なるほど。それはご安心しました」
「後は。。シューか。。」
「・・言葉にできません。が、未だ結界が切れておらず生きていると確信しています」
周囲は思ってもいない言葉で驚いた。
「・・確かに。この結界はそなたではないのか?」
「ご冗談を。領主一族でなければこれだけの結界はできません」
結界の仕組みは一度ビスフェノに聞いたとアレフレッドは話しだす。
単純に敵意などで弾くのではなく、レグナム神国に登録していない他国は絶対に入れないものらしい。また武具、魔法の類は通さない。
もちろんその発動条件は知らず、また一度起動させれば込めた魔力だけの時間だけ作用する。もしくは起動者が亡くなるまで。と。
「そうか。私も知らないが。。シューは知っていたか」
「それは少し違います。シューリヘト様は、お婆様が亡くなる時に教わった、と」
「つまり。。お婆様は既に。。」
言葉がつまる。
「よし。ありがとうアレフレッド。そなたは少しゆっくりしろ。パナヨティスここで炊き出しを。あと港とやり取り食料の確保を任す。トランポ公爵、一度ピレウスに戻り、必要物資を往復になるが、お願いしたい。思った以上に島民はいる。カロミラ、一緒に屋敷に数名と共にいく。すぐ近い」
「「「ハッ」」」
□□□
お屋敷に向かいリアコタス様は苦い顔をしていた。
最悪知っているものの死体しかいない、という事だ。
それは奥方様もいるかも知れない。
屋敷はもう半壊近く煙が薄く上がっていた。入口から門兵の死骸が横たわる。屋根が吹っ飛び焦げ後も。
音は何も聞こえず。
誰も生存していない雰囲気だった。
屋内は水が入り絨毯も足跡で埋め尽くされて縦横無尽に汚れている。
階段には中年メイドの死骸が。更に上に護衛騎士と帝国騎士の死骸。相打ちか。無念であろう。。
「ツィーター、トラウト。。後で迎えにくる。安らかに」
食堂には荒らされた様子がない。奥には鍵が。剣で壊し開ける。
食物庫には怯え様に二人。。
「た、助けてください!。。リア。。コタス様?」
「テ厶、ハッサ無事か。。嬉しいぞ!」
「助かった。。。」
隠れて食べ生き延びたらしい。数名の騎士に任せ神殿に。
二階入ると何処もドアが壊され荒らされている。捜索されたのだろう。
また、護衛騎士の死骸が。。帝国騎士が三人切り伏せ力尽きたのか。兜を上げると長い髪の女性だった。目はカッと見開き、喉を付かれたのか口から下は真っ赤になっていた。手に力が入る。。酷い。
「エリア。よくぞ。ゆっくりと休んでくれ。。あぁ。もう一緒に稽古はできないのか……」
死体の目を閉ざさせ。リアコタス様は進む。
二階最奥の部屋の前につく。入る前から死臭が纏う。手前に手足が切られ死んでいる帝国騎士が多く、修羅場を示していた。
ゆっくりと開いたドアの先。。
槍が刺さった老婆の姿が――
ストン、とリアコタス様が膝から崩れられた。
「あぁ。。お婆様。。お労しい。。クッ。。。クソったれ!なんでだ!うぅ。。」
次から次に知るものの死。ましては肉親。我慢できなくなったのだろう、リアコタス様は叫ぶ様に泣いた。
…しばらく周りの警備を。中央の魔法陣は真っ赤に染まって。部屋内には四人の帝国騎士の首無し死骸があった。魔法で反撃をした傷が、壁の至る所に。立派に戦われた。眼を瞑り祈りを。。。
その後屋敷は汲まなく探索されたが、リュフォーリル様の姿は見つからなかった。
神殿に戻り一夜明かす事にした。
結界は未だに起動しており夜でも明るい。
執事室を借り私は起こった事をまとめていた。その一筆は。
レグザ 下町崩壊 生存者 543名 行方不明86名 死者 736名
あまりに多くの被害、襲撃で生存者が多いのは。
全て神の子のおかげである――
その一文をきっかけに筆は起こった事実を記載していく。
私には特別な祝福がある。
鳥を作り手紙を送ることができる。
いつもと同じ様に黄色い鳥を作り。
左大臣ロンツォ・ニードル様に手紙を送る。
神の子は今はどこにいるのか?
緑の結界は優しく、夜の神殿を照らし続けた。
毎日投稿していく予定です。
平日は夕方upします。
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