大国の賓客を迎える成人式
再び神儀式です。他国の説明や情勢、長いですがよろしくです。
―――ゴード王国
その国力は強大で赤土領土から取れる農作物は他国にも輸出されている。位置は中央にあり高山、地形の利もあり発展していった。
北南へ流れるドルウ川は大地に恵みを与え、尚かつ砂金が取れた。これが300年もの間、富国して国の上位にいた理由だ。
しかし60年前に政変があり国は二つに割れ。東は共産軍事国、西は保守貿易国として今に至る。西に元ゴード首都ドルフルドゥーテがあり土地も広い。
種族は東はほぼ人族だが、西ゴードは獣人商人が多く亜人を受け入れている。成長させる為の政策だろうか。東西関係友好。元来、同じ国なので行き来は自由だった。
が、この春北寄り東ゴード王国へバイエルン帝国が侵攻。東部は未だ戦乱中で情勢は油断できない。
・・本と聞いた話で解る情報はこれぐらいか。
まぁ島国で調べれる事などたかが知れている。
父上の話だと西ゴード王国の第二王女、クリスタ・フェアリーズ・ゴードその一向が今朝の便で到着する。僕らは側使え、また事前に派遣された近衛騎士20名と共に教会にいた。警備は既に外の配置の打ち合わせ、脱出通路など話だ合っている。
「今日は某方の初舞台でもある。王女は気にせず励め」
「はい。ラインストーン兄上。領主一族に恥じぬ神事を心掛けます」
顎の傷を掻くようにニヤニしているラインストーンは微笑む。
「安心しろ。何が合っても守ってやる」
「おや?私も守ってもらえますか?うふふ」
「母上、当たり前です。本日のエスコート宜しくお願いします」
埠頭に船が到着しましたと連絡があり、決められた人数で迎えに行く。移動の時、どこか町全体が緊張感があるのは大国より来賓の影響かもしれない。
□□□
空はひつじ雲が拡がり天気もいい。今日は雨などはないだろう。
港に着くとすぐにどの船か分かった。この辺りではあまり見かけることのないキャラック船が桟橋泊まり、帆を畳んでいた。
「西ゴード王国 第二王女クリスタ・フェアリーズ・ゴードでございます」
「レグナム神国 第三領夫人リュフォーリル・オズベルタス・レグナムです。此度エスコートを任されました。良き出会いコルツァの導きに感謝します」
手を軽く上げフワンと昼でもわかる赤い光がクリスタに飛ぶ。
クリスタ側は驚いていたが、元来挨拶の祝福はこの様なものだと聞いていた。先に馬車が到着されクリスタ護衛騎士と共に乗り込む。国により護衛騎士の格好異なるが、西ゴードの騎士は上半身に軽鎧、片腕は開けて動きやすくしており、背中にハルバードを持つスタイルだった。
教会の開けた一室にて自己紹介を、兄、僕、そして首都から来た文官ロンツォ・ニードル紹介する。神儀式の流れやこのレグザの歴史担当だ。正直この島は小さく歴史しか誇るところはない。
西ゴード側の紹介で護衛騎士長のアレンツァ、護衛騎士ロメスリード、文官のリヒタイン、リア・ソルベルなど紹介を受ける。ロメスリードは珍しく女性騎士で、クリスタの側使えの動きを細い目で追っている。最後に筆頭側使え中年のニルネットだ。
クリスタは洗礼式を春の終えた僕より一つ上だ。身長は同様。真紅の髪とオレンジ色の眼、そして緩い黄土のドレスが異世界と知る。チラッと僕に興味あるのか見てくる。まぁ白い神官服と神官特有のシュールと珍しいからかな?
挨拶しながらお茶会を催しアレフレッドの出番だ。
簡単に、また浅く情勢を切り出す母上の語術はうまい。
「西ゴードは現在東には物資援助を主に行っております。また、戦の準備しておりますが、攻めて出ることはございません」
「まぁ。帝国には困ったものですわね。東ゴードの親族などは心配ではございませんか?」
「ある程度の情報のやり取りをはできます。ただ、、商人の足入れは西はともかく東は激減しましたわね」
まぁ利に敏感な商人は近づかないだろう。一部の内戦でも足を離れる。経済的問題もありそうだ。しばらくして教会外がにぎやかになってきた。儀式で若者が集まって来たのだろう。
「クリスタ王女、暫し席を外します。母上、準備へ参ります」
「シューリヘト。しっかりおやりなさい」
「…もしかしてシューリヘト様が神事を行うのですか?」
「ハッ。若輩者ですが精一杯行います」
神殿服の姿をしていたが、さすがに儀式進行を行うとは西ゴード側は誰も思っていない。騎士団は顔に出さないが驚き、クリスタは周り見て洗礼前にその様な事ができるのですか?と文官に尋ねる。苦笑している文官は困っている。
「シューリヘト様はお若くして祝詞を覚え祝福を。『神の子』に劣らず儀式を行う事ができるでしょう」
ロンツォ、言い過ぎだから。ハードル上げないでください。はぁ。とため息ついて部屋を出る。フューリが案内してくれたが、いつもみたいに軽口はかけて来ない。変な緊張の雰囲気のまま、裏の控えに着いた。椅子を出し座り聖典など準備を行う。
「シューリヘト様。無理を為さらないでくださいね。失敗してもいいのです」
「ありがとう。でもいい所見せないとね。フューリの主だから」
まっ!と驚いた目をして、また二人で目を合わせふふふっと笑う。
「ぼっちゃま!行ってらっしゃまし!」
肆の刻が教会内に鳴り響く。入口の戸が開き人が入って来るのがわかる。不思議と緊張はしていないのはフューリの声聞いたからか。教会の神父が通りやすいようにカーテンを少し開く。ずっとやってきた不思議な感覚。何度も読み、口にした言葉。
「神殿長。ご入場」
背筋が伸び祭壇へ向かう
焦らずゆっくりと
祭壇には踏み台が設置してあり一段登る
教会には40名弱の若者が席に着いている
視線上に上げると覗き込む様にクリスタが 心配そうな母上が しっかりと見るアレフレッドが そして伺う様に兄上が
聖典を開き一度目を閉じる
ゆっくりと目を開き 下から前に視線を移す
「成人を迎えし若人よ 此度領主オズベルタスより給われし。シューリヘト・オズベルタス・レグナムが神事を行う」
その子供の高い声は教会に木霊し。
神儀式が始まる。
誰もがその幼い姿を目にザワついた。
□□□
神儀は何故行われるのか疑問だった。
日々忙しい毎日の中、短いながら祝詞を覚えさせ。
「王族だから省略できないの?リア」
「お嬢様。洗礼式は王族足るあなた様の証明を周り分からすもの。神儀式に出ないと王族にもなれませんよ?」
「あら・・それは困るわね。面倒な儀式だこと」
「都会は形式的になって来ましたし。。祝福を知る機会減ったでしょうか」
「ほわんって光るだけでしょ?魔力でもできそうだわ」
「本来祝福は。。説明しにくいですが、洗礼式を受けると身体が丈夫になります。成人式では子供授か易くなるとお聞きしています」
「…迷信というか。はぁ。そういえばリアも神国出身だものね。神の事は長いのだから。。」
「まぁ昔の事でしたから。一度拝見してみては?地方程美しいとお聞きしますが」
「この忙しい時勢にですか。。」
そんな会話をしていると父上に呼び出し受けた。
「父上、ごきげんよう」
「おおクリスタ。相変わらず初々しいの」
「此度はどうしましたか?」
「ふむ。洗礼式終えた後事だが。他国に遊びに行かんか?この所お主の母上が勉強しろ。琴を練習しろ、計算をしろとうるさそうだからのぅ」
そう。私は6歳になった頃からあれこれ習い事が毎日びっしょりだ。特に商人に対する要求は凄い。足元見られるな、1年間、数字を誤魔化せるな、相場を知れと毎日課題だらけだ。英才商人教育は辛い。
正直数字を見るのも嫌になった。
「いいですわね。最近疲れ気味ですもの。。」
「ならば丁度良い。夏中になるがレグナム神国でもどうだ?」
聞き慣れない。。というか遠い。あ、リアの故郷ですわね。
「そうですね。夏にイタリシ共和国都市ポポリ経由で。。優雅な船旅ならいいですわ。南の相場。。(コホン)特産品も気になりますし」
「レグナム神国は魔力に長けた国はでもある。神事一度は見た方が良いな。・・ちなみに王子も何人か空いておるらしいので見分してはどうだ?」
…まさか貴族院に行く前にそんな話とは。一応兄様が何も無ければ私は他国へ嫁ぐ。これは昔から決まった事だ。
「・・まあ殿方は気にしておく程度ですね。まだ7歳ですわ、お父様」
「それで良い。この夏は東ゴード王国への攻撃が激しくなると聞く。少しでも安全な所にいて欲しいという親心と捉えておくれ」
それで納得した。確かに隣国とはいえ戦乱、王宮内でも不安な日々は続いている。どの文官がスパイでどの貴族が裏にいるかは分からない。特に貴族の繋がりが密な東ゴードは厄介なのだ。
私は無事に洗礼式を終えたあと、正式に賓客としてレグナム神国に訪れる事になった。なんだか大袈裟になっている。
ポポリのトメトは美味しく名産なのも良くわかる。他にも保存も効く乾麺は簡単にお腹が太る料理は軍事でも使えそうだ。何より時期が良かったのか新鮮な夏野菜は量も値も大きさもいい。
南国の方が食物は育ちがいいと聞いたのだがここまでとは。要報告ね。私イタリシ共和国に嫁に来たいわ。
「しかし。。暑いわね。。リア、水〜」
「はい。果樹水はどうでしょう?喉の潤いで」
うん。甘酸っぱいけど悪くない。酸味はいいわね。
「この酸味の果樹は何です?ポポリでは売ってました?」
「少しありましたわ。『レモレモ』というレグナム神国の、島で名産ですわ」
「そういえばレグザ、という島に行くみたいね?あちら側の神儀式の都合ですが。。そのレグザは知ってますか?」
「知りません」
「ぶっ!ちょ、ちょっとリア!」
・・姫様。鼻から果樹水はいろいろダメです。後でツーンときます。ハンカチを渡す。
「私内陸部の街でしたので」
困ったわとリアが首を傾げる。
「首都アテネからはそう遠くないと聞いています。レモレモはあっちでは一般品ですわ」
…まあいいか。神儀式はともかく名産は他にもオリビ油や石、インク、石灰などレグナム神国は多い。食材は美味しいと嬉しのだけど。聞いてみたら「魚貝ばかりです」と思ってもない返答だった。魚は。。泥臭いのよね、苦手だわ。やはりイタリシ共和国に嫁べきね。
△△△
やっと辿り着いた。
大きめの船旅で荒れる日は1日だけでしたが、船旅は大変でしたわ。
…どれだけ吐いたのか。。黒歴史ですわ。優雅な船旅何て嘘!ウソでございました。まぁ日ゆっくりと揺れながら過ごすのは悪くなかったですが。
目的地の島が見えホッとしました。うーん普通の小さな下町にしか見えないのですが。教会も半分以下の大きさですし。エスコートのリュフォーリル様はお母様より年上で、その仕草は完成されておりますね。貴族として見習わなければ。当たり障りない質疑を組み換えしつつお茶にホッとします。
あら?神殿服を来ている子も領主一族なのですね。
顔は。。まぁ整っていますか。金色の眼は綺麗ですわ。え、年下。。?洗礼式前貴族は公に出ないと伺ったのですが。あれ?神儀式行う?リヒタイン、どうゆう事です?まぁ。。かわいそうに。子供の祝福は知れたものでしょう。
王子候補が行う事で領主の威厳は民に知らせるのですかね?応援しますわ。
とも言え正式な成人式は一度目にしておくには良い機会です。
壇上の様子を見つつ、やはりザワついています。神殿長があのように子供ですもの。
「静粛に」バッと司祭が手を上げた。
「気高きファンネルの化身よ。成長を司るシュプトリュームの加護に守れ賜わん。初代レグナムは神の言葉を聞きこの島々に神殿を創りました。
この海と雷を持つ四神ネプトゥヌスに感謝を注げ給え・・では端より順に登録を」
民衆は音も出す事がなく神官に登録をして行く。
…あれで査証を手に入れれるのですね。皆粛々と儀式をしています。ちょっと空気が重いかしら?
「レグザの民よ そなた達は神に祝福された ホーラの成長に感謝とこの地に生まれ誇りたる四神ネプトゥヌスに祈りを告げよ」
時に皆が片膝を崩し、反唱して祈りを唱える。
- 海に舞 生け時 去らむ事
今この時を持ち 成人為すべき寿を刻む -
声は集まりシューリヘトの手元に糸が伸びていく。
小さな手を蕾の様に開く
祭殿にひかりの柱が突き刺し皆が目をみはる
「レグザの民よ 神々は示された 繁栄と豊穣の神 ディオニューソスの祝福を」
光の柱に視線を上げたシューリヘトは笑顔だった。
手を上に掲げ 開いたと同時に光の柱が散開し まるで星の煌めきのように ふわふわと羽種の様に降り注いだ
―誰も声をあげない。
―いやあげれない。
―人はそこに天使を見たという。
―そこに神の慈悲を。
―まるで滝の様に。留まる事がない光の種は数分間注がれた。
「姫様。もしもし?大丈夫ですか?」
振り返るとリアがそこにいた。困った様な、何て言っていいのか、悩むような顔をしている。
「失礼しますね。よいしょと」
私の顔をシルクのハンカチで拭う。ああ。私泣いていたのですね。
祭壇よりゆっくりと。聖典を持ち去る小さな神殿長の姿が見えた。
光は収まっていく。私は落ち着いて振り向き、案内のリュフォーリル様にお礼を言う。
「素晴らしいものが見えました。リュフォーリル様、此度は神の儀式を拝見させて頂きありがとうございます」
「・・は。(コホン)いえ、クリスタ様。神の導きでしょう」
お互い呟く様に話したのは、側使え護衛騎士一同未だ奇跡の起きた祭壇を口を開け見ているのだから。
―――ゆっくりと祭壇を降りていく小さな司祭は。光の帯が回って見えていて誰よりも神々しく―――
しばらく毎日投稿していく予定です。
平日は夕方upで落ち着きます。
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